2026年9月11日更新|ジャクソンホール会議(8/27〜29)以降の最新発言をすべて反映
FOMC(連邦公開市場委員会)は、FRB理事7名と地区連銀総裁12名、計19名で構成される。この記事では「次の利上げ・利下げがどうなるか」を予想するのではなく、19名それぞれがどんな経歴の人物で、今どのようなスタンス(タカ派・中立・ハト派)にあるのかを、最新の発言を根拠に整理する。
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投票権を持つ12名のうち、強いタカ派3名・タカ派寄り3名・データ次第(中立〜タカ)1名・中立〜タカ派寄り1名・中立4名という構図。8月末のジャクソンホール会議以降、ウォーシュ議長・バー理事・クック理事が相次いでタカ派寄りの発言を強めており、明確なハト派は投票権メンバーの中に見当たらない。
- FRB理事7名は全員が投票権を持つ常任メンバー。現在は空席なしの7名体制
- 地区連銀総裁はニューヨーク連銀総裁が常任、残り11行は4行ずつが1年交代で投票権を持つ(2026年はフィラデルフィア・クリーブランド・ダラス・ミネアポリス)
- クック理事はトランプ大統領による解任の試みが継続中(最高裁は6月29日に解任差し止めを支持したが、8月に手続きが再始動)。発言を読む際は訴訟の文脈も踏まえたい
① FOMCとは
FOMC(Federal Open Market Committee:連邦公開市場委員会)
FRB(連邦準備制度理事会)が年8回開く、米国の金融政策を決定する会合。FRB理事7名+地区連銀総裁12名の計19名で構成され、このうち投票権を持つのは理事7名+NY連銀総裁(常任)+輪番の地区連銀総裁4名=12名。
🔑 タカ派・ハト派とは?
タカ派=金融引き締め(利上げ)に積極的、ハト派=金融緩和(利下げ)に積極的な立場を指す。FRBが公式に発表するラベルではなく、メディアや市場参加者が過去の発言・投票行動から便宜的に貼るものであり、固定的な性格でもない。インフレ環境が変われば、かつてハト派的と見られた人物が利上げを支持することもある。
タカ派=金融引き締め(利上げ)に積極的、ハト派=金融緩和(利下げ)に積極的な立場を指す。FRBが公式に発表するラベルではなく、メディアや市場参加者が過去の発言・投票行動から便宜的に貼るものであり、固定的な性格でもない。インフレ環境が変われば、かつてハト派的と見られた人物が利上げを支持することもある。
② FRB理事7名のプロフィールと最新スタンス
🔰 FRB理事会とは? ワシントンDCに常駐し、常に投票権を持つ7名。現在は議長ウォーシュ氏を含む7名全員が在任しており、空席はない。
| 氏名 | 役職 | 任期 | スタンス |
|---|---|---|---|
| ケビン・ウォーシュ | 議長 | 議長:〜2030年5月 理事:〜2040年1月 | タカ派寄り |
| フィリップ・ジェファーソン | 副議長 | 副議長:〜2027年9月 理事:〜2036年1月 | 中立 |
| マイケル・バー | 理事 | 理事:〜2032年1月 | 中立→タカ派寄り |
| ミシェル・ボウマン | 副議長(金融監督担当) | 副議長:〜2029年6月 理事:〜2034年1月 | 中立 |
| リサ・クック | 理事 | 理事:〜2038年1月 (解任訴訟継続中) | タカ派寄り |
| クリストファー・ウォラー | 理事 | 理事:〜2030年1月 | データ次第(中立〜タカ) |
| ジェローム・パウエル | 理事(前議長) | 理事:〜2028年1月 | 中立 |
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1
ケビン・ウォーシュ(議長)
2006〜2011年にもFRB理事を務めた経験を持ち、2026年5月22日に第17代議長として復帰。フォワードガイダンス(先行きの政策方針を事前に示すこと)に否定的で、記者会見でも明言を避けるスタイル。8月28日のジャクソンホール講演(演題「In Our Time」)では「基調的なインフレが目標に向かって明確かつ十分な速度で進んでいると確信できなければ、われわれにはやるべき仕事がある」と述べ、条件付きながらタカ派色を明示した。 -
