簗農水相「道路予算カット」発言を整理|選挙結果・配分データ・国交省の説明(10月9日時点)

ニュース解説

2026年5月、簗和生(やな・かずお)氏が栃木県大田原市の懇親会で「那須烏山市と那珂川町の本年度の道路予算は大幅にカットした」などと発言したと報じられました。簗氏は9月17日に農林水産大臣に就任しており、10月に入って発言が大きな問題になっています。

この記事では、発言の経緯、2026年2月の衆院選の結果、国土交通省が公表した配分データ、国交省の説明、党内と国会の動きを、確認できた事実と未確認の部分に分けて整理します。最後の「9.」のみ、筆者の見方を含みます。

※本記事は2026年10月9日時点の内容です。数字は、国交省が公表した配分表と、各報道機関の記事にもとづきます。報道機関の記事に出てくる評価は、その媒体の見方であり、筆者が検証したものではありません。4章の市町別の配分額は、国交省の事業一覧から筆者が集計したもので、県が実施主体の事業は含みません。国交省が10月6日に公表した精査結果には、県事業を含めたエリア合計の数字もあり、4章に併記しています。違法かどうかを判断するのは司法機関であり、筆者はその立場にありません。

⏱ 30秒で読む結論

簗農水相は、衆院選で自分を応援しなかった首長の2市町について、道路予算を「カットした」と発言したと報じられました。国の交付金(道路分)では、栃木県全体が+14.2%の増額となる中で、市町が実施主体の事業は、この2市町で大きく減っています。ただし国交省は、県事業を含めたエリア合計では、2市町とも増えていると説明しています。国交省は、説明の場で「働きかけや圧力を受けたことはなかったと思う」と述べ、簗氏は発言を「誇張」だったと撤回しましたが、市町事業がなぜ減ったのかは説明されていません。


① 発言と、2市町の市町事業の減少の数字は、ほぼ一致している(県事業を含めたエリア合計は増)
② 国交省側は「なかったと思う」と説明するが、その根拠は、当時の担当者が「メモがなく、覚えていない」こと
③ 簗氏は2月中旬に国交省へ問い合わせており、市町事業が減った理由は、まだ説明されていない

1. 何が起きたか(時系列)

  • 5月24日(報道による):栃木県大田原市の自民党支部の懇親会で、簗氏が「那須烏山市と那珂川町の本年度の道路予算は大幅にカットした」などと発言したと報じられました。両市町の首長は、衆院選で簗氏を支援しませんでした。
  • 9月17日:第2次高市改造内閣で、農林水産大臣に就任しました(初入閣)。
  • 9月30日:週刊誌が、発言の音声を報じました。
  • 10月2日:午前の会見では、「大臣就任前の一議員としての活動」を理由に回答を避けました。夕方の会見で発言を認め、「誤解を招くような言いぶりだった」と釈明し、国交省への働きかけは否定しました。
  • 10月5日:発言を撤回し、陳謝しました。辞任は否定しています(NHK)。
  • 10月6日:閣議後会見で、「党員が集まっている中で、高揚感があり少し誇張した表現をしてしまった」と述べました。簗氏を支持した首長の自治体で交付金が増えたとの報道については、「私からの働きかけはない」としています。
  • 10月6日(国交省):国交省が、精査結果を公表しました(4章・6章)。
  • 10月9日:自民党の委員会で、鈴木宗男参院議員から叱責され、謝罪しました(7章)。

2. 簗和生氏とは

栃木県第3区選出の衆院議員で、当選6回、旧安倍派に所属してきました。今回が初入閣です。首相官邸のプロフィールによると、2003年3月に慶應義塾大学商学部を卒業し、衆院議員の秘書、東京大学大学院経済学研究科(修士課程)の修了、日本経済研究所の研究員を経て、2012年の衆院選で初当選しました。

