- 7/15に法律が成立、7/23に公布。実際に動き出すのは2027年中の見込み
- お金をもらって暗号資産を紹介するときは表示が必要に。インサイダー取引には刑罰も。ブログやSNSで発信する人にも関係あり
- 税金が安くなるのは2028年1月が有力、ETFは2027〜2028年の見通し。どちらもまだ確定ではない
①何が変わったか
一言でいうと、暗号資産が「支払いの手段」から「投資の対象(金融商品)」として、正式に扱われるようになりました。
- 7/15(水)、参議院でこの改正法が可決・成立しました。4/10に閣議決定され国会に出され、6/11に衆議院を通過し、7/15に参議院で成立、という流れです。7/23に、法律として正式に公布されました。
- これまで暗号資産は「資金決済法」という、送金や決済を扱う法律の中で規制されていました。今後は「金商法(金融商品取引法)」、つまり株や投資信託と同じ法律の中に移ります。暗号資産を扱う取引所は、これまで「暗号資産交換業者」と呼ばれていましたが、今後は「暗号資産取引業者」という名前に変わります。
- この改正は、暗号資産だけでなく、企業の環境・社会への取り組みの開示や、スタートアップ企業への資金供給なども含む、まとめての法改正です。この記事では、暗号資産に関する部分だけを扱います。
- 「暗号資産とは何か」という定義自体は、今までとほぼ同じです。対象になる範囲が急に広がったり狭まったりすることは、基本的にありません。
・金商法(情報公開のルール)での「特定暗号資産」:発行者がいる暗号資産(IEO形式のトークンなど)を指します。ビットコインやイーサリアムは、発行者がいないため、ここには含まれません。
・税制(分離課税)での「特定暗号資産」:国内の登録業者(暗号資産取引業者)が取り扱っている暗号資産を指します。発行者の有無とは関係ありません。ビットコインやイーサリアムも、国内登録業者が扱っていれば、こちらには含まれます。
同じ名前がついていますが、範囲が異なる制度なので、混同しないよう注意が必要です。次の②で説明する分離課税は、税制のほうの「特定暗号資産」が対象です。
②税金が安くなる「分離課税」とは
一言でいうと、暗号資産で得た利益にかかる税金が、将来的に今よりぐっと安くなります。
- 今の税率は、他の所得と合算して計算される「総合課税」で、最大55%(住民税を含む)にもなります。今後は、株やFXと同じように、利益だけを切り離して計算する「分離課税」になり、税率は一律20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)に下がります。
- 対象になるのは、金商法の登録を受けた暗号資産取引業者が取り扱っている暗号資産(税制上の「特定暗号資産」。上の注意ボックスのとおり、金商法の「特定暗号資産」とは範囲が違います)の現物取引・デリバティブ取引・ETFです。ビットコインやイーサリアムのように、国内の登録業者が扱っている主要な暗号資産は、こちらに含まれる設計です。海外の無登録業者やDEX、個人間の取引、マイニング・ステーキングで得た分は、引き続き総合課税のままです。
- 損失が出た場合、3年間は将来の利益と相殺できます(繰越控除)。ただし、株など他の金融商品の損益とは相殺できない見込みです。
- いつから分離課税が始まるかは、①の法律が実際に動き出す日(施行日)の、翌年の1月1日と決まっています。施行が2027年中になれば、2028年1月1日からが有力、というのが税理士による試算です。ただし、この日を最終的に決める政令は、まだ作られていません。
- 2026年・2027年の取引は、今までどおり総合課税のままです。また、分離課税が始まる前に出した損失は、新しい制度には持ち越せない見込みです。
- 暗号資産の取引所には、取引の内容を税務署に報告する義務も、新たに課される方向です。ただし、この報告義務が始まる時期は、分離課税の開始よりも遅れる可能性があります。
③暗号資産ETF(上場投資信託)はいつから買える?
