【インテル決算】Q3はデータセンター+78%、EPSは予想超え――Q4見通しはPC急減と工場事故で大幅下振れ(2026年7〜9月期)

企業決算
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インテルは2026年10月29日(米国時間、市場引け後)、2026年7〜9月期の決算を発表しました。

データセンター向けのDCAI部門は、売上高が前年同期比+78%となりました。会社によると、この部門としては過去15年で最も高い伸びです。全社の売上高は165.1億ドル(+21%)、調整後(非GAAP)EPSは0.52ドルで、EPSは市場予想を大きく上回りました。

一方、PC向けのCCPG部門は−5%と減収になりました。メモリー価格の高騰でPCの値段が上がり、需要が落ち込んでいるためです。10〜12月期の見通しは、売上高150〜160億ドル、調整後EPS 0.25ドルと、市場予想を大きく下回りました。PCの減速に加え、10月にイスラエルの工場で起きた事故の影響も織り込んでいます。

この記事では、サーバーとPCで明暗が分かれた今回の決算を整理します。あわせて、増資で厚くなった財務と、2027年に向けて膨らむ設備投資の関係も見ていきます。

前回(2026年4〜6月期)の決算記事はこちらです。
→ 【インテル(INTC)決算】Q2売上高25%増の161億ドルでコンセンサス大幅上振れ(2026年4〜6月期)

⏳ 30秒で読む結論

インテルの2026年7〜9月期は、売上高が165.1億ドル(+21%)、調整後EPSが0.52ドルでした。EPSは市場予想(LSEG集計で0.40ドル)を3割上回り、売上高はほぼ予想どおりです。データセンター部門が+78%と大きく伸びた一方、PC部門は−5%に落ち込みました。10〜12月期の見通しは売上高の中心値が155億ドルと、市場予想の170.7億ドルを約1割下回っています。


① DCAIの売上高は73億ドル(+78%)。それでも供給が足りず、需要に追いついていない
② PCはメモリー高騰で失速。会社は2026年のPC市場を約12%減、2027年も約10%減と見ている
③ 10〜12月期の粗利益率の見通しは38.0%と、7〜9月期の44.1%から下がる。イスラエル工場の事故で約2ポイント押し下げられる

インテルとはどんな会社か

インテル(NASDAQ:INTC、本社は米国カリフォルニア州サンタクララ)は、半導体の設計から製造までを自社で手がける大手メーカーです。CEOはリップブー・タン氏、CFOはデイブ・ジンスナー氏です。

事業区分は次の4つです。

  • CCPG(クライアント・コンピューティング&フィジカルAI):パソコン向けCPUや、ロボットなど現場の機器(エッジ)向けの製品
  • DCAI(データセンター&AI):サーバー向けCPU「Xeon」、特定顧客向けの専用チップ(パーパスビルト・シリコン)など
  • Intel Foundry:自社製品と外部顧客向けの半導体製造(受託製造)
  • All Other:自動運転技術のMobileyeなど

CCPGとDCAIをまとめて「Intel Products」と呼びます。Foundryの売上高の大半は、Intel Productsからの社内取引です。このため、事業別の売上高を合計すると全社の売上高を上回ります(社内取引は連結時に相殺されます)。

事業売上高前年同期比営業損益営業利益率
CCPG81.0億ドル−5%22.9億ドル28.2%
DCAI73.2億ドル+78%30.4億ドル41.5%
Intel Products合計154.2億ドル+22%53.2億ドル34.5%
Intel Foundry67.0億ドル+58%△18.5億ドル△27.7%
All Other6.9億ドル−30%1.8億ドル25.9%
社内取引の相殺△62.9億ドル―△0.7億ドル―
全社共通費用――△10.6億ドル―
全社合計165.1億ドル+21%25.2億ドル15.3%