党では、農林部会長、副幹事長(筆頭)、報道局長などを務め、政府では、国土交通大臣政務官、内閣府大臣政務官、文部科学副大臣などを務めています。派閥の政治資金問題では、旧安倍派からの還付金など1,746万円の不記載があり、党から6か月の役職停止処分を受けたと報じられています。

事務所は、栃木県大田原市にあります(簗氏の公式サイトの事務所案内。自民党栃木県第三選挙区支部長の事務所として掲載)。報道されている5月24日の発言の場も、同じ大田原市でした。

3. 選挙結果(栃木3区、2026年2月)

候補得票数得票率
渡邊真太朗(無・新)58,48343.9%
簗和生(自民・前)※比例復活53,97540.6%
伊賀央(中道・新)20,61115.5%

票差は4,508票で、簗氏の惜敗率は約92.3%でした。比例代表で復活当選しています。市町別の結果は次のとおりです。

市町市町内で最多得票票差簗氏の得票率
大田原市簗+23743.5%
矢板市渡邊+54040.4%
那須塩原市簗+2,29143.5%
那須烏山市渡邊+5,88221.7%
那須町簗+1,28445.1%
那珂川町渡邊+1,89832.2%
  • 発言で名指しされた那須烏山市(21.7%)と那珂川町(32.2%)は、6市町の中で、簗氏の得票率が最も低い2つです。
  • 那須烏山市だけで、渡邊氏が5,882票上回っています。全体の票差(4,508票)を上回る数字です。
  • 簗氏の事務所がある大田原市は、簗氏が237票差で勝ちました。6市町の中で、最も小さい勝ち幅です。

4. 配分データ(国交省公表、道路分、想定国費)

国交省が公表している、栃木県の社会資本整備総合交付金・防災・安全交付金(道路分)の配分表では、県全体は増えています。

令和7年度令和8年度増減
防災・安全交付金約67.6億円約78.4億円+16.0%
社会資本整備総合交付金約42.2億円約47.0億円+11.3%
合計約109.8億円約125.4億円+14.2%

市町が実施主体の事業を、6市町で見ると、減ったのは2つだけです。

市町令和7→8年度(全事業の合計)
那須烏山市約1.42億円 → 1.05億円(−26%)
那珂川町約4,934万円 → 2,262万円(−54%)
矢板市約7,805万円 → 1.06億円(+36%)
大田原市約1.15億円 → 1.40億円(+22%)
那須塩原市約1.25億円 → 1.34億円(+7%)
那須町令和7年度は配分表になし → 令和8年度は約5,577万円
  • 報道されている「那須烏山市 約63%減」は、社会資本整備総合交付金のうち「拠点間の道づくり計画」だけの数字です(約6,535万円→2,427万円)。この数字は、報道と一致しました。市の全事業を合計すると、−26%です。
  • 那須烏山市の谷浅見工区(約2,444万円)は、令和7年度は拠点間の計画にありましたが、令和8年度は通学路整備の計画(防災・安全交付金)に移っています。それを含めて同じ範囲で比べると、約30%減です。
  • 令和8年度予算は4月7日に成立し、同日、国交省が各自治体へ内定通知を出しました。報道されている5月24日の発言より前です。

国交省の精査結果(10月6日公表):県事業を含めたエリア合計

国交省道路局は、10月6日に「道路予算に係る週刊誌報道を受けた精査結果について」を出しました。公表されている箇所表をもとに、市町事業に、そのエリアの県事業を足した合計を示しています(単位は百万円、想定国費)。

エリア区分令和7年度令和8年度増減
那須烏山市エリア合計325392+20.5%
うち県事業183287+56.6%
うち市事業142105△26.2%
那珂川町エリア合計262319+22.0%
うち県事業213297+39.6%
うち町事業4923△54.1%
  • 市町が実施主体の事業だけを見ると減り、県事業を足したエリア合計では増える、という対比は、国交省の資料にあります。
  • 簗氏の発言は「道路予算」で、国交省も、配分は「社会資本総合整備計画」単位で決定している、としています。県事業と市町事業のどちらを指して発言したのかは、発言からは分かりません。
  • 国交省は、2月に簗氏から問い合わせのあった事業(令和6・7年度の実施事業)について令和8年度の配分額を整理すると、那須烏山市分は64%減、新規掲載の3事業を含めると26.2%減としています。那珂川町分は、全て含まれており、数値は同じです。

