【アルファベット(GOOGL)決算】7〜9月期、Google Cloud+103%で過去最高の伸び・検索は+12%に減速——FCFは2四半期連続のマイナス

企業決算
この記事は約21分で読めます。

訂正とお詫び

前回(2026年4〜6月期)のアルファベット決算記事で、金額の単位を1桁誤って記載しました。

  • タイトル:「CapExガイダンス上限205億ドル」→ 正しくは「2,050億ドル」
  • 売上高の市場予想:「116.9億ドル前後」(LSEG 116.93億ドル、Visible Alpha 117.2億ドル、Alphastreet 116.84億ドルを含む)→ 正しくは「1,169億ドル前後」(それぞれ1,169.3億ドル、1,172億ドル、1,168.4億ドル)
  • 設備投資の市場予想:「187億ドル前後」(FactSet 187.1億ドル、Visible Alpha 188億ドル)→ 正しくは「1,871億ドル前後」(1,871億ドル、1,880億ドル)

読者の皆さまにご迷惑をおかけしたことをお詫びし、訂正いたします。

アルファベットは2026年10月28日(米国時間、市場引け後)、2026年7〜9月期の決算を発表しました。

クラウド事業のGoogle Cloudは、売上高が前年同期比+103%と過去最高の伸びになりました。一方、稼ぎ頭の検索は+12%に減速しています。売上高、EPS、営業利益はいずれも市場予想に届きませんでした。CNBCによると、売上高と利益がそろって予想を下回ったのは約4年ぶりです[7]。

お金の流れにも大きな変化が出ています。四半期の設備投資は514億ドルで、前年の約2.1倍です。フリーキャッシュフロー(FCF)は2四半期続けてマイナスになりました。長期債務は9か月で約2.7倍に増えています。

この記事では、成長の主役が検索からクラウドへ移りつつある中で、アルファベットがその投資をどうまかなっているのかを見ていきます。

前回(2026年4〜6月期)の決算記事はこちらです。
→ 【アルファベット決算】Q2売上1,197.96億ドル、クラウド+82%に加速(2026年4〜6月期)

⏳ 30秒で読む結論

アルファベットの2026年7〜9月期は、売上高が1,275.8億ドル(+25%)、調整後EPSが2.67ドルで、ともに市場予想(LSEG集計で1,282.2億ドル、3.02ドル)を下回りました。Google Cloudは+103%と過去最高の伸びで、予想を上回りました。一方、検索は+12%に減速しています。設備投資は四半期514億ドルに膨らみ、FCFは▲91億ドルと2四半期連続のマイナスです。


① Cloudは63%→82%→103%と加速が続く。受注残は5,610億ドル
② 検索は+19%→+17%→+12%と減速。AI検索(AI Mode)の収益化が遅れていることも一因
③ 営業CF(423億ドル)より設備投資(514億ドル)が多く、借入と株式発行で補う形が続く

アルファベットとはどんな会社か

アルファベット(NASDAQ:GOOGL、GOOG、本社は米国カリフォルニア州マウンテンビュー)は、Googleの持株会社です。CEOはスンダー・ピチャイ氏、CFOはアナト・アシュケナージ氏です。

事業区分は次の3つです。

  • Google Services:検索、YouTube、Android、Chrome、端末、サブスクリプションなど
  • Google Cloud:企業向けクラウド(GCP)、Workspace、AI向けの計算基盤、TPUシステムの販売
  • Other Bets:自動運転のWaymoなど

このほか、AIモデル開発などの全社共通費用は「全社レベルの活動」として、どの事業区分にも配分せずに計上しています。

売上高と営業利益の内訳(2026年7〜9月期)

帯の長さは全体に占める割合です

売上高 1,275.8億ドル

Google Services
Cloud

Google Services 963.0億(75.5%)/Google Cloud 307.1億(24.1%)/Other Bets 3.7億(0.3%)/ヘッジ損益 1.9億ドル(0.2%)

事業区分の営業利益(ServicesとCloudの合計 502.8億ドル)

Google Services
Cloud

Google Services 391.6億(77.9%)/Google Cloud 111.2億ドル(22.1%)。ここからOther Betsの損失20.5億ドルと全社レベルの活動の損失76.6億ドルを差し引くと、全社の営業利益405.8億ドルになります。出所:決算プレスリリース[1](構成比は筆者計算。四捨五入のため、合計が100%にならない場合があります)