※2026年7〜9月期。営業損益はGAAPベース。全社共通費用は、株式報酬やリストラ費用など事業に配分しない費用です。出所:決算プレスリリース[1]、10-Q[4]

決算の全体像:EPSは予想を3割上回り、売上高はほぼ予想どおり

指標実績市場予想判定前年同期
売上高165.1億ドル(+21%)165.0億ドル(LSEG)予想どおり136.5億ドル
調整後EPS0.52ドル0.40ドル(LSEG)上回る0.23ドル
GAAP EPS(希薄化後)0.60ドル(−33%)――0.90ドル
調整後粗利益率44.1%――40.0%
GAAP粗利益率43.0%――38.2%
調整後営業利益32.3億ドル(19.6%)――15.2億ドル(11.2%)
GAAP営業利益25.2億ドル(15.3%)――6.8億ドル(5.0%)
GAAP純利益(インテル株主帰属)33.2億ドル(−18%)――40.6億ドル

※市場予想はCNBCが報じたLSEG集計です[6]。調整後(非GAAP)の数値は、株式報酬、リストラ費用、エスクロー株の評価損益などを除いた会社定義の値です。かっこ内の%は営業利益率。出所:決算プレスリリース[1]、決算説明スライド[2]

会社自身の予想(7月公表)との比較では、3つの指標すべてが上回りました。

  • 売上高:予想中心値163億ドルに対し、2億ドル上振れ
  • 調整後粗利益率:予想42.0%に対し、2.1ポイント上振れ
  • 調整後EPS:予想0.38ドルに対し、0.14ドル上振れ

ジンスナーCFOは、会社予想を上回ったのは8四半期連続だと説明しています[3]。上振れの理由として、売上高の増加、Intel 3と18Aの製造コスト改善、製品構成の改善、費用の抑制を挙げました。8月の増資で手元資金が増え、受取利息が増えたこともEPSを約1セント押し上げています。この分は7月時点の会社予想には入っていませんでした[3]。

売上高と調整後粗利益率の推移(5四半期)

上段:売上高(億ドル、目盛り0〜165)/下段:調整後粗利益率(目盛り0〜50%)

売上高

25年7〜9月
137
25年10〜12月
137
26年1〜3月
136
26年4〜6月
161
26年7〜9月
165

調整後粗利益率

25年7〜9月
40.0%
25年10〜12月
37.9%
26年1〜3月
41.0%
26年4〜6月
41.8%
26年7〜9月
44.1%

調整後営業利益は15億→12億→17億→28億→32億ドルと推移しました。出所:決算説明スライド[2]

数字を読む前に:GAAPと調整後の差に注意

今回は、GAAPのEPS(0.60ドル)が調整後のEPS(0.52ドル)を上回りました。前回の4〜6月期は逆で、GAAPでは110億ドルの純損失を計上していました。どちらも主な原因は「エスクロー株」の評価損益です。

エスクロー株:株価が下がると利益が出る仕組み

インテルは、米国政府の安全保障向け半導体プログラム「Secure Enclave」に関する米商務省との合意にもとづき、自社株の一部を第三者に預けています(エスクロー)。プログラムの代金を受け取るたびに、その株を商務省へ引き渡す仕組みです。

この預託株は負債(デリバティブ負債)として計上され、四半期ごとに時価で評価し直されます。インテルの株価が上がると負債が増えて損失になり、株価が下がると負債が減って利益になります[4]。

  • 7〜9月期:株価が期中に下がったため、10.05億ドルの評価益
  • 1〜9月の累計:年初からは株価が上昇しているため、126.1億ドルの評価損
  • 9月末のデリバティブ負債:137億ドル(2025年末は27億ドル)

本業とは関係のない損益で、株価しだいで毎四半期大きく振れます。

前年同期のGAAP利益にはAltera売却益が含まれる

前年同期(2025年7〜9月期)のGAAP純利益40.6億ドルには、FPGA子会社Alteraの株式51%を売却した利益(税引前55.5億ドル)が含まれていました[4]。GAAPの純利益が−18%、EPSが−33%となったのは、本業の悪化ではなく、この一時的な利益がなくなった影響です。

