- 下院過半数は218。現在は共和党218・民主党214・無所属1(共和党会派)・欠員2
- 上院は民主党が過半数奪回に純増4議席必要。改選35議席のうち22議席を共和党が保有
- 争点は経済・物価高が最優先。世論調査はあくまで時点のスナップショットで、結果を保証するものではない
①アメリカ中間選挙とは
下院:任期2年、全435議席が2年ごとにすべて改選。
上院:任期6年、3分の1ずつを2年ごとに改選。2026年は35議席が対象(通常改選33議席+特別選挙2議席)。
②現在の議会勢力
下院
| 会派 | 議席数 |
|---|---|
| 共和党 | 218 |
| 民主党 | 214 |
| 無所属(共和党会派) | 1 |
| 欠員 | 2 |
| 合計 | 435(過半数218) |
米下院プレスギャラリー(House Press Gallery)の集計(2026年9月14日時点)による。無所属1議席はケビン・カイリー議員(カリフォルニア州)で、共和党を離党したが会派には残っている。欠員2議席は、テキサス23区(共和党・トニー・ゴンザレス氏辞職)とフロリダ20区(民主党・シーラ・シェルフィラス=マコーミック氏辞職)。選挙情勢分析サイトBallotpediaは、2024年選挙結果を基準に「民主党が過半数奪回に必要な純増は3議席、共和党は2議席までの純減なら過半数を維持できる」と試算しているが、これは欠員が生じる前の基準であり、現在の内訳(共和党218・過半数ちょうど)とは前提が異なる点に留意したい。
上院
| 会派 | 議席数 |
|---|---|
| 共和党 | 53 |
| 民主党 | 45 |
| 無所属(民主党会派) | 2 |
| 合計 | 100(過半数51) |
2026年に改選されるのは35議席(通常改選33議席+特別選挙2議席)。特別選挙は、副大統領に就任したJ.D.ヴァンス氏の後任を選ぶオハイオ州(共和党のジョン・ヒューステッド氏が任命により在任)と、国務長官に就任したマルコ・ルビオ氏の後任を選ぶフロリダ州(共和党のアシュリー・ムーディ氏が任命により在任、11月の本選では民主党のアンジー・ニクソン氏と対決)。改選対象35議席のうち22議席を共和党が、13議席を民主党が守る形で、民主党が上院の過半数を奪うには純増4議席が必要となる。
③上院選挙の情勢
現時点(2026年9月中旬)で、複数の選挙情勢分析(Cook Political Report、CNN、RealClearPolitics)が接戦としている州を紹介する。バッジは「現職共和」「現職民主」「オープンシート(現職不在)」という事実区分であり、勝敗の予測ではない。
-
1
ノースカロライナ州 オープンシート
共和党のトム・ティリス上院議員が引退を表明。共和党候補マイケル・ワトリー氏と、民主党候補で元州知事のロイ・クーパー氏の争いで、今サイクル最も選挙資金が投じられる激戦州の一つ。 -
2
ジョージア州 現職民主
民主党の現職ジョン・オソフ上院議員に、共和党候補で下院議員のマイク・コリンズ氏が挑む。CNN(SSRS実施)の直近調査ではオソフ氏48%、コリンズ氏45%と誤差の範囲内の接戦。 -
3
メイン州 現職共和
共和党の現職スーザン・コリンズ上院議員に、民主党から挑戦者が立つ。CNN調査では両者が誤差範囲内の接戦とされている。 -
4
オハイオ州(特別選挙) 任命後の初選挙
ヴァンス副大統領の後任として任命されたジョン・ヒューステッド氏(共和党)に、返り咲きを目指す民主党のシェロッド・ブラウン前上院議員が挑む。InsiderAdvantage調査(9月10日発表)ではブラウン氏47%対ヒューステッド氏42%など、複数の調査でブラウン氏がやや先行。 -
5
ミシガン州 オープンシート
民主党のゲイリー・ピーターズ上院議員の引退に伴う。民主党候補アブドゥル・エルサイード氏と共和党候補マイク・ロジャース氏の争いで、9月に入ってからの調査では両者が僅差。 -
6
アイオワ州 オープンシート
共和党のジョニ・アーンスト上院議員の引退に伴う。共和党候補アシュリー・ヒンソン氏と民主党候補ジョシュ・トゥレック氏(州下院議員)の争い。共和党が優位とされてきた州だが、接戦州に格上げされている。 -
7
アラスカ州 現職共和
共和党の現職ダン・サリバン上院議員に、民主党の元下院議員メアリー・ペルトラ氏が挑む。順位選択投票(ランクド・チョイス・ボーティング)が採用されており、集計方法が結果に影響する可能性がある。 -
8
ニューハンプシャー州 オープンシート
民主党のジーン・シャヒーン上院議員の引退に伴う。9月8日の予備選で、民主党のクリス・パパス下院議員と、共和党で元上院議員のジョン・E・スヌヌ氏の一騎打ちが確定した。共和党は2010年以来この議席を制しておらず、接戦州とされている。
