キオクシアホールディングスは2026年10月30日、2027年3月期 第2四半期(2026年7〜9月期)の決算を発表しました。
7〜9月期の売上収益は2兆4,800億円で、前の四半期から4割増えました。この3か月の売上は、前期(2026年3月期)1年分の2兆3,376億円を上回っています。Non-GAAP営業利益は1兆9,883億円で、売上の8割が営業利益として残る計算です。売上と営業利益は、会社自身の予想と、決算前の市場予想の両方を上回りました。
一方、10〜12月期の見通しは、売上・利益とも前四半期比+1%程度の「横ばい」でした。営業利益の見通し2兆円は、市場予想の2兆3,500億円を約15%下回ります。メモリー価格の上昇は続いていますが、上昇幅は縮んでいます。
この記事では、7〜9月期の数字と、10〜12月期が「踊り場」になる理由を整理します。あわせて、初めての配当と「余剰キャッシュの100%還元」の方針も見ていきます。
前回(2026年4〜6月期)の決算記事はこちらです。
→ 【キオクシア決算】4-6月期は記録的増収増益もコンセンサス未達、株式分割・自社株買い8,000億円のトリプル還元~AIサーバー需要でSSD&ストレージが牽引
キオクシアの7〜9月期は、売上収益2兆4,800億円(前四半期比+40%)、Non-GAAP営業利益1兆9,883億円(同+50%)でした。いずれも会社予想と市場予想(Bloomberg集計)を上回りました。ただし10〜12月期の見通しは前四半期比+1%程度にとどまり、営業利益2兆円は市場予想の2兆3,500億円を約15%下回っています。
① 平均販売単価の上昇率は、4〜6月期の約70%から7〜9月期は20%台半ばへ縮小。10〜12月期は「緩やかな上昇」の見込み
② 会社は、10〜12月期は物量が横ばいで、1〜3月期に物量が大きく増えると説明。2027年の生産能力はほぼ売り切れ
③ 上場後初の配当(1株90円、分割前ベース)を実施。余剰キャッシュの100%を株主に還元する方針を打ち出した
キオクシアとはどんな会社か
キオクシアホールディングス(東証プライム:285A)は、NAND型フラッシュメモリーの大手メーカーです。前身は東芝のメモリー事業で、代表取締役社長は太田裕雄氏です。
事業はメモリーの1本だけで、売上は製品の用途で3つに分けて開示しています。
- SSD & ストレージ:データセンター・企業向けのSSDと、PC向けのSSDなど
- スマートデバイス:スマートフォン、タブレット、テレビ、車載向けなどの組み込み型メモリー
- その他:SDカードやUSBメモリー、米Sandiskとの製造合弁会社を通じたSandisk向けの売上など
四日市工場(三重県)と北上工場(岩手県)は、Sandiskと共同で運営しています。
決算の全体像:会社予想も市場予想も上回る
| 指標 | 実績 | 会社予想(7/31) | 市場予想(Bloomberg) | 前年同期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 2兆4,800億円(前四半期比+40.3%) | 2兆3,900億円 | 2兆4,499億円 | 4,483億円 |
| Non-GAAP営業利益 | 1兆9,883億円(利益率80.2%) | 1兆9,000億円 | ― | 872億円 |
| 営業利益(IFRS) | 1兆9,947億円 | ― | 1兆9,480億円 | 859億円 |
| Non-GAAP純利益 | 1兆3,486億円 | 1兆2,800億円 | ― | 417億円 |
| 純利益(IFRS) | 1兆3,557億円 | ― | ― | 407億円 |
| 調整後粗利益率 | 84% | ― | ― | 32% |
| 米ドル平均レート | 161円 | 162円 | ― | 147円 |
※2026年7〜9月期。市場予想は、SBI証券が10月23日付のレポートで引用したBloomberg集計です[7]。純利益は親会社の所有者に帰属する四半期利益です。出所:決算短信[1]、決算説明会資料[2]
会社予想との比較では、売上は900億円(+3.8%)、Non-GAAP営業利益は883億円(+4.6%)上振れしました。市場予想との比較では、売上が約300億円(+1.2%)、営業利益が約470億円(+2.4%)上回りました。