5. 首長の支持との突き合わせ(一部報道による)

一部の報道によると、各市町の首長の支持先は、次のとおりです。

市町首長が応援した候補(報道)配分の変化
那須烏山市渡邊氏(簗氏は支持せず)減
那珂川町渡邊氏(簗氏は支持せず)減
那須塩原市簗氏増
那須町簗氏増
矢板市簗氏(赤旗の記述のみ)増
大田原市確認できず増
  • 那須烏山市と那珂川町の首長が簗氏を支持しなかったことは、毎日新聞(TNC配信)や赤旗などが伝えています。
  • 那須塩原市・那須町・矢板市の首長が簗氏を支持したことは、しんぶん赤旗が伝えています。矢板市は、他の報道で確認できていません。
  • 大田原市は、2026年3月に市長選がありました。衆院選の時点と現在の首長が異なる可能性があり、支持先は確認できていません。
  • 矢板市は、住民の票は渡邊氏が多く、簗氏の得票率は40.4%でした。それでも配分は+36%です。得票より、首長の支持のほうが配分の動きと重なって見えますが、サンプルは6市町で、因果関係は示せません。

6. 国交省の説明と調査

会見(10月2日・6日)

  • 井林国交相は、交付金の配分は、限られた予算の中で、自治体の要望、事業の進捗、重点配分の有無を総合的に見て決めている、と繰り返しました。
  • 「報道されているような形で道路予算が削減された事実はない」と報告を受けている、と述べました。
  • 2市町がなぜ減ったのかは、10月2日も6日も、答えていません。
  • 簗氏からの口利きや相談の有無、配分の際の簗氏側への説明(レク)の有無は、精査の対象に含まれると認めました。
  • 10月6日、簗氏を支援した那須塩原市・那須町で、同じ交付金が増額されたという取材結果を記者が示しました。大臣は、その朝の報道で初めて知ったと述べています。

調査の結論(国交省の精査結果、10月6日公表)

  • 2月中旬頃:簗氏から国交省の国会担当等に対し、那須烏山市と那珂川町で令和8年度に実施する事業への予算配分額について、問い合わせがありました。
  • 国交省は、その場では「わからない」などと回答しました。予算成立前だったため、令和6・7年度の配分実績を整理しました。
  • 4月7日:令和8年度予算が成立し、国交省が各自治体へ内定通知を出しました。
  • その後、国交省が、整理した事業の令和8年度分の配分額を、簗氏に説明しました。
  • 日本経済新聞は、国交省の調査結果を「圧力は確認されず」と報じています。なお、10月6日の精査結果のPDF自体は、圧力の有無を結論づけていません。

つまり、簗氏から国交省への問い合わせは、配分が決まる前の2月にありました。この点は、簗氏が10月2日の会見で述べた「後から国交省に問い合わせて聞いた話だった」という趣旨の説明とは、時期がずれます。

  • 日テレNEWS(10月6日)によると、国交省の説明は、「(簗氏とやり取りをした)本人もですね、はっきりと覚えていないくらいであるから働きかけや圧力を受けたことはなかったと思います」というものでした。担当者も、細かいメモがないので、はっきり覚えていない、としています。
  • 朝日新聞(10月6日)は、当時の黒田昌義官房長が議員会館の自室に呼び出されたと書いています。聞き取りでは、「細かいメモもなく、はっきり覚えていない」「はっきりと覚えていないくらいだから、働きかけや圧力を受けたことはなかったと思う」と述べたとされています。
  • つまり、説明側は「なかったと思う」と述べており、その根拠は「メモがなく、覚えていない」ことです。
  • 調査をしたのは、配分を決めた国交省自身です。
  • メモはないと説明されていますが、記録そのものは公表されていません。公表されていないのは、やり取りの逐語と、圧力の有無を第三者の記録で裏づける資料です。