決算の全体像:Cloudは予想超え、売上高・EPS・検索は未達

指標実績市場予想判定前年同期
売上高1,275.8億ドル(+25%)1,282.2億ドル(LSEG)わずかに未達1,023.5億ドル
営業利益405.8億ドル(+30%)431.9億ドル(FactSet)未達312.3億ドル
営業利益率31.8%――30.5%
純利益(普通株主に帰属)261.7億ドル(−25%)――349.8億ドル
EPS(GAAP、希薄化後)2.12ドル(−26%)――2.87ドル
EPS(LSEG調整後)2.67ドル3.02ドル(LSEG)未達―
Google Cloud売上高307.1億ドル(+103%)約287億ドル上回る151.6億ドル
検索他の売上高633.5億ドル(+12%)約649.6億ドル未達565.7億ドル
YouTube広告112.1億ドル(+9%)約114億ドル未達102.6億ドル
設備投資513.6億ドル約550.9億ドル予想を下回る239.5億ドル
FCF▲90.7億ドル+27.0億ドル大幅に下振れ+244.6億ドル

※予想はCNBCの報道によります[7][8]。売上高とEPSはLSEG、営業利益はFactSetの集計です。YouTube広告の予想は、CNBCが引用したゴールドマン・サックスのリポートによります。そのほかの項目は、CNBCが集計元を示さずに報じた「アナリスト予想」です。LSEGの調整後EPSは、GAAPのEPSに株式評価損による押し下げ分(0.55ドル)を足し戻した値です(筆者計算で一致を確認)。設備投資は市場予想を下回りましたが、年間見通しは据え置かれているため、10〜12月期に投資が集中する計算です(後述)。出所:決算プレスリリース[1]、決算説明スライド[2]

売上高は予想を約0.5%下回りました。調整後EPSは約12%、営業利益は約6%下回っています。

注目したいのはEPSです。株式評価損の影響を除いても、市場予想を0.35ドル下回りました。今回の未達は評価損だけでは説明できず、本業の営業利益が予想に届かなかったことが大きく響いています。

数字を読む前に:3つの特殊要因

純利益の−25%:SpaceX株の評価損

「その他の損益」は▲82.2億ドルで、前年同期の+127.6億ドルから大きく悪化しました。中心は株式の損益(▲86.6億ドル)です。アシュケナージCFOは、主な理由を「SpaceX株の値下がりによる含み損」と説明しています[3]。

会社によると、この評価損で純利益は67億ドル、EPSは0.55ドル押し下げられました[1]。前年同期は逆に107.3億ドルの株式評価益がありました[4]。そのため、純利益の前年比での減少は、本業の悪化ではなく、評価損益の差でほぼ説明できます。

9月末時点で、アルファベットが保有するSpaceX株の評価額は752億ドルです。上場後の短期的な売却制限がかかっています[4]。SpaceXの株価が動くたびに、アルファベットの利益も上下に振れる構造です。

SpaceXの2026年7〜9月期決算はこちらで解説しています。
→ SpaceX 2026年7〜9月期決算

前回の4〜6月期は、非上場株の評価益が純利益を大きく押し上げていました。今回はその逆です。評価益で膨らむ四半期と、評価損で縮む四半期が交互に来るため、EPSだけでは本業の実力を判断しにくくなっています。

営業利益の+30%:前年の制裁金で膨らんで見える

前年同期の一般管理費には、EUの制裁金35億ドルが含まれていました[4]。今期は、EUデジタル市場法(DMA)にもとづく制裁金として約10億ドルの費用を計上しています[4]。

この2つを除くと、営業利益の伸びは約+20%、営業利益率は33.9%から32.6%に下がっています(筆者計算)。発表値どおりなら営業利益率は前年より上がっていますが、制裁金を除くと下がっていることになります。

営業利益:制裁金を除くと伸びは約+20%(億ドル)

発表値 制裁金を除く(筆者計算)

25年7〜9月(発表値)
312.3
25年7〜9月(除く)
約347
26年7〜9月(発表値)
405.8
26年7〜9月(除く)
約416

伸び率:発表値ベース +30%/制裁金を除くと 約+20%

制裁金=前年同期のEU制裁金35億ドル、今期のDMA制裁金約10億ドル(10-Q[4])。目盛りは0〜416億ドル。出所:決算プレスリリース[1]