このほか、フロリダ州の特別選挙(アシュリー・ムーディ氏[共和・任命]対アンジー・ニクソン氏[民主])は、民主党が2012年以降フロリダの上院選を制していないこともあり、現時点で接戦州には数えられていない。また、テキサス州では共和党候補選びをめぐる激しい党内対立が報じられており、民主党側はこれを追い風にしたい考え。
④下院選挙の情勢
下院は全435議席が改選される。共和党218、民主党214という薄氷の多数派の下、双方合わせて60人以上の現職議員が既に引退を表明しており、これは1992年(65人)に次ぐ規模の引退者数とされる。
選挙情勢分析大手Cook Political Reportは、9月時点でおよそ20議席前後(分析により変動)を接戦区(トスアップ)に分類しており、内訳は民主党保有区・共和党保有区がおおむね拮抗している。共和党側で脆弱とされる議席にはアリゾナ州やペンシルベニア州などの現職が、民主党側にはカリフォルニア州やオハイオ州などの現職が含まれる。
トランプ大統領の要請を受け、テキサス州は任期途中で共和党に有利な新しい選挙区地図を導入した。これに対抗する形で、カリフォルニア州も住民投票(プロポジション50)を経て民主党に有利な新地図を導入。両州の新地図とも訴訟を経ているが、連邦最高裁はいずれも2026年選挙での運用継続を容認しており、両州で数議席分、党派バランスが変動する見通し。
もう一つの法的論点が郵便投票をめぐる大統領令だ。トランプ大統領は2026年3月、郵便投票に関する新しいルールを郵便公社(USPS)に導入させる大統領令に署名。民主党系の23州とワシントンD.C.が違憲だとして提訴し、下級審が実施を差し止めた。政権側は最高裁に実施容認を求めたが、2026年9月14〜15日、連邦最高裁は下級審の差止めを維持し、政権側の要求を退けている。
⑤トランプ政権への評価と主要争点
中間選挙は、トランプ政権発足からおよそ2年間の実績に対する審判という側面も持つ。ここでは世論調査や報道で確認できる範囲の材料を、断定を避けて整理する。
経済・物価高
Pew Research Center(2026年7月調査)では、有権者が候補者に最も語ってほしい話題として「経済」がトップに挙がり、その中でも「物価・生活費」への言及が最多だった。トランプ大統領の経済運営への評価は報道各社の分析でマイナス圏(不支持超過)にあるとされる一方、野党・民主党の経済政策についても有権者の評価は割れており、同調査では経済政策への信頼度は民主党37%対共和党36%とほぼ拮抗している。
関税政策
2025年4月に発動されたいわゆる「解放の日(Liberation Day)」関税をはじめとする通商政策は、物価上昇要因の一つとして報道で取り上げられ続けている。有権者の受け止めについては報道機関ごとに評価が分かれており、本記事では断定を避ける。
移民政策
2026年2月のワシントン・ポスト/ABCニュース/イプソス調査では、移民対応への不支持が58%に達したと報じられている。移民の取り締まり強化をめぐっては、共和党支持層の中からも「行き過ぎ」との声が一部報じられており、与党内でも評価が一様ではない点は留意したい。
イラン情勢・中東政策
2026年2月末に始まった米・イラン間の軍事衝突は、断続的な停戦と再燃を繰り返しながら継続している。9月に入ってからも低強度の衝突が報じられており、トランプ大統領は「長引かない」との立場を示している。この問題が選挙にどう影響するかについて、現時点で明確な世論調査上の因果関係は確認できていない。
財政政策
大型歳出法案(いわゆる「One Big Beautiful Bill」)の是非をめぐる論争も継続しているが、有権者の最優先争点としては、Pew調査など複数の調査で経済・物価問題の後塵を拝している。
⑥最新の世論調査
トランプ大統領支持率
| 調査機関 | 支持 | 不支持 | 調査日 |
|---|---|---|---|
| ロイター/イプソス | 35% | 63% | 9月11〜14日 |
| CNN Poll of Polls(複数調査平均) | 35% | 63% | 9月13日時点 |
| RealClearPolitics平均 | 39.5% | 57.5% | 9月14日時点 |
| ニューヨーク・タイムズ | 39% | 58% | 9月14日時点 |
| Silver Bulletin平均 | 38.7% | 58% | 9月14日時点 |
ロイター/イプソス(9月11〜14日実施)の35%は、直近数週間続いた過去最低水準からやや持ち直した数字。CNN Poll of Polls(複数調査の平均)も同水準の35%だが、RealClearPolitics・ニューヨーク・タイムズ・Silver Bulletinなど他の集計では38〜40%程度とやや高めに出ており、集計方法・対象調査の違いによって幅がある点に留意したい。
下院投票意向(ジェネリック・バロット)