上振れの理由として、会社は単価と物量がどちらも想定を上回ったことを挙げています。為替は想定より1円の円高で、営業利益を約140億円押し下げましたが、それを吸収した形です[3]。
前回の4〜6月期は、売上(1兆7,671億円)・営業利益とも、決算前の市場予想(Bloomberg集計、売上1兆8,356億円・営業利益1兆3,701億円)にわずかに届きませんでした[6][9]。今回はその逆です。
キオクシアの業績を長い期間で見ると、今の水準の大きさがわかります。
四半期の売上収益とNon-GAAP営業利益の長期推移(2020年4〜6月期〜2026年7〜9月期)
単位:億円。1本が1四半期。下の数字は各年の4〜6月期の位置(例:「20」=2020年4〜6月期)
売上収益(目盛り0〜24,800億円)
直近:2026年4〜6月期 17,671/7〜9月期 24,800。それ以前の最高は2024年7〜9月期の4,809
Non-GAAP営業利益(目盛り△1,658〜19,883億円、0の線より下は赤字)
赤字が最も大きかったのは2023年1〜3月期の△1,658億円。2026年7〜9月期は19,883億円。売上と営業利益は目盛りが異なります。出所:財務データ集[5]、決算説明会資料[2]
| 時期 | 売上収益 | Non-GAAP営業利益 |
|---|---|---|
| 前回の好況期のピーク(2024年7〜9月期) | 4,809億円 | 1,663億円 |
| 前回の不況期で赤字が最大の四半期(2023年1〜3月期) | 2,452億円 | △1,658億円(赤字) |
| 今回(2026年7〜9月期) | 2兆4,800億円 | 1兆9,883億円 |
出所:財務データ集[5]
今回の売上は、前回の好況期のピークの約5倍です。一方で、メモリー業界は好況と不況を繰り返してきました。このグラフは、その振れ幅の大きさも示しています。
IFRSの営業利益がNon-GAAPを上回った理由
今回は、IFRSの営業利益(1兆9,947億円)がNon-GAAPの営業利益(1兆9,883億円)を64億円上回りました。株式報酬費用が64億円の戻し入れ(利益の側)になったためです。4〜6月期に計上した訴訟損失引当金(366億円)のような費用は、7〜9月期はありませんでした[1]。
何が伸びたのか:単価が主役、物量も過去最高
会社によると、平均販売単価(ドルベース)は前四半期比で20%台半ば上がりました。同じ仕様の製品どうしで比べると、30%台前半の上昇です。単価はすべての用途で上がりました。出荷量(記憶容量ベース)は10%台前半増えました[2][3]。
用途別売上収益の推移(6四半期、億円)
SSD & ストレージ スマートデバイス その他
目盛りは0〜24,800億円。右の数字は売上収益の合計。2026年7〜9月期はSSD & ストレージ16,160、スマートデバイス7,889、その他752。出所:決算説明会資料[2]
| 用途 | 7〜9月期 | 前四半期比 | 前年同期比 | 売上構成比 |
|---|---|---|---|---|
| SSD & ストレージ | 1兆6,160億円 | +37.6% | +560.8% | 65% |
| スマートデバイス | 7,889億円 | +50.1% | +401.5% | 32% |
| その他 | 752億円 | +12.6% | +61.7% | 3% |
出所:決算説明会資料[2]
- SSD & ストレージ:売上の6割台半ばがデータセンター・企業向け、3割台半ばがPC向けなどです。AIサーバー向けの需要が強く、データセンター・企業向けSSDは物量・売上とも過去最高でした。
- スマートデバイス:販売価格が大きく上がり、7〜9月期の増収の大半を担いました。伸び率は3つの用途で最も高い+50%です。
| 期間 | 平均販売単価の上昇率(前四半期比、米ドルベース) |
|---|---|
| 2026年4〜6月期 | 約70% |
| 2026年7〜9月期 | 20%台半ば(同仕様比では30%台前半) |