株式の発行でEPSが薄まる

アルファベットは6月に大型の増資を行いました。7〜9月期にも、ATM(市場で少しずつ株を売り出す仕組み)で124億ドル分の株式を発行しています。自社株買いはゼロです[4]。この結果、希薄化後の株式数は前年同期比で約1.4%増えました(筆者計算)。

特殊要因見た目の数字何がゆがめているか
株式評価損(主にSpaceX)純利益−25%、EPS−26%今期は評価損86.6億ドル、前年は評価益107.3億ドル
前年の制裁金営業利益+30%前年はEU制裁金35億ドルで押し下げ。今期のDMA制裁金約10億ドルとあわせて除くと約+20%
株式の発行EPS株式数が約1.4%増え、1株あたりの利益が薄まる

出所:決算プレスリリース[1]、10-Q[4]、決算説明会[3]

Google Cloud:+103%、受注残は5,610億ドル

Google Cloudの売上高は307.1億ドル(+103%)、営業利益は111.2億ドル(前年の約3.1倍)でした。営業利益率は36.2%で、前年(23.7%)からも前四半期(35.6%)からも上がっています[2][5]。

アルファベット全体の増収額は252.3億ドルです。このうち約62%をCloudが占めました(筆者計算)。

事業別の売上高成長率(前年同期比)

3つの事業とも同じ目盛り(0〜110%)で描いています

Google Cloud

26年1〜3月
63%
26年4〜6月
82%
26年7〜9月
103%

検索他

26年1〜3月
19%
26年4〜6月
17%
26年7〜9月
12%

YouTube広告

26年4〜6月
13%
26年7〜9月
9%

Cloudは加速、検索とYouTube広告は減速しています。出所:決算プレスリリース[1]、4〜6月期決算プレスリリース[5]、目論見書[6]

伸びを支えたのは、主に次の2つです[3]。

  • GCP(企業向けクラウド):AI向けの計算基盤とAIソリューションに加え、従来型のクラウドサービスも伸びた。会社はGCPが売上の「大半」を占めたとしている
  • TPUシステムの販売:「意味のある寄与」をした。金額は開示されていない

トーマス・クリアンCloud CEOによると、年間売上高が10億ドルを超える製品群は18にのぼります。Gemini Enterpriseは、フォーチュン100企業の約9割が利用しています[3]。

受注残(契約済みで、まだ売上高になっていない金額)は5,610億ドルで、4〜6月期末の5,140億ドルから470億ドル増えました。会社は、55%強が今後24か月で売上高になると見込んでいます[3]。この受注残には、関連当事者であるCrux AI(Blackstoneとの合弁会社)との契約168億ドルが含まれます[4]。

Google Cloudの受注残(億ドル)

26年3月末
4,600超
26年6月末
5,140
26年9月末
5,610

目盛りは0〜5,610億ドル。3月末は会社開示の「4,600億ドル超」を4,600億ドルとして描いています。出所:目論見書[6]、決算説明会[3]

注意:Cloudの前年比の伸びには、3月に買収を完了したWiz(クラウドセキュリティ企業、買収額295億ドル)の売上高も含まれます。会社はWizの売上高を開示していないため、買収分を除いた伸び率は分かりません[4]。

TPUを「売る」事業の始まり

今回の決算では、自社開発のAIチップTPUを、チップ単体ではなくサーバーやネットワーク、ソフトウエアまで含めた「システム」として外部に販売する事業が本格的に姿を見せました。

これまでのクラウドは、計算能力を「貸す」事業でした。TPUシステムの販売は、機器を「売る」事業です。お金の流れも変わります[4]。

  • 在庫:昨年末の24.4億ドルから9月末には133.1億ドルへ増加。会社はTPUシステム向けの積み増しが主因と説明している
  • 買い戻し義務:一定の条件で顧客から機器を買い戻す契約があり、最大66億ドル
  • 売上計上:4〜6月期に始まり、大半は2027年に計上する見込み

TPUの利用顧客は約100社です。Anthropic、Apple、Citadel Securitiesなどに加え、OracleやCrux AIを通じた提供も始めています。クリアン氏は、在庫の部品は契約締結後にだけ調達していると説明しました[3]。

10〜12月期は利益率に逆風

アシュケナージCFOは、計算能力の不足を補うため、7〜9月期の終わりから外部の計算能力を借りていると説明しました。10〜12月期はその利用を増やすため、Cloudの利益率は「短期的に逆風を受ける」見通しです[3]。