アゴラは、令和8年度の配分の公表(4月7日)が発言(5月24日)より前だったことから、簗氏は決まった結果を自分の手柄のように語っただけではないか、との見方を示しています。ただ、決定前の2月に簗氏が問い合わせていた事実が公表されたため、「配分の公表後の手柄話」とだけ見ることはできなくなりました。決定前に問い合わせたうえで、5月に「カットした」と語った、というのが、国交省の公表資料から確認できる流れです。

7. 党内と国会

10月9日朝の党の委員会

朝日新聞によると、自民党本部で開かれた「農業構造転換推進委員会」で、簗氏は冒頭に「必要な予算については、確実に勝ち取る、その思いで取り組んでいく」などとあいさつし、騒動への謝罪はしませんでした。これに対し、鈴木宗男参院議員が、次のように述べました。

  • 「ちょっと大臣、これ親切で言うんだけどね」
  • 「まず冒頭にお騒がせしてますだとか、しっかり説明責任を果たしてやってまいりますよと、あいさつがあってしかるべきじゃないかな」
  • 「決意表明の前に人としての矜持(きょうじ)が問われているんだよ」

簗氏は再び立ち上がり、「私の不徳でありまして、心から皆さんに、おわびを申し上げます」と述べて、深く頭を下げました。会場の議員からは「がんばれ」などの声もあり、朝日は、与党内に簗氏への批判と、今後の政権運営への不安があることを物語る場面だと伝えています。

党幹部と首相

  • 萩生田幹事長代行は、10月6日の会見で、政治家の発言は重いとして、「大臣自身が説明責任を果たしてもらいたい」と述べました(自民党公式の会見記録)。辞任には言及していません。
  • 高市首相は、簗氏を「厳しく注意」したうえで、続投の姿勢です。任命責任は自分にあるとしつつ、まず本人が適切に説明することが重要だと述べたとされています(J-CAST)。

国会の構図

  • 参院は、与党が少数です。自民党の小林政調会長が、10月1日に「参院で少数与党の現実がある」と述べています(共同)。
  • 会期は10月5日から12月12日までの69日間です。飲食料品の消費税を8%から1%に2年間下げる法案(2027年4月開始)が、与党の方針では、今月中に衆院で審議入りする予定です(共同)。
  • 法律案は、参院が否決した場合や、60日以内に議決しない場合に、衆院で出席議員の3分の2以上の賛成で再可決すれば成立します。衆院の会派別の所属議員数は、下の表のとおりです。

衆議院の会派別所属議員数(令和8年9月28日現在、衆議院ウェブサイトより)

会派所属議員数(うち女性)
自由民主党・無所属の会315(39)
中道47(8)
日本維新の会36(1)
国民民主党・無所属クラブ28(8)
参政党15(8)
チームみらい11(2)
日本共産党4(2)
志士の会2(0)
無所属6(0)
欠員1
計465(68)
  • 衆院の定数465に対し、欠員が1で、議員は464人です。全員が出席した場合、3分の2は約310人です。
  • 「自由民主党・無所属の会」の315人は、この人数を上回ります。ただし、会派の人数であり、議長の扱いや欠席、各議員の賛否は考慮していません。
  • 参院は与党が少数のため、参院で否決されても、衆院で3分の2以上を確保できるかどうかが、法案成立の分かれ目になります。ただし、再可決には、参院の否決または60日の経過が必要で、会期(12月12日まで)との関係もあります。

8. 公職選挙法(条文)

本件に関連して、公職選挙法との関係を指摘する報道や識者の発言があります。該当しうる条文は、次のとおりです。適用の可否を判断するのは司法機関で、筆者は判断しません。

第十六章 罰則
(買収及び利害誘導罪)