| 2026年10〜12月期(会社見通し) | 「緩やかに上昇」(数値は非開示) |
※米ドルベースであることは、決算説明会資料p.9の脚注によります[2]。4〜6月期の約70%はBloombergの報道によります[8]。10〜12月期は質疑応答集[4]。会社が数値を示していないため、グラフにはしていません。
単価はまだ上がっていますが、上昇のペースははっきり落ちています。
生産面では、最新世代の「第8世代BiCS FLASH」の生産比率を、2027年3月末までに80%超へ引き上げる計画で、順調に進んでいるとのことです。研究開発費は577億円で、前四半期から183億円(+46%)増えました。通期では約2,000億円を見込んでいます[3]。
10〜12月期の見通し:「同水準」で市場予想を下回る
| 項目 | 7〜9月期実績 | 10〜12月期見通し | 前四半期比 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 2兆4,800億円 | 2兆5,000億円 | +0.8% |
| Non-GAAP営業利益 | 1兆9,883億円 | 2兆円 | +0.6% |
| 営業利益(IFRS) | 1兆9,947億円 | 1兆9,950億円 | +0.0% |
| Non-GAAP純利益 | 1兆3,486億円 | 1兆3,650億円 | +1.2% |
| 純利益(IFRS) | 1兆3,557億円 | 1兆3,600億円 | +0.3% |
| Non-GAAP EPS(分割後) | 833.94円 | 854.24円 | +2.4% |
| 米ドル平均レート | 161円 | 157円 | 4円の円高 |
※EPSは、株式分割(2026年10月1日、1株→3株)後のベースです。中間配当90円は分割前ベースです。いずれも決算短信の記載どおりです[1]。
※10〜12月期の営業利益の市場予想(2兆3,500億円)は、Bloombergの報道によります[8]。集計に加わった社数と、IFRSかNon-GAAPかの区別は記事に記載がありません。
市場予想の営業利益2兆3,500億円に対し、会社見通しの2兆円は約3,500億円(約15%)下回りました。
決算短信は、10〜12月期について「データセンター向けの需要が旺盛に推移することが予想されるものの、為替の悪化を見込むことなどから」7〜9月期と同水準の業績を見込む、としています[1]。
Non-GAAP営業利益:7〜9月期から10〜12月期見通しへ(億円)
帯は0から20,000億円までの目盛りで描いています
為替の影響額は決算説明会資料のスピーカーノートによる営業利益への影響[3]。「為替以外」は差し引きで求めた筆者計算です。
横ばいになる3つの理由
会社の説明資料と質疑応答集から、理由は3つにまとめられます[3][4]。
- 為替:想定レートは1ドル157円で、7〜9月期の161円から約4円の円高です。営業利益を約550億円押し下げます。為替の影響を除くと、営業利益は約2兆550億円、前四半期比+3%程度になります(筆者試算)。なお、10月の為替レートは確定済みで、11〜12月は未確定です。
- 物量が横ばい:一部を7〜9月期に前倒しで販売しました。また、納品までの期間(リードタイム)が長いデータセンター・企業向けの比率が上がり、出荷の一部が1〜3月期にずれます。
- 単価の上昇が緩やか:10〜12月期はスマートデバイスの比率が相対的に高くなるため、全体の平均単価の上昇は緩やかになる見込みです。
EPSの伸び(+2.4%)が純利益の伸びを上回るのは、8月の自社株買いで株式数が減った効果です。
1〜3月期については「物量が大きく増える」
会社は、1〜3月期には強い需要に加え、10〜12月期からずれ込む分もあり、出荷量が大きく増えると説明しています。資料では「成長モメンタムはQ4(1〜3月期)に向けてさらに加速」としています。ただし、1〜3月期の数値見通しは出していません[2][4]。
一部報道は、会社側が「2027年度も値上げが続くかは不透明」と述べたと伝えています。会社の質疑応答集では、「CY27を通して供給不足が続くと見ており、基本的にはASPは上昇傾向。上昇の程度については引き続き注視」と書かれています[4]。本記事は会社公表の質疑応答集の表現に従います。