検索とYouTube:検索回数は伸びても売上は減速

カテゴリー売上高前年同期比
検索他633.5億ドル+12%
YouTube広告112.1億ドル+9%
Googleネットワーク74.6億ドル+1%
サブスクリプション・プラットフォーム・端末142.9億ドル+11%
Google Services合計963.0億ドル+11%
Google Cloud307.1億ドル+103%

出所:決算プレスリリース[1]

検索他の売上高は、1〜3月期の+19%、4〜6月期の+17%から、+12%まで減速しました。検索はアルファベットの売上高の約半分(49.7%)を占めています(筆者計算)。

一方で、会社は検索回数の伸びが「過去5年で最も高い」としています[1]。広告のクリック数は+8%、クリック単価は+4%でした[4]。

検索回数が伸びているのに、売上高の伸びが鈍った理由として、フィリップ・シンドラー最高ビジネス責任者は次の4つを挙げました[3]。

  • 為替:前四半期からの減速の最大の要因
  • EUの少額輸入品の関税免除の廃止:アジア太平洋の小売広告主に影響
  • W杯の反動:試合数の多かった6月に広告予算が集中し、7〜9月期に正常化
  • AI検索(AI Mode):利用が大きく伸びたが、広告の収益化は通常の検索より低い

アシュケナージCFOは、前年後半に検索が加速した反動で、7〜9月期の伸びが約3ポイント押し下げられたと説明しています。10〜12月期も数ポイントの押し下げが続く見込みです[3]。

会社はAI Modeの広告を海外市場へ広げ、米国では複数回のやり取りに対応した広告も始めると発表しました[3]。ゴールドマン・サックスは、AIで増えた検索の収益化について会社が慎重な言い方をしたと指摘しています[8]。

YouTube広告は+9%(前四半期は+13%)でした。サブスクリプションなどは+11%で、YouTube MusicとPremiumの会員数は無料体験を含めて1億5,000万人を超えました[1]。

費用:減価償却費と研究開発費が重くなる

費用金額前年同期比主な理由
トラフィック獲得コスト(TAC)163.7億ドル+10%検索の提携先への支払い
その他の売上原価350.5億ドル+32%TPUの機器原価、減価償却費、コンテンツ費用
研究開発費206.4億ドル+36%AI人材の報酬、減価償却費
販売・マーケティング費88.0億ドル+22%Geminiの宣伝、人件費
一般管理費61.4億ドル−17%前年の制裁金がなくなった反動

出所:決算プレスリリース[1]、決算説明会[3]

設備の減価償却費は83.7億ドルで、前年から+49%増えました。全社レベルの活動(主にAIモデルの研究開発)の損失は76.6億ドルで、前年の44.7億ドルから拡大しています[1]。

営業利益率の推移

発表値 制裁金を除く(筆者計算)

25年7〜9月
30.5%
33.9%
26年4〜6月
34.0%
26年7〜9月
31.8%
32.6%

目盛りは0〜40%。前四半期から2.2ポイント低下しました。4〜6月期は制裁金の調整をしていません。出所:決算説明スライド[2]、4〜6月期決算プレスリリース[5]、10-Q[4]

設備投資とキャッシュフロー:FCFは2四半期連続のマイナス

7〜9月期の設備投資は513.6億ドルで、前年同期(239.5億ドル)の約2.1倍でした。会社によると、投資の約65%はサーバーとネットワーク機器(耐用年数はおおむね6年)、約35%はデータセンター(7〜40年)です[3]。

本業で稼ぐ現金(営業キャッシュフロー)は422.9億ドルで、前年から−13%でした。会社は、TPUシステムの在庫の積み増しと、EUの制裁金(2018年のAndroid事案)52億ドルの支払いが重荷になったと説明しています[3]。

稼ぐ現金と使う現金(四半期、億ドル)

営業キャッシュフロー 設備投資

25年7〜9月
484.1
239.5
25年10〜12月
524.0
278.5
26年1〜3月
457.9
356.7
26年4〜6月
390.7
449.2
26年7〜9月
422.9
513.6

目盛りは0〜524億ドル。4〜6月期から、設備投資が営業キャッシュフローを上回っています。出所:決算説明スライド[2]

フリーキャッシュフローの推移(四半期、億ドル)

中央の線より右がプラス、左がマイナス

25年7〜9月
+244.6
25年10〜12月
+245.5
26年1〜3月
+101.2
26年4〜6月
▲58.6
26年7〜9月
▲90.7

FCF=営業キャッシュフロー−設備投資(会社の定義)。片側の目盛りは0〜245.5億ドル。出所:決算説明スライド[2]

