ビットコイン連載その後|半年で何が起きたか、これからの見方【2026年9月】

仮想通貨

「ビットコイン・新時代の光と影」(全5回)を公開したのは2026年2月でした。それから半年、ほとんどビットコインには触れてきませんでした。中東情勢の悪化で上値が重く、動きの乏しい局面が続いたためです。この記事では、その後に何が起きたかを、価格・企業・ETF・規制・今後の見方の順に、さらっと整理します。数字は特に断りがない限り2026年9月21日時点です。
📖 連載アーカイブ: 第1回 / 第2回 / 第3回 / 第4回 / 第5回
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連載から半年、ビットコインは6月末〜7月初に約57,700ドルまで下げ、9月21日時点で約81,000ドルまで戻しました。ただ、82,000ドル台〜82,800ドル台が上値の壁になり、まだ抜けていません。ビットコイン全振りの企業は「買い続ける」から「資金繰りを管理する」段階に移り、ETFは流出と流入が交互に出ています。専門家の見立ては、年末10万ドル超から底の再確認まで大きく割れています。この記事では価格目標は示さず、分かれ目と条件を整理します。
  1. 安値は57,735ドル(ATH比 約-54%、筆者試算)。9/21時点は約-36%(同)
  2. Strategyは含み益に転じた一方で売却も。他社では売却・清算が相次ぐ
  3. 規制は米国が否決、日本が成立(詳細は別記事)

①この半年の値動き

  • 2月に「6万ドル割れ」で書き始めた連載の後も下げ、6月末〜7月初に58,000ドルを割って21か月ぶりの安値をつけました。安値は57,735ドル(6/30〜7/1、日本時間7/1。取引所によりBloombergは57,742ドル)で、ATH(約126,000ドル、2025年10月)からは約-54%(筆者試算)です。
  • 8月は月初約62,900ドル(Bitfinex Alpha集計)から月末約78,600ドルへ約25%上昇し、月中には約81,000ドルまで達しました。8/19の米財務省による長期債バイバック倍増が引き金の一つと指摘されています(→ 当ブログの解説:米財務省の国債バイバック増額とは?)。
  • 9月は9/15に約74,900ドルまで下げましたが、9/18〜19に80,000ドル台を回復しました。9/19の高値は81,914ドルです。8/19以降の期間高値は9/3の約82,300ドル(取引所により82,281〜82,283ドル)で、9/2終値の77,307ドルから約6%上昇して届いたものの跳ね返されました(筆者試算)。82,000〜82,833ドルが抵抗帯です。

中東情勢との連動

日付出来事ビットコイン原油
4/17イランがホルムズ海峡の開放を宣言80,000ドル目前へ上昇、再閉鎖で76,400ドルへ11%超下落
7/14米国とイランが再び衝突(海峡は事実上136日間封鎖)62,600ドルへ下落Brentが約4%上昇
7/27米国とイランが海峡での攻撃を停止65,000ドル近辺で底堅く推移Brentが約7%下落(約87ドル)

悪化局面で売られ、外交が進めば戻る動きでした。ただ、外交が進んでも上値は82,000ドル台までで、中東だけでは説明しきれません。

原油→インフレ→利上げ

  • 原油高がインフレ懸念を高め、FRBは9月16日(日本時間9/17未明)に0.25%の利上げを決めました。政策金利は3.75〜4.00%で、2023年7月以来の利上げ、全会一致(12対0)です。7月会合では3人が利上げを主張していました。
  • ドットプロットでは、18人中16人が年内あと1回以上の利上げを見込みます。市場は2027年4月までにあと3回を織り込みました。WTIは9/15に106ドルを超え、5か月ぶりの高値でした(CoinDesk 9/18)。
  • 同じ週に日銀も利上げし、政策金利は31年ぶりの高水準になっています(CoinDesk報道)。
  • ビットコインは9/15のクラリティ否決と利上げを受けても80,000ドル台を回復しました。9/18朝時点では9月は約1.5%安でしたが、その後の上昇で9/21時点は月初(8月末終値の約78,600ドル)比で約3%高です(筆者試算)。9/20終了の週は約6%上昇しました(CoinDesk 9/18・9/21)。7〜9月期は9/18朝時点で約32%高で、2025年7〜9月期以来のプラス四半期になる見込みです(CoinDesk 9/18)。
📌 「中東(原油)→インフレ→FRB→金利→リスク資産」の経路の影響を強く受けた半年でした。

