【アップル決算】9月期は売上・EPSとも予想超え、12月期の粗利益率は45〜46%へ低下見通し——メモリ高が利益率に波及

企業決算
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アップル(AAPL)は2026年11月2日(米国時間)、2026会計年度第4四半期(7〜9月期、9月26日終了)の決算を発表しました。9月1日にTim Cook氏からCEOを引き継いだJohn Ternus氏にとって、初めての決算です。

売上高は1,144.77億ドル(前年同期比+11.7%)、希薄化後EPSは2.10ドル(同+13.5%)でした。売上とEPSはBloomberg集計の市場予想を上回り、売上の伸びは会社見通し(+9〜11%)の上限も超えました。通期(FY26)も売上4,788.34億ドル、EPS 8.98ドルと、いずれも過去最高です。

一方、12月期(10〜12月期)の粗利益率の見通しは45〜46%で、今回の47.9%から下がります。会社は主因としてメモリコストの上昇を挙げています。今回の7〜9月期も、営業費用は前年比約21%増と大きく膨らみました。この記事では、好決算の中身と、利益率が下がる局面に入る理由を整理します。

前回(2026年4〜6月期)の決算記事はこちらです。
→ 【アップル(AAPL)決算】Q3 EPS2.02ドル・売上1094億ドルで過去最高も、供給制約への言及で時間外株価は急落——Cook氏最後の決算発表に

⏳ 30秒で読む結論

アップルの7〜9月期は、売上高1,144.77億ドル(前年同期比+11.7%)、EPS 2.10ドルでした。売上とEPSはBloomberg集計の予想(売上1,134.6億ドル、EPS 2.00ドル)を上回り、売上の伸びは会社見通し(+9〜11%)の上限を超えました。ただし12月期の粗利益率は45〜46%の見通しで、今回の47.9%(関税還付の約1ptを含む)から下がります。研究開発費も前年比+32%と膨らみ、営業利益率は31.6%から31.1%に下がりました。


① iPhone(+17.5%)とMac(+23.7%)が増収を牽引。iPadとWearablesは減収
② メモリ価格の上昇が、粗利益率・値上げ・在庫・購入義務に波及している
③ Servicesの伸びは+9.8%に減速(4〜6月期は+12.1%)。12月期の見通しは+8〜9%

アップルとはどんな会社か

アップル(NASDAQ:AAPL、米カリフォルニア州クパチーノ)は、iPhone・Mac・iPad・Wearables(Apple Watch・AirPodsなど)のハードウェアと、App Store・iCloud・Apple Musicなどのサービス事業を持つ企業です。今回の7〜9月期では、売上の約半分がiPhone(50.3%)、約28%がServices(27.6%)でした(財務諸表からの筆者計算)。

CEOは9月1日からJohn Ternus氏です。Tim Cook氏は会長(executive chairman)に移りました。CFOはKevan Parekh氏です。

決算の全体像:売上・EPSは市場予想を上回る

7〜9月期の売上高は、前年同期の1,024.66億ドルから+11.7%増えました。市場予想(Bloomberg集計、決算前)の1,134.6億ドルを約0.9%上回っています。EPSは2.10ドルで、予想の2.00ドルを0.10ドル(約5%)上回りました[14]。

EPSの伸び(+13.5%)が純利益の伸び(+11.8%)を上回ったのは、自社株買いで株式数が減ったためです(希薄化後株式数は前年同期比約1.6%減、筆者計算)。

【図表1】実績と市場予想(2026年7〜9月期)

指標実績市場予想(Bloomberg)前年同期
売上高1,144.77億ドル(+11.7%)1,134.6億ドル1,024.66億ドル
EPS(希薄化後)2.10ドル(+13.5%)2.00ドル1.85ドル
純利益307.11億ドル(+11.8%)―274.66億ドル
営業利益356.31億ドル(+9.9%)―324.27億ドル
売上総利益率47.9%―47.2%
営業利益率31.1%―31.6%