前回記事の補足
前回の記事では、7〜9月期の会社予想(純利益1兆2,700億円)が決算前のQUICKコンセンサス(1兆3,431億円)に届いていないと書きました。実際の7〜9月期は、純利益(IFRS)が1兆3,557億円と、その会社予想・コンセンサスをともに上回りました。会社予想は4〜6月期に続き、控えめな水準に置かれていたことになります[10]。
会社の需要見通し:2027年は売り切れ、2028年も半分超を契約済み
会社が示したNAND需要の見通し(2027年にかけて)
データセンター・企業向け
↑ 極めて旺盛
エージェント型AIの普及で需要が続く。KVキャッシュ向け、大容量QLC SSDの採用が進む
スマートフォン
→ 大きな変動なし
低価格機は台数の減少が加速。高価格機は堅調
PC
↓ 減少
部品コストの上昇で台数が減り、NAND需要も2027年にかけて減少
市場全体の需要の伸び(記憶容量ベース):2026年 10%台後半 → 2027年 20%台前半
いずれも会社の推計(Kioxia Internal Market Outlook)。出所:決算説明会資料[2]
会社が示したNAND市場の見通しは次のとおりです(会社の推計)[2]。
- データセンター・企業向け:エージェント型AIの普及で、需要は引き続き極めて旺盛。AIの処理中のデータを一時的に保持する「KVキャッシュ」向けの需要が伸びている。大量のデータを保存する大容量SSD(QLC)の採用も進んでいる
- スマートフォン:低価格機は台数の減少が加速しているが、高価格機は堅調。NANDの需要は2027年にかけて大きな変動なし
- PC:部品コストの上昇で台数が減り、NANDの需要も2027年にかけて減少
- 市場全体の需要の伸び(記憶容量ベース):2026年は10%台後半、2027年は20%台前半。キオクシア自身の出荷も市場並みの伸びを想定
- 2027年の生産能力は、ほぼすべて顧客への割り当てが済んでいる(会社は「SOLD OUT」と表現)
- 2028年は、複数年の長期供給契約(LTA)で、出荷量の50%を大きく上回る分を確約済み
- 2029年・2030年についても、顧客との対話を始めている
QLC SSDでは、容量245TBを含む「LC9」シリーズの量産を始めました。会社は、従来のHDD(ハードディスク)の置き換え需要も取り込めると見ています[4]。
キャッシュフローと財務:現金は1.4兆円、ただし税金の支払いが控える
| 項目(2026年7〜9月期) | 金額 |
|---|---|
| 営業キャッシュフロー | 1兆5,132億円(前四半期比 約1.7倍) |
| 設備投資(総額) | △846億円 |
| ネット設備投資(補助金などを差し引き) | △752億円 |
| コアFCF(営業CF − ネット設備投資) | 1兆4,380億円(過去最高) |
| 財務キャッシュフロー | △8,270億円(自社株買い8,000億円が中心) |
出所:決算説明会資料[2]
7〜9月期の現金の増減(億円)
緑は増加、赤は減少。帯は0から23,042億円までの目盛りで描いています
財務CFの中心は8月に完了した自社株買い8,000億円。出所:決算説明会資料[2]
| 項目 | 2026年9月末 | 2026年3月末 |
|---|---|---|
| 現金及び現金同等物 | 1兆3,973億円 | 4,707億円 |
| 社債及び借入金 | 6,039億円 | 1兆476億円 |
| ネットキャッシュ(現金 − 借入) | 8,127億円 | △5,521億円(借入が上回る) |
| 未払法人所得税 | 9,747億円 | 1,045億円 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 49.8% | 37.9% |
自社株買いで8,000億円を使った後でも、手元の現金は借入を8,127億円上回っています。
注意したいのは税金です。利益が急増したため、9月末の未払法人所得税は9,747億円(前期末比+8,702億円)に膨らみました。上期に実際に支払った法人税は約1,107億円にとどまっています[1]。会社は「今後多額の税金の支払いが予定されている」と説明しており、この分を考えて手元の現金を厚くしたとしています[4]。