一言でいうと、日本の証券取引所で、株を買うのと同じ感覚でビットコインなどに投資できるようになる日が、視野に入ってきました。
- 2026年9月の時点では、日本ではまだ暗号資産ETFは1つも上場していません。
- 「米国から4年遅れ」の根拠:米国では2024年1月10日に、ビットコインそのものを裏付けとするETF11本が一斉に承認され、翌1月11日から取引が始まりました。もし日本で2028年にETFが上場すれば、2024年からちょうど4年後になります。一方、後述するJPX(日本取引所グループ)の社長が言う「早ければ2027年」が実現すれば、3年遅れで済みます。つまり「4年遅れ」は、一番遅い2028年上場を前提にした数字で、2027年に実現すれば3年遅れです。
- 日本取引所グループ(JPX)の山道裕己社長は4/30、法律と税金の扱いさえ決まれば「いつでもできる」と述べ、早ければ2027年の上場に含みを持たせました。ただし同時に、法整備が遅れれば2028年にずれ込む可能性も認めています。
- 金融庁の資料には、暗号資産ETFを「政令の改正で組成できるようにする」という方針が書かれています。ただし、ETFの解禁が、税制改正(2028年1月が有力)より先に来るかどうかは、政治関係者の間でも見方が分かれています。
- 野村ホールディングスやSBIホールディングス傘下の運用会社が、商品の準備を進めていると報じられています。
- NISA(少額投資非課税制度)の対象になるかどうかは、確認できた範囲ではまだ決まっていません。
④覚えておきたい変更点(発信者や海外業者利用者にも関係あり)
ここからは、投資家だけでなく、暗号資産についてブログやSNSで発信している人、海外の取引所を使っている人にも関わる話です。
①お金をもらって紹介するときは、その旨を書く義務が生まれます
一言でいうと、企業からお金をもらって暗号資産を紹介するなら、「これは宣伝です」とわかるように書く必要があります。
- 暗号資産の発行者や取引所からお金をもらって、その暗号資産について「おすすめです」のような意見をネット上で書く場合、お金をもらっていることを表示しなければならなくなります。株のPR記事に、すでにある仕組みと同じです。
- これにあたる例:取引所からの紹介料やアフィリエイト報酬をもらって「この銘柄がおすすめ」と書く記事や投稿、企業案件として特定の銘柄を紹介する記事です。
- これにあたらない例:お金をもらわずに、自分の意見として書く記事です。ただし、アフィリエイトのリンクを貼っている場合は、お金をもらっているとみなされる可能性があるため、「PR」「広告」などの表示を付けておくのが安全です。
- 具体的にどんな言葉で、どこに表示すればよいかは、これから決まるルール(内閣府令やガイドライン)次第で、今のところまだ公表されていません。
②暗号資産にも「インサイダー取引」の禁止が導入されます
一言でいうと、内部の人だけが知っている情報をもとに、公表前に売買することが、初めて法律で禁止されます。
- 対象になるのは、日本国内の取引所が扱っている(または扱うことを決めた)暗号資産です。海外の無登録の業者や、DEX(分散型の取引所)だけで扱われている暗号資産は、基本的に対象外です。
- 禁止の対象になる人の例:暗号資産を発行している会社の役員、暗号資産の取引所の役員、発行されている暗号資産の20%以上をまとめて売買する人(大量売買者)、そして、これらの人から情報を直接聞いた人です。一般の個人投資家が、誰でも見られる公開情報だけをもとに売買する分には、まったく問題ありません。
- 「内部情報」の例:発行者が技術の仕様を変える決定をしたとき、取引所がその暗号資産の取り扱いを始める・やめると決めたとき、大量売買者が大きな売買をすると決めたとき、などです。
- 罰則は、上場している株のインサイダー取引と同じで、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金です。情報を人に教えることや、それをもとに「今のうちに買っておいた方がいい」のように勧めることも禁止されます。
③登録していない業者への罰則が、大きく重くなります
一言でいうと、無登録で営業している業者への罰は、今までよりずっと重くなります。
- 登録を受けずに営業した場合の罰則は、今の「3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金」から、「10年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金」へと、大きく引き上げられます。
- 無登録の業者が扱っている、正式な取引所では扱われていない暗号資産(未公表暗号資産)を買ってしまった場合、その売買そのものを無効にできる仕組みも新しくできます。
④海外の取引所を使っている人へ:大丈夫な場合とダメな場合
今回の改正は、海外の取引所を使っている人にも関わります。分かれ目は「その業者が日本で正式な登録を受けているかどうか」です。
今回の改正で、無登録業者への対応がどう変わるか
- 無登録営業への罰則が、大きく引き上げられます。これは海外の業者であっても同じで、日本に住む人を勧誘すれば対象になります。
- 無登録業者が扱う暗号資産の売買を、原則として無効にできる仕組みができます。無登録だと知らずに取引してしまった人を守るための規定です。
- 裁判所がすぐに営業をやめさせる命令(緊急差止命令)を出せる対象にもなり、監視する当局(証券取引等監視委員会)が裁判所にそれを申し立てる権限も整備されます。
つまり:「海外の取引所=危ない」というわけではありません。日本できちんと登録しているかどうかが、安全かどうかの分かれ目です。海外の取引所を使う場合は、金融庁が公表している登録業者の一覧で、その業者が載っているか確認しておくと安心です。