※予想はBloomberg集計(決算前の報道)。Benzinga Proの予想(売上1,133.9億ドル、EPS 1.99ドル)とほぼ同水準です[16]。営業利益率は筆者計算。
※会社の発表文は売上を「12%増」と丸めて表記しています。本記事は財務諸表から計算した+11.7%を使用しています。出所:Apple財務諸表[1]、MacRumors[6]

EPSには、関税還付による0.05ドルの押し上げが含まれます(会社説明、CNBC報道)[13]。これを除くと2.05ドルとなり、それでも予想の2.00ドルを上回る計算です(筆者計算)。ただし、市場予想が関税還付を織り込んでいたかは確認できていません。そのため、EPSの「予想超え」は比較条件が完全に揃っているとは言えません。

会社見通しと比べると:売上は上限超え

前回の決算説明会で、会社は7〜9月期の見通しを示していました[10]。実績と比べると、売上は上限を超え、粗利益率は上限に近い結果です。

【図表2】会社見通し(4〜6月期決算時)と実績

項目会社見通し実績
売上成長率+9〜11%+11.7%(上限超え)
iPhone売上成長率10%台半ば+17.5%
Services成長率6月期(+12%)とおおむね同程度。ただし、為替による約2.5ptの逐次的な逆風を除いた場合+9.8%
売上総利益率47〜48%(関税還付の約1ptを含む)47.9%
営業費用191〜194億ドル191.89億ドル
税率約16.5%約15.0%

※実績の税率は税金54.24億ドル÷税引前利益361.35億ドルによる筆者計算。Servicesの見通しは書き起こしの要約による表現です。出所:4〜6月期決算説明会[10]、Apple財務諸表[1]

アップルは売上高や利益の通期見通しは出さず、翌四半期の見通しだけを示します。控えめに置いた範囲を、実績が上回る形でした。

何が伸び、何が減ったか

増収を牽引したのはiPhoneとMacです。

【図表3】カテゴリ別売上と市場予想(2026年7〜9月期)

カテゴリ売上高(前年同期比)市場予想予想比
iPhone575.83億ドル(+17.5%)564.8億ドル約+2%
Mac107.92億ドル(+23.7%)96.9億ドル約+11%
iPad62.29億ドル(▲10.4%)68.3億ドル約▲9%
Wearables, Home and Accessories83.00億ドル(▲7.9%)89.9億ドル約▲8%
Services315.73億ドル(+9.8%)315.8億ドルほぼ一致

※予想はYahoo Finance掲載のコンセンサス(Bloomberg集計とされるが、カテゴリ別の出典明記は弱い)[14]。予想比は筆者計算。出所:Apple財務諸表[1]

iPhoneは9月期として過去最高です。Macは予想を約11%上回りました。iPadとWearablesは予想を下回り、減収です。

会社の説明では、iPadの減少は供給制約と、前年にA16搭載iPadが発売された反動です。Wearablesは、前年にApple Watch SE3とAirPods Pro 3が発売された反動です(決算説明会の要約による)[7]。

地域別では、日本を除く4地域が増収でした。

【図表4】地域別売上(2026年7〜9月期)

地域売上高前年同期比
Americas486.80億ドル+10.2%
Europe320.08億ドル+11.5%
Greater China175.39億ドル+21.0%
Japan65.40億ドル▲1.4%
Rest of Asia Pacific97.10億ドル+15.0%

出所:Apple財務諸表[1]

Greater Chinaは通期でも+28%(823.78億ドル)と、地域別で最も伸びています。ただし、Yahoo Finance掲載の7〜9月期の市場予想は187.5億ドル(集計元は未確認)で、実績を約6.5%下回ります[15]。集計元が確認できていないため、「未達」とは断定しません。日本が前年を下回った理由は、資料からは確認できませんでした。

利益の中身:粗利益率は上がったが、営業利益率は下がった

売上総利益率は47.9%で、前年同期(47.2%)から0.7pt上がりました。製品の粗利益率は37.2%(前年36.2%)、Servicesは76.0%(前年75.3%)です。