GAAP EPSから調整後EPSへ1株あたり
GAAP EPS(希薄化後)0.60ドル
+買収関連費用+0.02ドル
+株式報酬+0.11ドル
+リストラ等費用+0.01ドル
−株式投資の評価益−0.06ドル
事業売却損益―
−エスクロー株の評価益−0.17ドル
−非支配持分の調整−0.01ドル
+税効果+0.02ドル
=調整後EPS0.52ドル

※並びは決算説明スライドの付録と同じ順序です。出所:決算プレスリリース[1]、決算説明スライド[2]

株式数の増加がEPSを薄める

希薄化後の株式数は53.07億株で、前年同期の45.31億株から約17%増えました(筆者計算)。2025年のソフトバンク、NVIDIA、米政府による出資に加え、2026年8月の公募増資(約2.42億株)が加わったためです。

調整後の純利益は+169%でしたが、調整後EPSの伸びは+126%にとどまりました。この差は株式数の増加によるものです。会社は10〜12月期の株式数を54.4億株と見込んでおり、希薄化はさらに進みます[3]。

DCAI:+78%、それでも供給が足りない

DCAIの売上高は73.2億ドルで、前年同期比+78%、前四半期比+17%でした。営業利益は30.4億ドル(前年の約3.2倍)、営業利益率は41.5%です。前年の23.4%から18ポイント上がりました[2]。

10-Qによると、伸びの内訳は次のとおりです[4]。

  • サーバー向けの売上高:25億ドル増。平均販売価格が+54%、数量が+10%。価格上昇の大半は高価格帯製品の比率が増えたことによるもので、需要に応じた値上げも一部寄与した
  • その他のDCAI売上高:14億ドル(7.4億ドル増)。特定顧客向けの専用チップが伸びた

専用チップの売上高は、前四半期比+50%超、前年同期比で2倍超になりました。CEOは、この事業が過去3年で3倍になり、今後数年でさらに3倍になると見ています[3]。

ジンスナーCFOによると、2026年のDCAIの売上高は、年初の想定を100億ドル近く上回る見通しです。サーバー向けの主力製品は、Intel 3で製造するGranite Rapidsになりました。この製品は粗利益率でも会社平均を上回る水準に達しています[3]。

ただし、需要に供給が追いついていません。タンCEOは、7〜9月期に顧客の需要を満たせなかったことを「残念だ」と述べています。制約は次の2つです[3]。

  • Intel 3の歩留まり(良品率)と製造期間:改善は進んでいるが、まだ足りない
  • パッケージ用基板の不足:チップを組み合わせるパッケージ技術「EMIB」に使う先端基板が業界全体で不足している

会社は基板の調達能力を40%増やす計画ですが、その多くが効いてくるのは2027年後半です。オレゴン工場では、18A向けの生産能力の一部をIntel 3に切り替え、2027年後半にサーバー向けの生産を始める予定です[3]。

DCAIとCCPGの売上高の推移(5四半期、実績のみ、億ドル)

DCAI(データセンター) CCPG(PC)

25年7〜9月
41
85
25年10〜12月
47
82
26年1〜3月
51
77
26年4〜6月
63
89
26年7〜9月
73
81

目盛りは0〜89億ドル。2本の差は1年前の44億ドルから8億ドルまで縮まりました。出所:決算説明スライド[2]

Intel Productsの売上高に占めるDCAIの比率は47.5%で、前年同期の32.5%から大きく上がりました。営業利益では、DCAIがIntel Productsの57%を占めています(いずれも筆者計算)。