過去12か月のFCFは197.5億ドルで、前年同期の735.5億ドルから−73%と大きく減りました[2]。

10〜12月期は630〜730億ドルの投資が必要な計算

2026年の設備投資見通し(1,950〜2,050億ドル)は据え置かれました。1〜9月の実績は1,319.5億ドルなので、見通しの範囲に収まるには、10〜12月期に630〜730億ドルを投じる計算になります(筆者計算)。これは7〜9月期より23〜42%多い水準です。

四半期の設備投資:7〜9月期の実績と10〜12月期に必要な額(億ドル)

26年7〜9月(実績)
513.6
26年10〜12月(必要額)
630〜730

必要額=年間見通し(1,950〜2,050億ドル)−1〜9月の実績(1,319.5億ドル)。斜線部分は見通しの幅を示します。目盛りは0〜730億ドル(筆者計算)。出所:決算プレスリリース[1]、決算説明会[3]

7〜9月期の設備投資は市場予想(約551億ドル)を下回りました。そのため、投資の一部が10〜12月期にずれ込む可能性があります。

2027年について、アシュケナージCFOは設備投資を「大幅に増やす」と述べ、詳細は次回の決算説明会で示すとしました[3]。アナリストの間では約3,000億ドルという推計も出ています[7]が、会社の見通しではありません。

財務:借入と株式発行で投資をまかなう

項目2026年9月末2025年12月末
現金・現金同等物と有価証券の合計2,651.0億ドル1,268.4億ドル
うち上場株式(SpaceX株752億ドルを含む)903.8億ドル63.1億ドル
在庫133.1億ドル24.4億ドル
有形固定資産(純額)3,728.3億ドル2,466.0億ドル
長期債務(1年以内返済分を除く)1,251.0億ドル465.5億ドル
株主資本6,775.5億ドル4,152.7億ドル
総資産1兆33.1億ドル5,952.8億ドル

出所:決算プレスリリース[1]、10-Q[4]

長期債務(1年以内返済分を除く、億ドル)

2025年12月末
465.5
2026年9月末
1,251.0

9か月で約785億ドル増加(筆者計算)。出所:決算プレスリリース[1]

2026年の主な資金調達(10-Q 注記6・注記11より)

  • 社債:1〜9月にドル建て450億ドル、外貨建て358億ドル(ポンド、スイスフラン、ユーロ、カナダドル、円、豪ドル)。7〜9月期の調達額は純額287億ドル
  • 普通株:6月の公募増資205億ドル、バークシャー・ハサウェイ関連会社への第三者割当100億ドル
  • 強制転換型優先株:6月に190億ドル
  • ATM:7〜9月期に124億ドル。残りの発行枠は276億ドル

支払利息は9.7億ドルで、前年同期(1.4億ドル)の約7倍です[1]。

現預金と有価証券は2,651億ドルと、手元資金は大きく見えます。ただし、このうち752億ドルはSpaceX株で、すぐには売れません。

貸借対照表に載らない将来の支払約束も膨らんでいます。

項目金額(9月末)
購入契約(サーバー部品、エネルギー、コンテンツなど)9,244億ドル(うち1年以内2,134億ドル)
まだ始まっていないリース(主にデータセンター)1,305億ドル
データセンター関連の支払保証757億ドル
その他の保証(エネルギー設備、TPUの買い戻し)228億ドル

出所:10-Q[4]

会社は、購入契約の金額は契約上の上限で、実際の支出はこれより少なくなる可能性があると説明しています[3]。

株主還元では、普通株の配当(1株0.22ドル、12月14日支払い)は続けています。自社株買いは2026年に入ってから行っていません[4]。

規制と訴訟の動き

  • EU(Android):欧州司法裁判所が7月に上訴を退け、2018年の制裁決定が確定。7月に52億ドルを支払った
  • EUデジタル市場法(DMA):7月に、Google Playで4.3億ユーロ、検索で4.6億ユーロの制裁金。10月に上訴した
  • 米司法省の広告技術訴訟:9月の救済措置の判断で、事業の売却命令は退けられ、行動面の是正措置にとどまった。会社は上訴を検討している
  • 米司法省の検索訴訟:双方が上訴中

出所:10-Q[4]

次の四半期の見通し(2026年10〜12月期)