ただし、この粗利益率には関税還付の約1ptが含まれます。関税還付は一時的な要因です。会社の説明では、還付を除くと、粗利益率は4〜6月期比で約1pt下がっていて、それはメモリコストの上昇によるものです[7][8]。

関税還付の背景は、10-Kに書かれています。2026年2月20日に米最高裁が、IEEPA(国際緊急経済権限法)にもとづく一部の関税を無効とする判決を出しました。アップルは支払い済みの関税について還付を申請し、受け取った分を製品の売上原価の減少として計上しています[2]。

営業利益率は、前年の31.6%から31.1%に下がりました。

【図表5】損益の前年同期比較(2026年7〜9月期)

項目7〜9月期前年同期変化
研究開発費117.30億ドル(売上比10.2%)88.66億ドル(売上比8.7%)+32.3%
販売費・一般管理費74.59億ドル70.48億ドル+5.8%
営業費用合計191.89億ドル159.14億ドル+20.6%
営業利益率31.1%31.6%▲0.5pt
税率約15.0%約16.3%▲1.3pt
その他収益(純額)5.04億ドル3.77億ドル+1.27億ドル

※売上比・営業利益率・税率は筆者計算。出所:Apple財務諸表[1]

営業費用が+20.6%増え、売上の伸び(+11.7%)を大きく上回りました。増加の大半は研究開発費です。10-Kは、通期の研究開発費が457.65億ドル(+32%)に増えた理由を、「AI投資を含むインフラ関連コストと、人件費の増加」と説明しています[2]。通期の営業費用は755.39億ドル(+22%)です。12月期も、AIを中心とした研究開発投資が増加の主因と、会社は述べています[8][9]。金額ごとの内訳は示されていません。

純利益の伸び(+11.8%)が営業利益の伸び(+9.9%)を上回ったのは、税率が下がったことと、その他収益が増えたことが寄与しています(筆者計算)。

12月期の見通し:粗利益率は45〜46%へ

Parekh氏は、12月期(10〜12月期)の見通しを次のように示しました[8]。

【図表6】粗利益率の推移(FY26 Q1〜Q4と、FY27 Q1の会社見通し)

実績 関税還付の押し上げ(会社説明の概算) 会社見通し 見通しの幅

Q1(10〜12月)
48.2%
Q2(1〜3月)
49.3%
Q3(4〜6月)
50.1%
Q4(7〜9月)
47.9%
FY27 Q1見通し
45〜46%

※目盛りは0〜55%。Q1・Q2・Q3はAppleのForm 8-Kの売上総利益÷売上高(筆者計算)[5][4][3]、Q4はApple財務諸表による[1]。灰色は関税還付の押し上げ幅(Q3は約2pt、Q4は約1pt)。見通しは会社公表のレンジ[8]。

関税還付を除いた概算では、Q3が約48%、Q4が約47%です(筆者計算)。つまり、還付を除いても粗利益率は下がり始めています。12月期の見通しは、そこからさらに1〜2pt下がる水準です。

【図表7】12月期(FY27 Q1)の会社見通し

項目会社見通し
売上高前年同期比+7〜10%(約1,538〜1,581億ドル)。供給制約を反映。会社史上最高の四半期売上になる見込み
Services売上+8〜9%
売上総利益率45〜46%(メモリコスト上昇とSiri AIの立ち上げコストを含む)
営業費用204〜208億ドル(前年比+11〜13%)
その他収益・費用約3億ドル(少数株式投資の時価評価の影響を除く)
税率約17%

※前提:関税の税率・政策が現状のまま、世界のマクロ環境が悪化しないこと。売上高の金額は、前年同期の1,437.56億ドル(Form 8-K、FY26 Q1)[5]を基準にした筆者計算。出所:決算説明会(書き起こしの要約)[7][8][9]