2
フィリップ・ジェファーソン(副議長)
FRBエコノミストやスワースモア大学教授などを経て2022年に理事就任、2023年に副議長。需要・供給ショックを見極める慎重な姿勢を継続しており、エネルギー高・AI投資など複数のショックが重なる局面でのデータ依存を一貫して強調している。 -
3
マイケル・バー(理事)
財務省出身でミシガン大学ロースクール学部長を歴任。2022年に理事就任、金融監督担当副議長も務めたが2025年1月に退任を表明し2月28日付で退任(理事は継続、後任のボウマン就任は同年6月9日)。9月1日、「インフレが鈍化しなければ利上げに備えるべき」と発言し、PCE前年比(12カ月ベース)3.7%・コアPCE同3.3%という2023年以来の高水準を警戒した(※3カ月年率ではウォラー理事が改善を指摘しており、系列の違いに注意)。 -
4
ミシェル・ボウマン(副議長・金融監督担当)
カンザス州の銀行監督官出身。2018年に理事就任、2025年6月に金融監督担当副議長へ。7月FOMCでは据え置きに賛成。5月時点の報道では緩和バイアス維持を支持していたが、直近は独立した政策発言自体が少なく、明確なハト派要素が確認できないため中立に分類(監督担当としての立場もあり発言が抑制的な可能性がある)。 -
5
リサ・クック(理事)
ミシガン州立大学教授(経済学)出身で、FRB初の黒人女性理事として2022年就任。8月7日、「必要であれば」利上げを行う用意があると発言(※トランプ大統領による解任の試みが継続中で、政治的な文脈込みで読まれている点に留意。詳細は下記)。 -
6
クリストファー・ウォラー(理事)
セントルイス連銀調査局やノートルダム大学教授などを経て2020年に理事就任。伝統的にタカ派とされてきたが、9月3日には「8月の物価指標がインフレ鈍化を示せば9月は据え置きに傾く」と発言し、条件付き・データ次第の姿勢を明確にしている。 -
7
ジェローム・パウエル(理事・前議長)
財務次官・カーライル・グループ出身。2012年に理事就任、2018〜2026年に議長を務め、退任後も理事として在任中。「目立たない理事」として表立った発言は少ないが、地区連銀の独立性を巡る議論では一定の存在感を示している。
⚠️ クック理事の解任問題について
トランプ大統領は2025年8月、住宅ローン契約を巡る不正疑惑を理由にクック理事の解任を発表した。米最高裁は2026年6月29日、5対4で下級審の差し止めを支持し、訴訟継続中はクック氏が理事職にとどまれるとの判断を示した。ただし8月5日付でホワイトハウスは解任手続きを再始動する書簡を送付しており、訴訟は継続中。クック氏は不正を否定している。FRBの独立性を巡る制度的な論点として、今後の展開に注意したい。
トランプ大統領は2025年8月、住宅ローン契約を巡る不正疑惑を理由にクック理事の解任を発表した。米最高裁は2026年6月29日、5対4で下級審の差し止めを支持し、訴訟継続中はクック氏が理事職にとどまれるとの判断を示した。ただし8月5日付でホワイトハウスは解任手続きを再始動する書簡を送付しており、訴訟は継続中。クック氏は不正を否定している。FRBの独立性を巡る制度的な論点として、今後の展開に注意したい。
📌 なお、4月FOMC時点ではスティーブン・ミラン理事が0.25%利下げを主張して反対していた。同氏は2026年5月21日付で理事を退任し、翌22日にウォーシュ氏がその理事枠に就任している(ウォーシュ氏の議長就任は、同時期に任期満了を迎えたパウエル氏からの議長職の引き継ぎであり、理事枠の交代とは別の話)。ミラン氏は現在の投票メンバー12名には含まれない。
③ 地区連銀総裁(投票権保有5名)のプロフィールと最新スタンス
🔰 地区連銀総裁の投票権とは? ニューヨーク連銀総裁は常任で投票権を持つ。残り11行は4行ずつが輪番で1年間投票権を持ち、2026年の輪番4行はフィラデルフィア・クリーブランド・ダラス・ミネアポリス。任期は5年で、2025年12月11日にFRB理事会が総裁・第一副総裁の再任を一斉に発表しており、現任期はおおむね2026年3月〜2031年2月となる。