②ビットコイン全振り企業のその後

項目2月(第3回時点)現在
Strategy 保有量713,502BTC845,050BTC(9/13時点)
平均取得単価約76,052ドル約75,412ドル
損益含み損含み益(BTC 81,000ドル換算で約47億ドル、筆者試算)
メタプラネット 保有量35,102BTC43,000BTC(6/30時点、7/2開示)
平均取得単価約1,595万円約1,533万円
損益含み損含み損(BTC円1,189〜1,280万円で約-16〜-22%、筆者試算)
  • Strategy:保有は6/28時点の847,363BTC(8-K)がピークでした。6/29に始めたBTC売却枠(当初はUSDリザーブ用に最大12.5億ドル、その後、準備金・配当・利払い・証券買い戻しを目的に最大50億ドルへ拡大、The Block 9/14)のもとで売却が続き、6/30時点846,000BTC(6/29〜30に1,363BTC売却)→7/5時点843,775BTC→8/9時点840,447BTCと減りました(8-K)。売却代金は、優先株の配当支払いやUSDリザーブの補填(6月末〜8/2)、優先株STRCの買い戻し(8/3〜9)に充てられています。その後8/24〜30に4,603BTC(約3.7億ドル)を買い戻して845,050BTCです。直近(9/8〜13)は売買がなく、STRCを約1.39億ドル買い戻し、現金準備(USDリザーブ)は約51億ドルです。株価は2025年の高値比で約7割安です(9/11終値130.97ドル、The Block 9/14)。
  • 業界全体:Satsumaは668BTCの全額売却・上場廃止を株主が承認し、Sequansは1,025BTCを売却したうえ残りの約8割も処分しました。Nakamotoも約284BTCを売却し、Twenty One CapitalはCEOが退任、BSTRの合併は破談です(CoinDesk 7/24)。報道によると、FTの分析では上位50社が売り越しに転じ、時価総額は1年前の約1,240億ドルから約670億ドルに縮んでいます。
  • メタプラネット:Q2に2,823BTC(平均約1,271万円)を取得しましたが、7/2以降の買い増しは確認できていません。ビットコイン・インカム事業のQ2売上は17.47億円です。mNAVは1倍を下回る水準で、7/2時点で0.86倍(あたらしい経済)、9月上旬に約0.97倍(Coinpaper)と報じられています(算出方法が異なります)。2026年末10万BTCの目標には、現状では届きにくい水準です(筆者の見立て)。株価は9/10時点で251円台です。
mNAVとは
企業の時価総額を、保有するビットコインの価値で割った倍率です。1倍を割ると、株式を売ってBTCを買っても1株あたりのBTCが増えず、買い増しの仕組みが回らなくなります。

③ETFの資金フロー

  • 2026年は1・2・5・6月が流出、3・4・7月が流入(7月末まで)でした。6月は単月で約45億ドルの流出と、過去最大でした。6月末〜7月初には10営業日連続で約27億ドルが流出しました。
  • 8月下旬に急反発し、週間の純流入は約19.2億ドルと10か月ぶりの規模でした。9/3には単日で約7.3億ドルが流入しています。
  • 9月は、9/8〜11の週が約4.63億ドルの流出、9/14〜18の週は約620万ドルの小幅な流入でした(火・水に流出、金に約4.33億ドルの流入)。
  • 年初来では約14.5億ドルのマイナスで、累計の純流入は約552億ドル(ピーク約630億ドルから約1割強減)、純資産は約1,025億ドルです。

※集計元により数値が異なります。

④規制:米国は否決、日本は成立

  • 米国:9/15、上院がクラリティ法案の手続き採決を否決しました(賛成49・反対50、必要60票)。再採決の動議は出ており廃案ではありませんが、中間選挙前の再挑戦は厳しい情勢です。→ 詳細:クラリティ法案が米上院で否決(賛成49・反対50)
  • 日本:7/15に金商法改正が成立し、暗号資産が金融商品として規制されます。施行は公布から1年以内(2027年中の見込み)で、分離課税20%は2028年が想定されています。→ 詳細:日本の暗号資産規制はどこまで進んだか