第二百二十一条 次の各号に掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
一 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込み若しくは約束をしたとき。
二 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対しその者又はその者と関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の直接利害関係を利用して誘導をしたとき。
三 投票をし若しくはしないこと、選挙運動をし若しくはやめたこと又はその周旋勧誘をしたことの報酬とする目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し第一号に掲げる行為をしたとき。
四 第一号若しくは前号の供与、供応接待を受け若しくは要求し、第一号若しくは前号の申込みを承諾し又は第二号の誘導に応じ若しくはこれを促したとき。
五 第一号から第三号までに掲げる行為をさせる目的をもつて選挙運動者に対し金銭若しくは物品の交付、交付の申込み若しくは約束をし又は選挙運動者がその交付を受け、その交付を要求し若しくはその申込みを承諾したとき。
六 前各号に掲げる行為に関し周旋又は勧誘をしたとき。
2 中央選挙管理会の委員若しくは中央選挙管理会の庶務に従事する総務省の職員、参議院合同選挙区選挙管理委員会の委員若しくは職員、選挙管理委員会の委員若しくは職員、投票管理者、開票管理者、選挙長若しくは選挙分会長又は選挙事務に関係のある国若しくは地方公共団体の公務員が当該選挙に関し前項の罪を犯したときは、四年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。公安委員会の委員又は警察官がその関係区域内の選挙に関し同項の罪を犯したときも、また同様とする。
3 次の各号に掲げる者が第一項の罪を犯したときは、四年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
一 公職の候補者
二 選挙運動を総括主宰した者
三 出納責任者(公職の候補者又は出納責任者と意思を通じて当該公職の候補者のための選挙運動に関する支出の金額のうち第百九十六条の規定により告示された額の二分の一以上に相当する額を支出した者を含む。)
四 三以内に分けられた選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)の地域のうち一又は二の地域における選挙運動を主宰すべき者として第一号又は第二号に掲げる者から定められ、当該地域における選挙運動を主宰した者

(選挙の自由妨害罪)

第二百二十五条 選挙に関し、次の各号に掲げる行為をした者は、四年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
一 選挙人、公職の候補者、公職の候補者となろうとする者、選挙運動者又は当選人に対し暴行若しくは威力を加え又はこれをかどわかしたとき。
二 交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて選挙の自由を妨害したとき。
三 選挙人、公職の候補者、公職の候補者となろうとする者、選挙運動者若しくは当選人又はその関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の利害関係を利用して選挙人、公職の候補者、公職の候補者となろうとする者、選挙運動者又は当選人を威迫したとき。

9. まとめ

確認できたこと/できていないこと

確認できたこと確認できていないこと
簗氏が、5月に発言したこと(本人も認めている)市町事業が減った理由
那須烏山市・那珂川町の市町事業の配分が減り、県全体は+14.2%であること簗氏と首長の関係が、配分に影響したかどうか
発言の趣旨と、市町事業の減少の数字がほぼ一致していること問い合わせ以外の働きかけの有無(メモがなく、幹部は「はっきり覚えていない」と述べたと報じられている)
簗氏が、決定前の2月中旬に、2市町の配分額を国交省へ問い合わせていたこと問い合わせの際のやり取りの詳細
国交省の説明が「圧力を受けたことはなかったと思う」であること(根拠は、メモがなく覚えていないこと)簗氏の発言が、県事業と市町事業のどちらを指していたか
県事業を含めたエリア合計では、2市町とも増えていること(国交省の集計)—
✍️ 9. 筆者の見方:「覚えていない」と「なかった」の差

国交省の説明は、「覚えていないくらいだから、働きかけや圧力を受けたことはなかったと思う」というものでした。「覚えていない」ことが、「なかった」の根拠になっています。「覚えていない」と「なかった」の差は、大きいと思います。しかも、調査をしたのは、配分を決めた国交省自身です。本人が認めた発言と、実際の配分の動きが一致している以上、「覚えていないから、なかったと思う」で終わらせてよいのかという疑問は、残ります。