売上の見通しは、LSEG集計の市場予想(+6.1%、CNBC報道)より高い水準です[13]。一方、粗利益率は、前回示した見通し(47〜48%)から下がります。

なお、10月23日に発売されたiPhone Duoは、今回の決算期間には含まれません。12月期の売上に初めて入ります[17]。

メモリ高が、価格・在庫・購入義務に波及している

12月期の粗利益率低下の主因は、メモリ価格の上昇です。決算説明会での経営陣の説明は、次のとおりです(言い換え)[8][9][12]。

  • Ternus氏は、メモリ価格の現状を「前例のない」水準と表現しました
  • 12月期はメモリコストがさらに上がります。値上げ、繰越在庫(以前に安く確保したメモリ在庫)、非メモリ部品の価格低下で一部を相殺しますが、繰越在庫の効果は時間とともに小さくなります
  • 12月期より先も、メモリの購入価格は上がり続けると見ています(12月期より先の見通しは示していません)
  • MacとiPadは6月、iPhoneは9月に値上げしました。Parekh氏は「不本意ながら」と説明し、さらなる値上げの有無は回答を避けました
  • 製造に関する購入義務は、6月期から9月期で330億ドル増えました(説明会での発言)。10-Kでは、9月末の製造購入義務は897億ドルで、うち827億ドルが12か月以内に支払う予定です[2]。6月末の残高は10-Kにないため、+330億ドルは発言に依拠しています

供給面では、9月期の制約はiPhone・Mac・iPadで、先端プロセスのSoCが原因でした。2nm技術への移行で改善しつつあります。12月期はMacとiPadの制約が中心で、主因はメモリです。需要が想定を上回ったことも説明されています。iPhone Duoも供給制約が続いており、需給が均衡する時期は予測が難しいとのことです。

貸借対照表にも変化が出ています。

【図表8】貸借対照表の主な変化(9月末、前年9月末比)

項目2026年9月末2025年9月末増減
棚卸資産145.41億ドル57.18億ドル+154.3%
無形資産(非流動)202.78億ドル110.93億ドル+82.8%
買掛金822.52億ドル698.60億ドル+17.7%
その他の固定負債543.32億ドル415.49億ドル+30.8%

※無形資産は非流動部分。流動部分(54.22億ドル)を含む純額は257.00億ドル(前年133.01億ドル)。出所:Apple財務諸表[1]、Form 10-K[2]

棚卸資産は、6月末の110.9億ドル(TechCrunch報道)[11]からも約31%増えています。10-Kの内訳では、増加の大半が部品在庫です。部品は21.24億ドルから104.47億ドル(約4.9倍)に、完成品は35.94億ドルから40.94億ドル(+13.9%)になりました[2]。増加額88.23億ドルのうち、約94%が部品です(筆者計算)。10-Kは部品の中身(メモリなど)までは示していません。メモリ価格の上昇と供給制約は会社が挙げている事実ですが、在庫の増加をメモリと結びつけるのは、現時点では推測です。

無形資産は、10-Kによると、増えたのは「ライセンス型無形資産」です。純額(流動と非流動の合計)は91.79億ドルから209.43億ドルになりました。償却費も37億ドルから49億ドルに増えています[2]。増加の相手先や目的は、10-Kにも書かれていません。

Servicesの伸びは鈍化

Servicesは315.73億ドル(+9.8%)で、全期間の過去最高です。市場予想(315.8億ドル)とほぼ一致しました。一方、伸び率は4〜6月期の+12.1%から鈍化しています。12月期の見通しは+8〜9%です。なお、前回の見通しの時点でも、為替による約2.5ptの逆風が示されていました[10]。

【図表9】Services売上の前年同期比

実績 会社見通し 見通しの幅

Q3(4〜6月)
+12.1%
Q4(7〜9月)
+9.8%
FY27 Q1見通し
+8〜9%

※目盛りは0〜15%。出所:Apple財務諸表[1]、Form 8-K(FY26 Q3)[3]、決算説明会(書き起こしの要約)[8]

会社は、7〜9月期の伸びの重しとして、為替とApp Store(モバイルゲームの弱さ、米国の裁判所命令によるリンクアウト取引への制約)を挙げています。12月期の見通し(+8〜9%)には、第三者ライセンスと為替が逆風として含まれています[8]。為替の影響度は、資料によって数値の表現が異なり、確認中です。