| 氏名 | 連銀 | 就任 | スタンス |
|---|---|---|---|
| ジョン・ウィリアムズ | ニューヨーク(常任) | 2018年6月 | 中立 |
| アンナ・ポールソン | フィラデルフィア | 2025年7月 | 中立〜タカ派寄り |
| ベス・ハマック | クリーブランド | 2024年8月 | 強いタカ派 |
| ローリー・ローガン | ダラス | 2022年8月 | 強いタカ派 |
| ニール・カシュカリ | ミネアポリス | 2016年1月 | 強いタカ派 |
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1
ジョン・ウィリアムズ(ニューヨーク連銀)
UCバークレー教授出身の金融政策の実務型。9月2日のCNBCインタビューで、米国債利回りの急騰は「かなりの部分が強い米国経済と堅調な経済見通しにけん引されている」とし、インフレ懸念というより実体経済の強さの反映との見方を示した。一方で、現行の政策金利がインフレを目標に戻すのに十分かどうかは「なお明確ではない」とし、9月会合の判断はデータ次第として留保する姿勢を続けている。 -
2
アンナ・ポールソン(フィラデルフィア連銀)
シカゴ連銀出身のエコノミスト。7月FOMCでは据え置きに賛成票を投じ、独自の反対票は投じていないが、期待インフレへの警戒感を示す発言が目立つ。 -
3
ベス・ハマック(クリーブランド連銀)
ゴールドマン・サックス出身。4月FOMCでは据え置き自体には賛成しつつ、将来の利下げ再開を示唆する声明文言に反対。7月FOMCでは一転して+25bpの利上げそのものを主張して反対しており、タカ派色が段階的に強まっている。 -
4
ローリー・ローガン(ダラス連銀)
ニューヨーク連銀で公開市場操作を長く担当した市場実務家。ハマックと同様、4月は据え置き自体には賛成しつつ声明の緩和バイアスに反対、7月は+25bpの利上げを主張して反対。コアサービスインフレの粘着性を根拠に挙げている。 -
5
ニール・カシュカリ(ミネアポリス連銀)
財務省・PIMCO出身で、TARP(不良資産救済プログラム)の運営経験を持つ。4月FOMCでもハマック・ローガンと同様に声明の緩和バイアスに反対、7月FOMCでは+25bpの利上げを主張して反対。かつてはハト派的と見られていたが、インフレの持続を受けてタカ派に転じた。
④ 地区連銀総裁(投票権なし7名・参考)
投票権はないが、会議に出席して意見を述べ、次年度以降の輪番入りを見越して発言内容は市場が注視する。
| 氏名 | 連銀 | 就任 | 参考スタンス |
|---|---|---|---|
| アルベルト・ムサレム | セントルイス | 2024年4月 | タカ派寄り |
| スーザン・コリンズ | ボストン | 2022年7月 | 中立〜タカ派寄り |
| トーマス・バーキン | リッチモンド | 2021年1月 | 中立 |
| オースタン・グールズビー | シカゴ | 2023年1月 | 中立〜タカ派寄り |
| メアリー・デイリー | サンフランシスコ | 2018年10月 | 中立 |
| ジェフリー・シュミッド | カンザスシティ | 2023年8月 | タカ派寄り |
| シェリル・ベナブル(代行) | アトランタ | 2026年3月〜(臨時) | スタンス未確定 |
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1
アルベルト・ムサレム(セントルイス連銀)
ニューヨーク連銀出身。インフレリスクが雇用リスクより高まっていると継続して警戒している。 -
2
スーザン・コリンズ(ボストン連銀)
ミシガン大学副学長出身。5月、4月FOMCで声明の緩和バイアスに反対した委員(ハマック・ローガン・カシュカリ)の主張に同意する考えを示した。 -
3
トーマス・バーキン(リッチモンド連銀)
マッキンゼー出身。データ依存を強調する姿勢を継続しており、大きなスタンス変化の報道はない。 -
4
オースタン・グールズビー(シカゴ連銀)
シカゴ大学教授・オバマ政権の経済諮問委員会委員長出身。AI生産性向上を先取りして緩和に動くことへ警告的な立場を継続している。 -