もう一つは運転資本です。売上の急増で売掛金などの営業債権が9月末に1兆6,484億円まで増え、営業CFを押し下げる要因になっています[1]。
設備投資は前倒し
- 下期(10月〜3月)の設備投資(総額)は3,300億円、通期で4,700億円の見込み(前期は2,837億円)[3]
- 中期計画の3年間の予算の中で、来年度分の一部を今年度に前倒ししている。3年間の総額は大きく変えない方針[4]
- 北上工場で、第3製造棟(K3)の建設予定地の整備を始めた。稼働開始は2029年度中の予定で、最先端のBiCS FLASHを生産する[2]
- 子会社のキオクシア岩手を、キオクシア株式会社が吸収合併する[3]
棚卸資産の保有日数は94日(6月末は102日)で、会社は「適正水準を下回る」としています。この在庫には、DRAMの戦略在庫も含まれます[3]。4〜6月期には、台湾のDRAMメーカーNanya Technologyの株式取得に782億円を支出しています[1]。
株主還元:初配当と「余剰キャッシュ100%還元」
株主還元の流れ
2026年8月(実施済み)
自社株買い
8,000億円
ネットキャッシュを達成した後、資本効率を高めるために実施
2026年10月(今回発表)
中間配当
480億円
1株90円(分割前ベース)。上場後初の配当
下期〜中長期(今回の方針)
余剰キャッシュ
100%を還元
機動的な自社株買いと累進配当
- 中間配当:1株90円(株式分割前ベース。分割後なら30円相当)、総額480億円。上場後初めての配当で、支払開始は12月8日の予定です。前回の予想(無配)から修正されました[1][6]
- 期末配当:金額は未定ですが、実施する予定です。累進配当(原則として減配せず、維持か増配する)を基本方針とします
- 還元方針:設備投資・研究開発・人材・M&Aなどの成長投資と、必要な支出に充てた後の余剰キャッシュを、中長期的に100%株主に還元する
- 財務の目安:現金が有利子負債を上回る「ネットキャッシュ」の状態を維持する
今回は追加の自社株買いを発表しませんでした。会社は「見送った」のではなく、8月に8,000億円を実施したため、下期の投資の状況を見極めるまで「一旦保留」していると説明しています。配当と自社株買いのバランスは、当面は自社株買いを中心にする考えです[4]。
なお、自社株買いと利益の積み上がりで、過去12か月のROIC(投下資本利益率)は102%に達しました(会社算出)[2]。
リスク
- 単価の減速:今回の増益は単価の上昇が主役。上昇率は約70%→20%台半ば→「緩やか」と縮んでいる。上昇が止まれば、横ばいの業績がそのまま天井になる可能性がある
- メモリー特有の景気の波:2022〜23年には四半期で最大1,658億円の営業赤字を出した。各社が増産に動けば、需給は緩む
- PC・スマートフォンの需要減:部品コストの上昇でPCの台数は減り、低価格スマートフォンも減速している
- 為替:1円の円高で、四半期の営業利益が約140億円減る(10〜12月期の想定販売量が前提)
- 税金の支払い:9,747億円の未払法人所得税の支払いで、手元の現金は一時的に減る見込み
- 訴訟:4〜6月期に、米Viasatとの特許訴訟に関連して訴訟損失引当金366億円を計上した
出所:決算説明会資料[2]、決算短信[1][6]、財務データ集[5]
今後の注目点
次回(2026年10〜12月期)の決算では、次の点を確認したいところです。
| 確認する対象 | 見るポイント |
|---|---|
| 平均販売単価 | 「緩やかな上昇」が実際に何%だったか |
| 出荷量 | 会社の説明どおり横ばいだったか。1〜3月期の大幅増の見通しが維持されるか |
| 1〜3月期の見通し | 「成長が加速する」との説明が数字に表れるか |
| 2027年の価格 | 長期契約の中で、単価の上昇が続くか |
| 現金残高 | 法人税の支払い後に、ネットキャッシュがどの水準か |
| 株主還元 | 追加の自社株買いと、期末配当の金額 |
| 設備投資 | 通期4,700億円の計画どおりか。K3の進捗 |