⑤発行者や取引所には、情報を公開する義務が増えます
一言でいうと、暗号資産を発行する会社や、それを扱う取引所は、これまで以上に情報を公開しなければならなくなります。
- 「特定暗号資産」(発行者がいる暗号資産)を発行する会社は、発行するときと、1年に1回の定期報告(決算から3か月以内が目安)で、情報を公開する義務を負います。もし公開した情報にウソがあった場合、その発行者は、損害を受けた投資家に賠償する責任を負います(自分に落ち度がなかったと言っても免れません)。
- 会計士による監査証明を受ける義務もありますが、個人投資家1人あたりの投資額が原則50万円までの小さな募集であれば、この監査の義務は免除される見込みです。
⑥取引所には、証券会社並みのルールが適用されます
一言でいうと、暗号資産の取引所は、これからは証券会社に近いレベルのルールを守らなければなりません。
- 具体的には、大株主に関する規制、財務の健全性を示す比率の規制、営業担当者の資格制度など、今まで暗号資産の取引所には課されていなかった規制が、新たに加わります。
- 暗号資産の貸し借りを仲介する行為や、暗号資産を対象にした運用・助言を行う行為も、新たに登録が必要な業務になります。
- 顧客の暗号資産を安全に管理するためのシステムを、取引所に提供している会社にも、新しく届け出の制度ができます。過去に、こうしたシステムの提供会社がサイバー攻撃を受け、それが不正流出の一因になった事例を踏まえた対応です。
⑤いつから変わるのか(スケジュールまとめ)
| 項目 | 時期 |
|---|---|
| 法律の成立・公布 | 2026年7/15に成立、7/23に公布 |
| 実際にルールが動き出す日(施行) | 公布から1年以内。2027年中が有力 |
| 業者が名前などを届け出る期限 | 施行から2週間以内 |
| 登録なしでも営業を続けられる猶予期間 | 施行から6か月間。その間に登録の申請をすれば、最大2年間は営業を続けられる |
※このスケジュールは、法律の附則と専門家(法律事務所)の整理に基づくものです。政令はまだ公布されていません。
今、暗号資産の取引所を営んでいる会社は、施行前のうちに、自社がどの区分に当てはまるか(登録が必要か、届け出だけで足りるか)を確認し、準備を進める必要があると、専門家は指摘しています。お金をもらっての紹介の表示義務や、インサイダー取引の禁止も、この施行日から実際に適用される見込みです。税金とETFの時期については、②③で説明したとおりです。
⑥米国と比べると
米国でも、同じような枠組みを作る「クラリティ法案」が話し合われていましたが、9/15の採決で否決されました(詳しくは別記事で)。日本はすでに法律の成立まで進んでいますが、米国は「暗号資産をどの機関が監督するか」という根本のところで、話し合いが難航しています。ただし、日本も、インサイダー規制や税金の細かいルールはこれから決まる部分が多く、「法律ができた=すぐに全部変わる」わけではない点は、日米で共通しています。→ 詳しくは:クラリティ法案が米上院で否決
日本では7/15に、暗号資産を「金融商品」として扱う法律の改正が成立しました。柱は、インサイダー取引の禁止、お金をもらっての紹介への表示義務、無登録業者(海外の業者を含む)への罰則強化、情報公開の義務づけです。実際に動き出すのは2027年中が見込みで、税金が安くなる分離課税は2028年1月が有力です。暗号資産ETFは早ければ2027年、遅ければ2028年という見方が出ていますが、細かいルールを決める政令や内閣府令がまだ整っておらず、確定した日程はまだありません。
- 金融庁「国会提出法案等」(金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案、令和8年4月10日提出・令和8年7月15日成立) https://www.fsa.go.jp/common/diet/221/02.html
- BUSINESS LAWYERS『2027年施行 暗号資産に関する金商法・資金決済法改正の概要』(殿村桂司弁護士ほか、長島・大野・常松法律事務所、2026年8月28日) https://www.businesslawyers.jp/articles/1568
- PwC Japan『暗号資産に係る2026年金商法等改正法の成立 金融法務ニュースレター』(2026年7月) https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/news/legal-news/legal-20260728-4.html
- MONEYIZM『暗号資産の税金はいくら下がる?改正金商法が成立』(2026年7月16日) https://www.all-senmonka.jp/moneyizm/news/315811/
- あたらしい経済(Yahoo!ニュース転載)『暗号資産規制を金商法へ移管、改正法案が参院本会議で可決・成立』(2026年7月15日) https://news.yahoo.co.jp/articles/31efe2b217de77bcbcdd9a1f8be0f87f7a8046cc
- NADA NEWS(Yahoo!ニュース転載)『暗号資産の金商法改正案が成立』(2026年7月15日) https://news.yahoo.co.jp/articles/07b437a06ac50b534cecfaf2f97805ba6271d955
- NHKニュース『暗号資産を「金融商品」に位置づける改正金融商品取引法が成立』(2026年7月15日) https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015177471000
- 泉絢也税理士事務所『暗号資産の税金が分離課税20%へ―令和8年度税制改正で何が変わり、何が変わらないのか』(2026年4月1日) https://izujun-tax.com/crypto-separate-taxation-2026/