アルファベットは売上高やEPSの数値ガイダンスを出していません。決算説明会で示された見通しは次のとおりです。

項目内容
為替7〜9月期より大きな逆風。主に検索とYouTube広告
検索前年の加速の反動で、数ポイントの押し下げが続く
CloudTPUシステムの販売が拡大し、2027年に本格的に増える
Cloudの利益率外部の計算能力の利用拡大で、短期的に逆風
2026年の設備投資1,950〜2,050億ドルで据え置き
2027年の設備投資大幅に増やす(詳細は次回の決算説明会で)
費用減価償却費とデータセンターの運営費(電力など)が引き続き重くなる

出所:決算説明会[3]

今後の注目点

次回の決算(2026年10〜12月期)では、次の点を確認したいところです。

確認する対象見るポイント
検索の成長率+12%から下げ止まるか。AI Modeの広告がどこまで収益に結びつくか
Cloudの成長率と利益率外部の計算能力の利用で、利益率がどこまで下がるか
TPUシステムの販売在庫が売上高に変わるペース
設備投資10〜12月期に630〜730億ドルを投じるか。2027年の具体的な計画
FCFマイナス幅が広がるか、縮むか
資金調達社債の発行、ATMの利用状況、支払利息の増え方
SpaceX株株価の変動で、その他の損益がどこまで振れるか

まとめ

この記事のまとめ
  • 確認できたこと:Google Cloudは+103%と過去最高の伸びで、受注残は5,610億ドルまで増えました。増収額の約6割をCloudが稼ぐなど、成長の主役は検索からCloudへ移りつつあります。
  • 数字のゆがみ:純利益の−25%は、SpaceX株の評価損と前年の評価益の差によるものです。営業利益の+30%は前年の制裁金の反動を含み、制裁金を除くと約+20%です。
  • 課題:検索は+12%に減速しました。設備投資は四半期514億ドルで、FCFは2四半期連続のマイナスです。長期債務は9か月で約2.7倍になり、借入と株式発行で投資を補っています。支払利息は9.7億ドルと前年の約7倍に増えました。
  • まだ分からないこと:AI Modeの収益化のペース、2027年の設備投資の規模、TPU販売の利益率。

アルファベットの決算は、「Cloudが伸びるか」から、「伸ばすための投資を、検索の稼ぎと資金調達でどこまで支えられるか」へと焦点が移りつつあります。

データについて:本記事の数値は、アルファベットが2026年10月28日(米国時間)に公表した決算プレスリリース、決算説明スライド、決算説明会の書き起こし、四半期報告書(10-Q)、および報道に基づきます。制裁金を除いた営業利益の伸び率と営業利益率、Cloudが増収額に占める割合、10〜12月期に必要な設備投資額、株式数の増加率、構成比は筆者の計算です。

制裁金を除く営業利益率は、前年同期が(312.3億+35億)÷1,023.5億=33.9%、今期が(405.8億+約10億)÷1,275.8億=32.6%で計算しました。制裁金の金額は10-Qによります。今期のDMA制裁金は、会社開示の「約10億ドル」を使っています。

市場予想は報道によって数値が異なります。本記事では、売上高とEPSはLSEG、営業利益はFactSet(いずれもCNBCの報道)の集計値を採用しました。そのほかの予想はCNBCの報道によります。図は公表資料の数値をもとに作成しました。

主な出典

  1. Alphabet『Alphabet Announces Third Quarter 2026 Results』(2026年10月28日)
  2. Alphabet『Q3 2026 Earnings』決算説明スライド(2026年10月28日)
  3. Alphabet『Q3 2026 Earnings Call Transcript』(2026年10月28日)
  4. Alphabet『Form 10-Q(2026年7〜9月期)』
  5. Alphabet『Alphabet Announces Second Quarter 2026 Results』(2026年7月22日、SEC)
  6. Alphabet『Free Writing Prospectus』(2026年6月1日、SEC。1〜3月期の成長率と受注残)
  7. CNBC『Alphabet sinks 10% as it holds 2026 capex unchanged, expects significant increase in 2027』(2026年10月28日)
  8. CNBC『Alphabet’s third-quarter results missed expectations. They led one analyst to downgrade the stock』(2026年10月29日)
  9. ぱぶちゃんのファンダメンタルlab『SpaceX 2026年7〜9月期決算』(2026年10月21日)

✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年
ファンダメンタルを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。たまにチャート分析もします。ナンピンは得意です。
X(旧Twitter):@pablo29god

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