CCPG:メモリー高騰でPCが失速

CCPGの売上高は81.0億ドルで、前年同期比−5%、前四半期比−9%でした。会社自身の予想も下回っています[3]。

10-Qによると、PC向けの売上高は69億ドル(4.2億ドル減)でした。数量が−14%と大きく落ち込み、平均販売価格の+9%では補いきれませんでした[4]。

背景にはメモリー価格の高騰があります。メモリーが高くなったことでPC本体の価格が上がり、もともと限られていた企業のIT予算を圧迫しています。タンCEOによると、ここ2か月でPCの調整が加速しました。PCメーカーは、販売の落ち込みに合わせて在庫を急いで減らしています[3]。

営業利益は22.9億ドルで、前年同期から4.1億ドル減りました。会社は、製品構成を需要に合わせる過程で在庫関連の費用など7.6億ドルの費用が増えたことを主因に挙げています。費用削減による2.3億ドルの改善で、その一部を補いました[4]。

明るい材料もあります[3]。

  • AI PCの売上高は前年同期比+35%
  • 18Aで製造する低価格帯CPU「Wildcat Lake」は、出荷数が前四半期比約70%増で、品切れ状態
  • 18A製のPC向けCPUが、PC向けCPU売上高の3分の1近くを占めるようになった(1〜3月期は5%未満)
  • 次世代の「Nova Lake」は、採用が決まった製品数(デザインウィン)が、発売時点のPanther Lakeの2倍になる見込み

ジンスナーCFOは、PCの在庫調整は10〜12月期と2027年1〜3月期が中心で、4〜6月期まで少し続く可能性があると説明しました。メモリーの状況については、2027年も改善しないとの見方を示しています[3]。

Intel Foundry:赤字は縮小、外部売上はまだ小さい

Foundryの売上高は67.0億ドルで、前年同期比+58%、前四半期比+16%でした。営業赤字は18.5億ドルで、前四半期から2.4億ドル縮小しました。営業利益率は△27.7%で、1年前の△54.8%から改善が続いています[2]。

Foundryの営業赤字の推移(5四半期)

帯の長さは赤字の大きさ(目盛り0〜25億ドル)。右は営業利益率

25年7〜9月
△23億|△54.8%
25年10〜12月
△25億|△55.7%
26年1〜3月
△24億|△45.0%
26年4〜6月
△21億|△36.2%
26年7〜9月
△19億|△27.7%

前四半期比では3四半期続けて赤字が縮小しています。出所:決算説明スライド[2]

赤字縮小の理由は、歩留まりの改善、製造期間の短縮、工場の稼働率の上昇です。Intel 3の製造コストは1〜3月期から約15%、18Aは約40%下がりました[3]。

一方、外部顧客からの売上高は4.11億ドル(前四半期比1.18億ドル増)にとどまっています。しかも増加分の主因は、一度限りの顧客案件です[3]。

今後の工程は次のとおりです[3]。

  • 18A-P:年内に自社製品で投入予定
  • 14A:10月に設計キット(PDK)0.9版を一部顧客に提供。1.0版は2027年1〜3月期の予定
  • パッケージ事業:タンCEOは、今後2四半期以内に外部顧客を数社発表できる見込みだと述べた

キャッシュフローと財務:増資で資金は厚く

項目(2026年7〜9月期)金額
営業キャッシュフロー50.8億ドル
設備投資(総額)△42.2億ドル
パートナー拠出金(純額)+8.5億ドル
その他△0.7億ドル
調整後フリーキャッシュフロー+16.4億ドル(前年同期 +9.0億ドル)

※「パートナー拠出金」は、アリゾナ工場の共同投資パートナーBrookfieldが出す建設資金です。「その他」は政府補助金の受取とファイナンス・リースの支払い。出所:決算プレスリリース[1]

調整後フリーキャッシュフロー(FCF)は16.4億ドルのプラスで、前四半期の△84.2億ドルから黒字に戻りました。

前回記事の補足

前回の記事では、4〜6月期のFCFを大きく押し下げた「パートナー拠出金(純額)△122.2億ドル」を「共同投資スキーム関連とみられる」と書きました。今回の10-Qで、その中心はアイルランド工場の合弁会社からApolloの持ち分49%を142億ドルで買い戻した支払いだと確認できました[4]。

