7〜9月期の米実質GDP(速報値)は前期比年率+3.4%で、予想の+3.0%、前期の+2.2%を上回った。押し上げの中心は在庫と設備投資で、個人消費は+3.8%と強かったものの、GDPへの寄与は前期とほぼ同じ。一方、同日発表の9月は、PCE価格が前月比+0.5%、個人支出も+0.5%で、実質消費は横ばいだった。
①実質GDPは+3.4%(予想+3.0%)、個人消費は+3.8%(予想+3.4%)
②加速の主因は在庫(寄与+1.61ポイント)と設備投資。純輸出は▲3.32ポイントで、輸入の急増が差し引き要因
③9月の実質消費は前月比横ばい、実質可処分所得は▲0.3%、貯蓄率は3.8%まで低下
米GDP第3四半期(速報値):予想を上回る
2026年10月29日に発表された7〜9月期の米実質GDP(速報値)は、前期比年率+3.4%だった。予想の+3.0%、前期の+2.2%をともに上回った。個人消費は+3.8%(予想+3.4%、前期+3.8%)、GDP価格指数は+2.3%(予想+3.5%、前期+6.1%)、コアPCE価格指数は+2.5%(予想+2.4%、前期+3.3%)。
※GDP価格指数は連鎖価格指数で、インプリシット・デフレータは+2.2%。
| 指標(前期比年率) | 結果 | 予想 | 前回 |
|---|---|---|---|
| 実質GDP | +3.4%(上振れ) | +3.0% | +2.2% |
| 個人消費 | +3.8%(上振れ) | +3.4% | +3.8% |
| GDP価格指数 | +2.3%(下振れ) | +3.5% | +6.1% |
| コアPCE価格 | +2.5%(上振れ) | +2.4% | +3.3% |
GDP第2次推計は2026年11月25日8:30 a.m.(ET)に発表予定(日本時間22:30)。
GDPの中身:在庫と設備投資が加速させ、輸入が打ち消した
寄与度(ポイント)
| 項目 | 第2四半期 | 第3四半期 | 差 |
|---|---|---|---|
| 実質GDP(年率) | +2.2% | +3.4% | +1.2 |
| 個人消費 | +2.51 | +2.52 | +0.01 |
| 民間投資 | +0.82 | +3.27 | +2.45 |
| 設備投資(非住宅) | +1.25 | +1.78 | +0.53 |
| 在庫変動 | ▲0.53 | +1.61 | +2.14 |
| 純輸出 | ▲1.10 | ▲3.32 | ▲2.22 |
| 輸出 | +0.56 | ▲0.68 | ▲1.24 |
| 輸入 | ▲1.66 | ▲2.64 | ▲0.98 |
| 政府支出 | ▲0.01 | +0.90 | +0.91 |
※「差」の列は筆者計算。
- 投資:在庫は卸売・製造業(ともに非耐久財中心)が主因。設備投資は情報処理機器(主にコンピュータ・周辺機器)が主因で、機器は前期比年率+20.9%(寄与+1.16ポイント)。
- 個人消費:サービス(医療、飲食・宿泊)と財(処方薬など)の両方が増加。サービスは+4.1%(寄与+1.89)、財は+3.0%(寄与+0.63)。
- 政府支出:連邦が主因で、特に非国防消費支出の増加。戦略石油備蓄(SPR)の売却額が前期より減ったことによる(売却分は他の項目に反映されるため、GDPへの直接の影響はない、とBEAは説明)。
- 輸出入:輸出は+5.0%から▲5.7%に反転。石油・関連製品を中心とする財が主因。輸入は+19.7%で、最大の要因は自動車を除く資本財。
- 民間国内最終需要(個人消費+民間設備・住宅投資)は+4.9%で、前期の+4.6%から加速。
読み解き
個人消費・民間投資・政府支出の寄与の合計は+6.69ポイントで、純輸出の▲3.32ポイントを引くとGDPは+3.4%になる(筆者計算)。つまり内需はGDPの数字より強く、その一部が輸入に流れた形で、見出しの数字は国内の強さを全部は映していない。また、前期からの加速分(+1.2ポイント)は、在庫が+2.14、政府支出が+0.91、純輸出が▲2.22で、個人消費の寄与はほぼ変わっていない。
物価:四半期ベースは大きく鈍化
| 前期比年率 | 第2四半期 | 第3四半期 |
|---|---|---|
| GDP価格指数 | +6.1% | +2.3% |
| PCE価格指数 | +5.0% | +2.1% |
| 財 | +7.6% | +0.5% |
| 非耐久財 | +10.0% | ▲0.4% |
| サービス | +3.9% | +2.8% |