もう一つ、筆者が気になるのは、「働きかけがあったかなかったか」は、あくまで過程の話だという点です。見るべきは結果ではないでしょうか。選挙で簗氏を応援しなかった側の首長の市町が減り、応援した側の首長の市町が増えました(一部報道による。大田原市は首長の支持先が未確認)。この結果を見れば、働きかけの有無とは別に、「何らかの忖度があったのではないか」と受け止める人は、筆者だけでなく、少なくないのではないかと思います。これは、立証された事実ではなく、あくまで筆者の見方であり、推測です。

なお、簗氏の事務所があるおひざ元の大田原市は、減るどころか、市町事業が+22%でした(首長の支持先は未確認)。減ったのは、簗氏の得票率が最も低かった2市町でした。

この疑問に答える方法は、あります。要望額、内示額、採択の理由を、自治体ごとに公開することです。「要望と進捗で決めた」という説明が正しければ、資料で、誰でも検証できます。逆に、資料が出なければ、疑問は残り続けます。

補助金の配分に、国と議員の裁量が大きく入る仕組みは、特定の政権に限ったものではなく、歴代の自民党政権に共通する構造です。今回の件は、一人の大臣の問題にとどまらず、配分の過程をどこまで見える形にするのか、という問いを残したと思います。

📚 主な出典

  • 国土交通省『大臣会見要旨』(2026年10月2日)|記事リンク
  • 国土交通省『大臣会見要旨』(2026年10月6日)|記事リンク
  • 国土交通省『令和8年度当初 社会資本整備総合交付金等の配分(道路分)栃木県』|資料(PDF)
  • 国土交通省『令和7年度当初 社会資本整備総合交付金等の配分(道路分)栃木県』|資料(PDF)
  • NHK『衆院選2026 栃木3区 開票結果』
  • 自民党『萩生田幹事長代行 記者会見』(2026年10月6日)|記事リンク
  • 朝日新聞『簗農水相、自民党の会合で「追い込まれ謝罪」 鈴木宗男氏の激怒で』(2026年10月9日)|記事リンク
  • J-CAST『簗農水相は、なぜ更迭されないのか?』(2026年10月8日)|記事リンク
  • 日本経済新聞『簗和生農相、道路予算巡り国交省に照会 圧力は確認されず』|記事リンク
  • しんぶん赤旗『NEWS追跡』(2026年10月7日)|記事リンク
  • アゴラ『「予算カット」という簗農水相の発言は事後報告を「盛った」手柄話』|記事リンク
  • 国土交通省道路局『道路予算に係る週刊誌報道を受けた精査結果について』(2026年10月6日)|資料(PDF)
  • 日テレNEWS 国交省の調査結果の説明に関する記事(2026年10月6日)|記事リンク
  • 朝日新聞(2026年10月6日)の国交省の聞き取りに関する記事|記事リンク
  • 共同通信(熊本日日新聞掲載)『簗農相「私からの働きかけない」』|記事リンク
  • 共同通信(熊本日日新聞掲載)『消費減税、野党に協力要請 小林氏「参院で少数与党」』|記事リンク
  • 共同通信(秋田魁新報掲載)『農相、道路予算削減発言を認める』(2026年10月2日)|記事リンク
  • 衆議院『会派名及び会派別所属議員数』(令和8年9月28日現在)|記事リンク
  • 首相官邸『簗和生 文部科学副大臣 プロフィール』|記事リンク
  • 簗和生 公式サイト『事務所案内』|記事リンク
  • 新華網『簗氏の処分・応援演説に関する記述』(2026年10月2日)|記事リンク

✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年
ファンダメンタルを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。たまにチャート分析もします。ナンピンは得意です。
X(旧Twitter):@pablo29god

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の個人・団体を誹謗中傷する意図はありません。記載内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、法律に関する事項の判断は司法機関が行うものです。「9.」は、公表されている資料や報道をもとにした筆者個人の見方です。記載内容は2026年10月9日時点の公表資料および報道にもとづくものです。最新の情報は、各省庁の公式発表等でご確認ください。

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