8月12日には、約2.42億株を1株95ドルで売り出す公募増資を行いました。調達額は230億ドル、手数料などを差し引いた手取りは226億ドルです[4]。

項目2026年9月末2025年12月末
現預金と短期投資540.1億ドル374.2億ドル
借入金の合計501.3億ドル465.9億ドル
差し引き+38.7億ドル(手元資金が上回る)△91.7億ドル(借入が上回る)
インテル株主の資本1,149.1億ドル1,142.8億ドル
在庫130.7億ドル116.2億ドル

※差し引きは筆者計算。出所:10-Q[4]

手元資金と借入金(億ドル)

現預金と短期投資 借入金の合計

2025年12月末
374.2
465.9
2026年9月末
540.1
501.3

目盛りは0〜540億ドル。増資で手元資金が借入金を上回りました。出所:10-Q[4]

株主の資本は、6月末の875億ドルから9月末には1,149億ドルまで回復しました。増資に加え、7〜9月期の黒字とエスクロー株の引き渡しが寄与しています。融資枠(リボルビング・クレジット)も、100億ドルから150億ドルに広げました[4]。

10〜12月期の見通し:売上・利益とも予想を大きく下回る

項目会社見通し市場予想(LSEG)差
売上高150〜160億ドル(中心155億)170.7億ドル中心値で約16億ドル(約9%)下回る
調整後EPS0.25ドル0.43ドル0.18ドル下回る
調整後粗利益率38.0%――
GAAP EPS0.10ドル――

※市場予想はLSEG集計。ロイターの報道を、Value The Marketsの記事経由で引用しています(二次引用)[7]。会社見通しは売上高の中心値が前提です。出所:決算プレスリリース[1]

10〜12月期:会社見通しと市場予想

売上高(億ドル)

会社見通し
150〜160
市場予想
170.7

調整後EPS(ドル)

会社見通し
0.25
市場予想
0.43

濃い色の部分が下限の150億ドル、斜線部分が上限の160億ドルまでの幅です。目盛りは売上高0〜170.7億ドル、EPS0〜0.43ドル。出所:決算プレスリリース[1]、市場予想はLSEG集計(二次引用)[7]

売上高の中心値155億ドルは、前年同期(136.7億ドル)比では+13%ですが、7〜9月期からは約6%の減収です(筆者計算)。

事業別の見通しは次のとおりです[3]。

  • DCAI:前四半期比で十数%の増収。専用チップはそれ以上の伸び
  • CCPG:前四半期比20%超の減収。顧客が在庫を急いで減らすため

この前提で計算すると、10〜12月期はDCAIの売上高(約83〜85億ドル)がCCPG(65億ドル未満)を上回る見込みです(筆者推計。アナリストの試算約85億ドルに対し、CFOは「良い出発点」と答えています[3])。

イスラエル工場の事故

10月14日、イスラエルのキルヤット・ガットにある工場(Fab 28)で事故が起き、工場は約2週間止まりました。現地報道によると、事故はガスの受け入れ作業中に起きた爆発で、作業員2人が死亡し、1人が重傷を負いました[8][9]。

ジンスナーCFOの説明は次のとおりです[3]。

  • 10〜12月期の売上高への影響は約3億ドル。ほぼすべてが10nmプロセスのサーバー向け製品
  • 2027年1〜3月期も、売上高に同程度の影響が出る見込み
  • 不良ウエハーの廃棄はほぼ10〜12月期に集中するため、粗利益率への影響(約2ポイント)は主に10〜12月期
  • 数字はあくまで初期の見積もり