- 大和総研『暗号資産取引に20%の申告分離課税導入へ』(平石隆太、2026年2月6日) https://www.dir.co.jp/report/research/law-research/tax/20260206_025575.html
- Mediverse『暗号資産の分離課税はいつから?2028年開始の見込みと税率20%への変更点』(2026年7月29日) https://www.for-it.co.jp/mediverse/cryptocurrency/separate-taxation/
- NADA NEWS(Yahoo!ニュース転載)『暗号資産ETF、早ければ2027年にも解禁か―日本取引所グループCEO語る:報道』(2026年5月1日、Bloomberg報道の引用) https://news.yahoo.co.jp/articles/0b2c5b1ed7b9fbc781d4aca42e88cae55f67af19
- Crypto News Japan『日本取引所グループ、2027年にBTCなど仮想通貨ETF上場か』(2026年5月1日) https://cryptonews.com/jp/news/jpx-aims-crypto-bitcoin-etf-2027/
- ダイヤモンド・ザイ『ビットコインETFはどこで買える?日本で買える?将来性も徹底解説!』(2026年9月更新) https://diamond.jp/crypto/market/bitcoin-etf/
- 大和総研『ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?』(鈴木利光、2024年2月13日) https://www.dir.co.jp/report/research/economics/usa/20240213_024246.html
- あたらしい経済『【徹底解説】ビットコインETF 需要の背景、現物の重要性、米国と他国比較…』(2024年) https://www.neweconomy.jp/features/sbitips/367436
- あたらしい経済『金融庁、無登録運営の海外暗号資産取引所に警告。KuCoin・bitcastle・Bybit・MEXC・Bitgetに』(2024年11月29日) https://www.neweconomy.jp/posts/435203
- あたらしい経済『金融庁が暗号資産取引所バイナンスに警告、2018年以来の2度目』(2021年6月28日) https://www.neweconomy.jp/posts/129491
- 金融庁「無登録業者との取引は要注意」 https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/highrisk.html
- 金融庁「無登録で暗号資産交換業を行う者について(Binance Holdings Limited)」(令和3年6月25日) https://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency02/Binance2_keikokushilyo.pdf
- BITTIMES『金融庁、無登録の海外仮想通貨取引所5社に警告』(2025年2月20日) https://bittimes.net/news/186575.html
- BITTIMES『仮想通貨交換業者にbitFlyerら11社が登録完了』(2026年5月8日) https://bittimes.net/news/3384.html
- JinaCoin『Bybit日本撤退!日本人取引制限開始&サービス終了へ』『Bitget日本撤退!日本人の新規登録停止&サービス終了へ』(いずれも2026年) https://jinacoin.ne.jp/bybit-illegal/ / https://jinacoin.ne.jp/bitget-japan/
- CRYPTO TIMES『Bybitは日本で使えるか。2026年の可否と出金・税金』(2026年8月、7/22の強制決済完了を確認) https://crypto-times.jp/bybit-cant-use/
- 金融庁「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 説明資料」(2026年4月、投資上限50万円等の一次情報) https://www.fsa.go.jp/common/diet/221/02/03.pdf
- 金融庁「令和8年度税制改正について」(2025年12月)、金融庁「令和9年度税制改正要望」(2026年8月)
- そのほか、登録済み暗号資産交換業者の名称確認に、金融庁の登録業者一覧および各種取引所比較サイトを参照しました。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品(暗号資産を含む)の売買や、特定の取引所の利用を推奨・勧誘するものではありません。本記事は税務・法律に関する助言ではなく、個別の税務・法律相談は税理士・弁護士等の専門家にご確認ください。法令の施行時期や内容、政令・内閣府令の内容は今後変更される可能性があります。市場価格は常に変動しており、掲載情報の正確性・完全性・最新性を保証するものではありません。執筆者は金融商品取引業者ではなく、投資助言業の登録を受けていません。投資判断はご自身の責任で行ってください。暗号資産・FX・先物・CFD取引は、価格変動やレバレッジにより元本を超える損失が生じる可能性があります。



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