まとめ
- 確認できたこと:7〜9月期は、3か月の売上が前期1年分を上回った。単価と物量がともに想定を上回り、会社予想も市場予想も超えた。コアFCFは1兆4,380億円で、8,000億円の自社株買いの後もネットキャッシュを保っている
- 課題:10〜12月期の見通しは前四半期比+1%程度で、市場予想を約15%下回った。為替、物量のずれ込み、単価の上昇の鈍化が重なった
- 会社の見方:1〜3月期は物量が大きく増え、2027年の生産能力は売り切れ。2028年も出荷の半分超を長期契約で確保している
- まだ分からないこと:2027年に単価がどこまで上がるか、1〜3月期の具体的な数字、追加の自社株買いの時期と規模
キオクシアの焦点は、「どこまで値上げできるか」から、「値上げが落ち着いた後も、物量と長期契約で利益を伸ばせるか」へと移りつつあります。
データについて:本記事の数値は、キオクシアホールディングスが2026年10月30日に公表した決算短信、決算説明会資料、質疑応答集、財務データ集、および報道にもとづきます。為替影響を除いた営業利益、前四半期比・会社予想比・市場予想比の変化率は筆者の計算です。市場予想は、7〜9月期をSBI証券が引用したBloomberg集計(10月23日付)、10〜12月期の営業利益をBloombergの報道、4〜6月期をIG証券が引用したBloomberg集計(7月28日付)によりました。決算期は会社の表記(FY2026=2027年3月期)ではなく、暦の月で記載しています。図は公表資料の数値をもとに作成しました。
主な出典
- キオクシアホールディングス『2027年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)』(2026年10月30日)
- 同社『2027年3月期 第2四半期 決算説明会』資料(2026年10月30日)
- 同社『2027年3月期 第2四半期 決算説明会』資料(スピーカーノート付き、2026年10月30日)
- 同社『2027年3月期 第2四半期 決算説明会 質疑応答集』
- 同社 IRサイト掲載の財務データ集(xlsx、2026年10月30日時点)
- 同社『2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)』(2026年7月31日)
- SBI証券『日本株投資戦略』(2026年10月23日、Bloomberg集計の市場予想を引用)
- Bloomberg『Kioxia Warns Flash Memory Prices Stalling After Outlook Miss』(2026年10月30日)
- IG証券『キオクシア 2026年4-6月期決算プレビュー』(2026年7月28日、Bloomberg集計の市場予想を引用)
- ぱぶちゃんのファンダメンタルlab『【キオクシア決算】4-6月期は記録的増収増益もコンセンサス未達…』(2026年7月31日)
✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年
ファンダメンタルを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。たまにチャート分析もします。ナンピンは得意です。
X(旧Twitter):@pablo29god
免責事項:本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。また、特定の企業・政策・団体等への評価や意見を代表するものではありません。本記事は公開されている一次資料・報道をもとに事実関係を整理したものであり、独自の取材に基づくものではありません。市場価格は常に変動しており、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではありません。最新の情報については各出典元をご確認ください。執筆者は金融商品取引業者ではなく、投資助言業の登録を受けていません。投資判断はご自身の責任で行ってください。FX・先物・CFD取引はレバレッジにより、預けた元本を超える損失が生じる可能性があります。


コメント