| コアPCE価格 | +3.3% | +2.5% |
四半期の数字は7〜9月の平均的な水準の変化で、次に見る9月単月の動きとは別に見る必要がある。
9月の米PCE価格指数:予想どおり、単月は再加速
| 指標 | 結果 | 予想 | 前回 |
|---|---|---|---|
| PCE価格 前月比 | +0.5%(一致) | +0.5% | +0.3% |
| PCE価格 前年比 | +3.6%(一致) | +3.6% | +3.4% |
| コアPCE 前月比 | +0.3%(一致) | +0.3% | +0.3%(改定後) |
| コアPCE 前年比 | +3.1%(一致) | +3.1% | +3.0% |
9月の個人所得・支出:名目は増加、実質は横ばい
| 指標 | 結果 | 予想 | 前回 |
|---|---|---|---|
| 個人所得 前月比 | +0.2%(下振れ) | +0.3% | +0.3%(改定後) |
| 個人支出 前月比 | +0.5%(下振れ) | +0.6% | +0.9% |
- 個人所得は$545億増。賃金(民間)とメディケアなど社会保障給付が主因。
- 個人支出は$1,131億増。財が$351億、サービスが$781億の増加。
- 実質PCEは$26億増で、前月比0.1%未満(8月は+0.5%)。実質可処分所得は▲0.3%(8月0.0%)。
- 貯蓄率は3.8%(貯蓄$9,111億)。
支出の内訳(十億ドル、前月比の増減)
| 項目 | 増減 |
|---|---|
| ガソリン等エネルギー | +45.7 |
| 運輸サービス | +18.4 |
| 住居・光熱 | +17.8 |
| 飲食・宿泊 | +15.5 |
| 医療 | +13.0 |
| 金融・保険 | +11.1 |
| 自動車・部品 | ▲14.0 |
| 娯楽サービス | ▲3.2 |
支出増加$1,131億のうち、ガソリン等エネルギーが$457億で約4割を占める。エネルギーを除く財は、$351億−$457億で約▲$106億の減少(筆者計算)。
8月との比較
| 項目 | 8月 | 9月 |
|---|---|---|
| PCE価格 前月比 | +0.3% | +0.5% |
| 個人所得 前月比 | +0.3% | +0.2% |
| 実質可処分所得 | 0.0% | ▲0.3% |
| 個人支出 前月比 | +0.9% | +0.5% |
| 実質支出 前月比 | +0.5% | 0.0% |
ここが読みどころ
第3四半期の個人消費は+3.8%と強いが、四半期の数字には7〜8月の強さが含まれる。9月単月で見ると、実質消費は横ばい、実質所得は減少、貯蓄率は低下している。
名目の支出増加の約4割がガソリン等のエネルギーという点は、9月の米小売売上高で「ガソリンを除くと+0.2%」だったことや、9月の米CPIのガソリン高と同じ構図になる。この勢いの鈍化が第4四半期にどう出るかが焦点になる。
この数字の「賞味期限」
今回のGDPは速報値で、第2次推計(11月25日)で改定される。10月分の個人所得・支出も同日に発表予定。
📚 主な出典
- BEA「Gross Domestic Product (Advance Estimate), 3rd Quarter 2026」(2026年10月29日公表)|BEA公式PDF(一次資料)
- BEA「Personal Income and Outlays, September 2026」(2026年10月29日公表)|BEA公式PDF(一次資料)
- BEA NIPA Tables 1.1.1・1.1.2・1.1.7(2026年10月29日改定)|BEA Selected NIPA Tables(PDF)
- 関連記事:9月の米小売売上高記事
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予想値はみんかぶFX 経済指標カレンダーを参照しました。寄与度の「差」、内需の合計、エネルギーを除く財の増減は、BEA表から執筆者が算出しました。
✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年
ファンダメンタルを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。たまにチャート分析もします。ナンピンは得意です。/X(旧Twitter):@pablo29god
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