5
メアリー・デイリー(サンフランシスコ連銀)
労働経済学者出身。「声明の文言よりも実際の行動が重要」と発言し、データに基づく判断を重視する姿勢を示している。 -
6
ジェフリー・シュミッド(カンザスシティ連銀)
UMBファイナンシャル出身。インフレ高止まりへの警戒感を継続しているが、独立した最新発言は限定的。 -
7
シェリル・ベナブル(アトランタ連銀・代行)
同連銀の第一副総裁で、2026年3月1日からボスティック前総裁の後任として臨時総裁を務める。不確実性の高さから様子見姿勢。正式な後任は選考中。
⑤ スタンス別サマリー(投票権保有12名・2026年9月時点)
| スタンス | 人数 | メンバー |
|---|---|---|
| 強いタカ派 | 3 | ハマック、ローガン、カシュカリ |
| タカ派寄り | 3 | ウォーシュ、バー、クック※ |
| データ次第(中立〜タカ) | 1 | ウォラー |
| 中立〜タカ派寄り | 1 | ポールソン |
| 中立 | 4 | ジェファーソン、ボウマン、パウエル、ウィリアムズ |
※ クックの分類は8月7日の発言1本と、解任訴訟下という政治的文脈に基づく暫定的なもの。他の委員より根拠が薄い点に留意したい。
💡 タカ派/ハト派は固定的な性格ではない。カシュカリ総裁のように、かつてはハト派的と見られていた人物でも、インフレ環境が変化すれば利上げを支持することがある。定点観測として、発言のたびにこの分類が更新されていく点を踏まえておきたい。
📌 まとめ
FOMCは理事7名・地区連銀総裁12名の計19名で構成され、投票権を持つのは理事7名+NY連銀総裁+輪番4行の計12名。2026年9月時点では、ジャクソンホール会議(8月28日)以降にウォーシュ議長・バー理事・クック理事が相次いでタカ派寄りの発言を強めており、投票権メンバーの中に明確なハト派は見当たらない。
タカ派・ハト派の分類は固定的ではなく、発言のたびに変わりうる。この記事は今後も各メンバーの最新発言をもとに更新していく。
FOMCは理事7名・地区連銀総裁12名の計19名で構成され、投票権を持つのは理事7名+NY連銀総裁+輪番4行の計12名。2026年9月時点では、ジャクソンホール会議(8月28日)以降にウォーシュ議長・バー理事・クック理事が相次いでタカ派寄りの発言を強めており、投票権メンバーの中に明確なハト派は見当たらない。
タカ派・ハト派の分類は固定的ではなく、発言のたびに変わりうる。この記事は今後も各メンバーの最新発言をもとに更新していく。
📚 主な出典(一次情報)
- Federal Reserve Board「Chair Warsh’s Jackson Hole remarks: In Our Time」(2026年8月28日)
- Federal Reserve「FOMC Statement」(2026年4月29日)
- Federal Reserve「FOMC Statement」(2026年7月29日)
- 米最高裁判所「Trump v. Cook」意見書(2026年6月29日)
- Federal Reserve Board「Board Members」公式プロフィールページ
📚 参考報道(二次情報)
- 日本経済新聞「FRBが金利据え置き、3人が利上げ主張し反対」(2026年7月30日)
- Investing.com「バーFRB理事、インフレ鈍化なければ利上げ支持」(2026年9月)
- Investing.com「ウォラーFRB理事、ディスインフレ継続なら9月利上げ見送りも」(2026年9月)
- Bloombergほか「クック理事の解任を巡る最高裁判断」報道(2026年6月29日)/解任手続き再始動報道(2026年8月)
⚠️ 免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品への投資を推奨・勧誘するものではありません。掲載している分析・見解は筆者独自のものであり、投資に関する最終判断はご自身の責任において行ってください。相場には常にリスクが伴います。
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