10-Qは、影響が2027年前半まで続くとしています。最終的な金額はまだ見積もれないとしたうえで、保険でどこまで回収できるかを検討中です[4]。

※10-Qは「事故(accident)」と記載し、死傷者が出たとしています。爆発の原因は現地報道時点で調査中です。

粗利益率が44.1%から38.0%に下がる理由として、会社は工場事故のほかに次の2点を挙げています[3]。

  • PC向けの生産を絞るため、固定費の負担が相対的に重くなる
  • 利益率が会社平均を下回る専用チップの比率が上がる

費用と設備投資

  • 2026年の調整後営業費用:約163億ドル(10〜12月期は約44億ドル)
  • 2026年の設備投資(総額):200億ドルで変わらず
  • 2027年の設備投資:大幅に増やす。装置メーカーへの確定発注は前四半期比で約40%増えた

ジンスナーCFOは、2027年を「投資の年」と位置づけました。18AとIntel 3の量産立ち上げを進めながら、2028年に生産を始める14Aにも投資するため、FCFがプラスになる展開はおそらくない、と述べています。一方で、2027年に借入を減らす方針は維持しました[3]。

10-Qによると、9月末時点の設備投資の契約残高は196億ドル(2025年末は128億ドル)でした。決算期末の後には、基板の調達確保のため2件の契約も結んでいます。総額は53〜61億ドルで、そのうち約33億ドルを2027年末までに支払う見込みです[4]。

会社の中長期の見方

  • サーバー向けCPUの数量:業界全体で2026年・2027年とも+30%超。供給がもっとあれば、さらに伸びる
  • 供給不足:2027年いっぱい続き、2028年にかかる
  • PC市場の数量:2026年は約12%減(下期は20%超減)、2027年は約10%減
  • サーバー向けCPUの市場規模(会社推計):AIエージェント向けの需要が中心となり、今後5年で現在の約400億ドルから2,000億ドル超に広がる可能性がある

会社は、AIの処理が「指示に答える」段階から、複数の手順を自律的にこなすエージェント型に移っていると説明しています。その際、CPUの役割が大きくなるという見方です。ただし、この市場規模はあくまで会社自身の推計です。タンCEOも、ほぼすべての半導体設計会社が同じ需要を狙って競争に加わっていると認めています[3]。

主なトピック

  • Oracleと複数年の協業を計画。Oracle Cloudで、現行と次世代のXeon(Diamond Rapids)を使う
  • 推論向けGPU「Intel GPU D-series」(開発コード名Crescent Island)の詳細を公表
  • 量子ソフトウエア企業Classiq(イスラエル)を約19億ドルで買収することで合意。業績連動の追加支払いは最大3.5億ドルで、完了は2027年前半の予定
  • パッケージ技術でLens Technology、次世代露光装置(High-NA EUV)でASMLと協業
  • 営業担当の最高責任者(CSO)にディーン・ジャーナック氏を任命

出所:決算プレスリリース[1]、10-Q[4]

リスク

  • イスラエルの工場:10-Qによると、Intel 7で製造する製品の大部分がイスラエルの工場で作られている。工場の資産は戦争などによる損害が自家保険で、戦争による操業停止も保険の対象外。2026年3月下旬にイランが公表した攻撃対象の米企業リストで、インテルは上位に挙げられた
  • ヘリウム不足:カタールのエネルギー施設が攻撃を受け、半導体製造に欠かせないヘリウムが世界的に不足している
  • Mobileyeののれん:1〜3月期に39億ドルの減損を計上。9月末時点でも、公正価値が帳簿価額を上回る幅は10%未満にとどまる
  • 訴訟:VLSI社との特許訴訟で約10億ドル、EUの制裁金で3.12億ドルを引当済み
  • エスクロー株:株価しだいでGAAP利益が大きく振れる

出所:10-Q[4]