RealClearPoliticsの平均(9月14日時点)では、民主党49.2%対共和党42.5%と、民主党が+6.7ポイントリードしている。同時期のロイター/イプソス単独調査では民主党+7ポイントで、トランプ政権発足以来最大の差と報じられた。政治情勢を追うニュースレターPlus Minus Fourは、2月末からのイラン戦争再燃以降、一部の個別調査で民主党のリードがやや縮小したと指摘しているが、主要な平均値自体はむしろ拡大方向にあり、個別分析と平均値の動きを混同しないよう注意が必要である。
有権者が重視する争点
Pew Research Center(2026年7月6〜12日、登録有権者ベース、成人3,554人対象)によれば、選択肢を提示しない自由回答方式の調査で、経済・物価に関する回答が約3割と最多。次いで政府倫理・改革、移民、医療の順だった。
⑦選挙結果が米国政治に与える影響
①共和党が上下両院で多数を維持した場合
トランプ政権は現状に近い形で法案成立や予算編成を進めやすくなる。ただし現状でも上院は50議席台前半という僅差であり、党内の一部造反によって法案が難航する可能性は残る。
②民主党が下院の多数を奪還した場合
歳出法案の審議や政権への監視(オーバーサイト)機能が強化される。下院で予算関連法案が通りにくくなり、政権と議会のねじれによる政策停滞が生じる可能性がある。
③民主党が上院の多数を奪還した場合
政権が指名する閣僚人事や連邦判事人事の承認手続きに影響が及ぶ可能性がある。ただし前述の通り、民主党が上院で過半数を得るハードルは下院よりも高いとされる。
④上下両院で多数党が異なる場合(ねじれ議会)
過去の中間選挙後にも見られたパターンで、大型法案の成立が難しくなる一方、外交・安全保障分野など大統領の権限が比較的強い領域では、政権主導の政策が継続しやすいとされる。
2026年中間選挙は、共和党が下院・上院ともにわずかな差で多数派を維持している中で行われる。世論調査ではトランプ大統領の支持率が集計機関により30代半ば〜40%弱と幅を持ちつつも総じて低下傾向にあり、下院のジェネリック・バロットでも民主党がリードしているが、上院の改選議席の多くが共和党に有利な州に偏っているため、民主党が上院の多数派を奪還するハードルは下院より高いとされる。
有権者が最も重視しているのは経済・物価高への対応であり、この問題への評価が今後の情勢を左右する可能性が高いと報じられている。ただし、関税政策やイラン情勢など複数の要因が絡み合っており、11月3日の投開票まで情勢は流動的である。
- 米下院事務局「House Vacancies」(2026年9月時点)
- House Press Gallery「Party Breakdown」(2026年9月14日時点)
- CBS News「2026 midterm election races to watch」
- RealClearPolitics「2026 Generic Congressional Vote」(2026年9月14日時点)
- Reuters(USNews転載)「Trump approval up from record low」(2026年9月14日)
- CNN「CNN Poll of Polls: Trump approval rating」(2026年9月13日時点)
- CNN「The 9 Senate seats most likely to flip in 2026」(2026年9月14日)
- Pew Research Center「As the 2026 Midterms Approach, Economy Is Front and Center」(2026年7月23日)
- Ballotpedia News「Florida special election」(2026年8月28日)
- Fox News「Supreme Court shuts down California GOP bid」
- Al Jazeera「US Supreme Court rejects Trump’s plans on postal ballots」(2026年9月15日)
- FindLaw「A Quick Summary of Legal Battles Over Redistricting for 2026」
- 選挙情勢の集計にあたっては、Ballotpedia・270toWin・Cook Political Reportの各選挙情勢トラッカーも参考にした。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の政党・候補者への投票を推奨または勧誘するものではありません。掲載している議席数・世論調査・法的手続きに関する情報は、各種公式発表・報道機関の発表時点のものであり、今後変更される可能性があります。最新情報は各出典元の公式発表でご確認ください。本記事は2026年11月3日の選挙結果を予測または保証するものではありません。



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