9月の米小売売上高は前月比+0.8%で、予想の+0.3%を大きく上回った。ただし伸びの約7割はガソリンスタンドの売上増で、ガソリンと自動車を除いた部分は+0.2%にとどまる。
①総合は前月比+0.8%(予想+0.3%)、前年比+6.3%。8月分は+1.1%から+1.3%へ上方改定
②自動車除くコアは前月比+0.9%(予想+0.5%)。ガソリンスタンドが+6.4%と大きく伸びた
③自動車・ガソリン除くは+0.2%で、Censusの90%信頼区間はゼロを含む。ガソリン以外の消費の勢いは8月から鈍った
1. 9月の米小売売上高:総合・コアとも予想を上回る
2026年10月15日に発表された9月の米小売・飲食サービス売上高(季節調整済み、価格変動調整なし)は7,450億ドルだった。前月比+0.8%で、予想の+0.3%を上回った。前年比は+6.3%。7〜9月期の合計は前年同期比+5.5%となる。
自動車除くコア(自動車・部品販売店を除く)は前月比+0.9%(予想+0.5%)、前年比+7.2%。8月分は総合が+1.1%から+1.3%へ上方改定された。
※本統計は名目値で、物価上昇の影響は除かれていない。
| 指標 | 予想 | 結果 | 前回(8月・改定後) | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 総合 前月比 | +0.3% | +0.8% | +1.3% | 上振れ |
| 自動車除くコア 前月比 | +0.5% | +0.9% | +1.4% | 上振れ |
| 総合 前年比 | — | +6.3% | +5.6% | — |
| 総売上高 | — | 7,450億ドル | 7,393億ドル | — |
| カテゴリ | 前月比 | 前年比 |
|---|---|---|
| ガソリン除く | +0.2% | +4.5% |
| 自動車・ガソリン除く | +0.2% | +5.0% |
| 小売のみ(飲食除く) | +0.7% | +6.2% |
次回10月分小売売上高は2026年11月17日8:30 a.m.(ET)に発表予定(日本時間22:30)。
2. ガソリンスタンドが伸びの約7割
ガソリンスタンドの売上高は前月比+6.4%、前年比+28.1%だった。Table 1の季節調整値で見ると、総合は7,393億ドル→7,450億ドル(+57億ドル)、ガソリンスタンドは640億ドル→680億ドル(+41億ドル)で、増加額の約7割をガソリンスタンドが占める。
前日の9月CPIでは、ガソリン価格が前月比+9.1%(季節調整済み)だった。スタンドの売上の伸びは価格の上昇幅を下回っており、数量ベースでは販売が伸びていない可能性がある(スタンドの売上には燃料以外の商品も含まれる点に注意)。
3. 業種別の動き
| 業種 | 前月比(9月) | 前月比(8月・改定後) | 前年比(9月) |
|---|---|---|---|
| ガソリンスタンド | +6.4% | +4.0% | +28.1% |
| 百貨店 | +1.6% | ▲0.6% | +6.4% |
| 家具・家財 | +1.3% | +0.2% | +4.9% |
| 飲食店・バー | +1.1% | +1.4% | +7.0% |
| 健康・パーソナルケア | +0.7% | +1.2% | ▲1.2% |
| 電気製品・家電 | +0.6% | +2.1% | +9.4% |
| 食品・飲料小売 | +0.4% | +0.2% | +0.9% |
| 無店舗小売(EC) | +0.3% | +2.0% | +8.2% |
| 自動車・部品販売店 | +0.2% | +0.7% | +2.5% |
| 衣料品 | 0.0% | +0.6% | +5.0% |
| 一般商品(量販店) | ▲0.1% | +0.8% | +4.2% |
| スポーツ・趣味・書籍 | ▲0.5% | +1.0% | +9.6% |
| 建材・ガーデン用品 | ▲0.6% | +0.2% | +4.5% |
| 雑貨小売 | ▲3.0% | +3.6% | +10.9% |
8月にほぼ全業種が伸びた反動で、9月はEC(+2.0%→+0.3%)や雑貨小売(+3.6%→▲3.0%)など勢いが鈍った業種が目立つ。一方、8月に減少した百貨店は+1.6%へ反発した。
4. 8月の米小売売上高との比較
| 観点 | 8月(改定後) | 9月(今回) |
|---|---|---|
| 総合 前月比 | +1.3% | +0.8% |
| 自動車除くコア 前月比 | +1.4% | +0.9% |
| 自動車・ガソリン除く 前月比 | +1.1% | +0.2% |
| ガソリンスタンド 前月比 | +4.0% | +6.4% |
| 無店舗小売(EC)前月比 | +2.0% | +0.3% |
5. 読み解き——9月の米小売売上高をどう見るか
見出しの数字は強いが、中身はガソリン価格の上昇に支えられている。自動車・ガソリン除くは+0.2%で、Censusは90%信頼区間がゼロを含む(統計的にゼロと区別できない)と注記している。
GDPの個人消費の推計に使われるコントロールグループ(総合から自動車・部品、ガソリンスタンド、建材・ガーデン用品、飲食店・バーを除いた額。8月3,996億ドル→9月4,002億ドル)は、Censusの公表値ではないが、Table 1から計算すると前月比+0.1%程度にとどまる。
また前日の9月CPIは総合前月比+0.6%で、名目+0.8%の大半は物価上昇で説明できる。8月の強い伸び(+1.3%)の反動という面もあり、9月単月で消費の失速と断定はできないが、「ガソリン高が名目の売上を押し上げ、それ以外の消費は伸び悩んだ」というのが9月の姿になる。
6. この数字の「賞味期限」
今回の数字は速報値で、来月以降改定される。Censusは9月28日に年次改定を実施しており、売上高の水準が前回記事の数字から大きく変わっている(8月:7,739億ドル→7,393億ドル)。このため、過去記事の金額とは直接比較できない。
📚 主な出典
- U.S. Census Bureau「Advance Monthly Sales for Retail and Food Services, September 2026」(2026年10月15日公表、CB26-165)|Census公式PDF(一次資料)
- 関連記事:9月の米CPI記事
- 関連記事:8月の米小売売上高記事
予想値はみんかぶFX 経済指標カレンダーを参照しました。コントロールグループはCensus Table 1の季節調整値から執筆者が算出しました。
✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年
ファンダメンタルを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。たまにチャート分析もします。ナンピンは得意です。/X(旧Twitter):@pablo29god
【免責事項】本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。掲載している分析・見解はぱぶちゃんのファンダメンタルlabによる独自のものです。市場価格は常に変動しており、本記事の内容について正確性・完全性・最新性を保証するものではありません。執筆者は金融商品取引業者ではなく、投資助言業の登録も受けておりません。投資に関する最終判断はご自身の責任において行ってください。FX・先物・CFD取引はレバレッジを伴うため、元本を超える損失が生じる可能性があります。



コメント