今後の注目点

次回の決算(2026年10〜12月期)では、次の点を確認したいところです。

確認する対象見るポイント
DCAI前四半期比で十数%の増収を達成できるか。基板とIntel 3の供給がどこまで増えるか
CCPG前四半期比20%超の減収で、在庫調整が底を打つか
イスラエル工場生産の回復ペースと、保険でどこまで回収できるか
粗利益率38%から、工場事故の影響が抜けた後にどこまで戻るか
2027年の設備投資具体的な金額と、FCFのマイナス幅
Foundry外部顧客の発表があるか。14A PDK 1.0の提供
株式数希薄化がEPSに与える影響

まとめ

この記事のまとめ
  • 確認できたこと:DCAIは+78%と、過去15年で最も高い伸びになりました。供給さえ増えればまだ伸びる余地があると会社は見ています。Foundryの赤字も前四半期比で3四半期続けて縮小しています。8月の増資で、手元資金は借入金を上回りました。
  • 課題:メモリー高騰でPC需要が急減し、10〜12月期はCCPGが20%超の減収になる見込みです。イスラエル工場の事故も重なり、売上高・EPSとも市場予想を大きく下回る見通しになりました。2027年は設備投資が膨らみ、FCFはプラスにならない見込みです。
  • 数字のゆがみ:GAAP利益はエスクロー株の評価損益で大きく振れます。前年同期にはAltera売却益も含まれていました。株式数が約17%増えたため、EPSの伸びは利益の伸びより小さくなっています。
  • まだ分からないこと:工場事故の最終的な損失額、2027年の設備投資の規模、Foundryの外部顧客の顔ぶれ。

インテルの決算は、「サーバー需要があるか」から、「その需要に供給を間に合わせられるか、PCの落ち込みにどこまで耐えられるか」へと焦点が移りつつあります。

データについて:本記事の数値は、インテルが2026年10月29日(米国時間)に公表した決算プレスリリース、決算説明スライド、決算説明会(質疑応答を含む)、四半期報告書(10-Q)、および報道にもとづきます。事業別の売上高比率、手元資金と借入金の差し引き、株式数の増加率、10〜12月期の事業別売上高の推計、前四半期比の変化率は筆者の計算です。

市場予想は、7〜9月期をCNBC、10〜12月期をロイター(Value The Markets経由の二次引用)が報じたLSEG集計値としました。報道によって数値に若干の違いがあります(例:7〜9月期の調整後EPS予想は0.40ドルと0.41ドル)。

イスラエル工場の事故の詳細(日付・死傷者・爆発)は現地報道にもとづきます。図は公表資料の数値をもとに作成しました。

主な出典

  1. Intel『Intel Reports Third-Quarter 2026 Financial Results』(2026年10月29日)
  2. Intel『Q3 2026 Earnings Presentation』決算説明スライド(2026年10月29日)
  3. Intel『CEO/CFO Earnings Call Comments』(2026年10月29日)、The Motley Fool『Intel (INTC) Q3 2026 Earnings Call Transcript』(2026年10月30日)
  4. Intel『Form 10-Q(2026年7〜9月期)』
  5. ぱぶちゃんのファンダメンタルlab『【インテル(INTC)決算】Q2売上高25%増の161億ドルでコンセンサス大幅上振れ』(2026年7月24日)
  6. CNBC『Intel stock plunges 21% as chipmaker blames PC slowdown for weak guidance』(2026年10月29日)
  7. Value The Markets『Intel (NASDAQ: INTC) Q4 Outlook Misses Despite Q3 Beat』(2026年10月30日、ロイター報道を二次引用)
  8. The Jerusalem Post『Second factory worker injured in suspected gas cylinder explosion at Intel plant pronounced dead』(2026年10月15日)
  9. The Times of Israel『Second worker dies of wounds sustained in Intel plant blast in southern Israel』(2026年10月15日)

✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年
ファンダメンタルを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。たまにチャート分析もします。ナンピンは得意です。
X(旧Twitter):@pablo29god

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