⑤専門家の見立てと今後の見方

※多くは7月時点のもので、8月の反発と9月の利上げ前の情報を含みます。

分析者立場見立て・備考
スタンダードチャータード上を見る年末10万ドルを維持。同行の年末目標は、2023〜2025年の3年連続で実際の年末価格を上回った
バーンスタイン上を見る年末15万ドル。6月に20万ドルから引き下げ、7/6に再確認
Fundstrat上を見るTom Lee氏は20〜25万ドル。同社のFarrell氏は年末約11.5万ドルで、社内でも分かれる
Citi中立12か月後の基本8.2万ドル、弱気5.3万ドル。今後1年のETF純流入をゼロと想定
Fidelity中立2026年は停滞の年とみて6.5〜7.5万ドルのレンジ(7月)。Q4レポートは、4年サイクルなら底は11月頃の可能性を紹介しつつ、弱気相場が終わった保証はないと記載
CoinShares(Butterfill氏)中立9/17に、8万ドルを継続的に上回る可能性は低いと分析(FRBの利上げとクラリティ頓挫)。9/4には、明確に超えるにはイラン情勢の収束か米国債への信認低下が要ると指摘
NYDIG慎重10月頃に38,000〜39,000ドルというシナリオ(予測ではないと明記)
Glassnode慎重9/16に、新規の資金流入は乏しく、ETFフローは流出に転じ、企業の購入も止まっていると指摘。9/15に初めて「トゥルーマーケットミーン」を終値で割り、再び割れると短期保有者の平均取得単価71,300ドルが次の水準
Bitfinex Alpha慎重9月マクロ見通しで、10年実質金利が2.5%に達すればビットコインの強気シナリオは崩れると指摘
Galaxy Research(Thorn氏)底打ちの可能性9/20の週足が45週ぶりに50週移動平均(約78,100ドル)を上回り、弱気相場が終わった可能性と指摘。過去13回の同様の回復のうち11回は安値を更新しなかったが、2回は失敗。※50週線の水準はCoinDesk算出で、別の報道では9/3時点で約81,000ドルとされ、算出により幅がある

分かれ目になる5点

  • ①FRBの追加利上げ(ドットは年内あと1回、市場は2027年4月までに3回を織り込み)
  • ②原油・ホルムズ海峡
  • ③ETFフロー
  • ④Strategyなど企業の資金繰り
  • ⑤規制(米国はSEC・CFTCの既存権限での整備が代替、日本は施行待ち)

注目日程

  • Strategyの週次8-K(毎週月曜)
  • 9/30:MSCIのデジタル資産保有企業に関する意見募集の終了(要確認)
  • 10/7(米国時間):9月FOMC議事要旨
  • 10月のFOMC(日付は要確認)
  • 11/3:米中間選挙
⚠️ ここでは価格目標は示しません。上のとおり見立ては大きく割れており、どちらに傾くかは5点次第です。現時点で一方向に断定できる材料はありません。
📌 まとめ

連載から半年、ビットコインは安値から約4割戻し、週足では50週移動平均を回復しました。しかし82,000ドル台の壁は抜けていません。中東情勢と利上げが上値を抑え、企業は資金繰りの管理に、ETFは流出と流入の綱引きに移りました。規制は、米国が否決、日本が成立と分かれました。分かれ目は、追加利上げ、原油、ETF資金です。
📚 主な出典
✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年
ファンダメンタルを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。たまにチャート分析もします。ナンピンは得意です。
X(旧Twitter):@pablo29god
⚠️ 免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品(暗号資産を含む)の売買を推奨・勧誘するものではありません。市場価格は常に変動しており、掲載情報の正確性・完全性・最新性を保証するものではありません。執筆者は金融商品取引業者ではなく、投資助言業の登録を受けていません。投資判断はご自身の責任で行ってください。暗号資産・FX・先物・CFD取引は、価格変動やレバレッジにより元本を超える損失が生じる可能性があります。専門家の見立ては各社・各人の見解であり、将来の価格を保証するものではありません。

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