10-Kのリスク要因には、Googleなどとの検索サービスのライセンス契約が、米国の独占禁止法訴訟の影響を受けうることが書かれています。EUのデジタル市場法(DMA)の調査や、Epic Gamesとの訴訟も記載されています[2]。会社は12月期の見通しで「第三者ライセンス」の逆風に触れていますが、書き起こしの要約では、その具体的な中身までは確認できていません。

Services粗利益率は76.0%で、前四半期(75.6%)より0.4pt上がりました(財務諸表からの筆者計算。会社も約0.4ptの上昇と説明)[3]。Siri AIのサーバー側コストは、Servicesの原価に計上されます。

キャッシュフローと株主還元

通期(FY26)の営業キャッシュフローは1,450.97億ドルで、前年(1,114.82億ドル)から+30.2%増えました。設備投資は90.41億ドルで、前年(127.15億ドル)から28.9%減りました。差し引きは約1,360.56億ドルです(筆者計算)。

【図表10】通期のキャッシュフローと株主還元(FY26)

項目FY26(2026年9月期)FY25(2025年9月期)
営業キャッシュフロー1,450.97億ドル1,114.82億ドル
設備投資90.41億ドル127.15億ドル
自社株買い863.90億ドル907.11億ドル
配当157.21億ドル154.21億ドル
現金+有価証券(期末)1,369.35億ドル1,324.20億ドル
有利子負債(期末)801.11億ドル986.57億ドル
差し引き(ネットキャッシュ)約568.24億ドル約337.63億ドル

※有利子負債はコマーシャルペーパーと社債の合計、差し引きは筆者計算。出所:Apple財務諸表[1]

7〜9月期の営業キャッシュフローは約281億ドル、株主還元は約280億ドルでした。決算説明会では、配当約39億ドル、自社株買い約240億ドルと説明されています[7]。通期の数字からQ3までの9か月累計を引いて計算すると、営業キャッシュフローは281.01億ドル、配当は39.43億ドル、自社株買いは242.96億ドルです(筆者計算)[1][3]。配当は1株0.27ドルで、支払日は11月16日、基準日は11月12日です[6]。

株主還元の背景として、2026年4月に、新たな自社株買い枠(最大1,000億ドル)の発表と、四半期配当の0.26ドルから0.27ドルへの引き上げ(5月開始分から)が行われました[2]。通期の自社株買いは、図表10のキャッシュフロー計算書ベースで863.90億ドルです。10-Kの本文は、同じ期間の買い付け額を約858億ドルと記しており、約6億ドルの差があります(10-Kの本文は10億ドル単位の丸めのため、実際の差は±0.5億ドル程度の幅があります)[2]。差の理由は10-Kからは確認できませんでした。

Parekh氏は、「ネットキャッシュ中立」を目標として使っていないことも確認しました。必要な投資を行ったうえで余剰現金を株主に還元する方針は、変えていないとのことです[8]。

リスク

  • メモリコストの上昇:12月期の粗利益率は45〜46%の見通し。12月期より先の見通しは示されておらず、購入価格の上昇が続くと会社は見ている
  • 購入義務の増加:6月期から9月期で330億ドル増加(説明会での発言)。9月末の製造購入義務は897億ドルで、うち827億ドルが12か月以内の支払い[2]
  • 需要への影響:10-Kは、メモリ・ストレージのコスト上昇と供給制約が強まる見通しを示し、値上げが需要を減らす可能性にも触れている[2]
  • 供給制約:12月期もMacとiPadが制約を受け、iPhone Duoも供給が逼迫している
  • 関税政策:見通しは「関税の税率・政策が現状のまま」という前提。7〜9月期の粗利益率には、還付による約1ptの一時要因が含まれていた。10-Kは、新たにSection 301の関税が課されたことと、半導体を対象とするSection 232の調査が続いていることも記している[2]
  • Servicesの減速:為替、App Store、規制の影響で、12月期は+8〜9%の見通し
  • 研究開発費の膨らみ:営業費用は12月期も前年比+11〜13%の見通し

出所:決算説明会(書き起こしの要約)[8][9]、Apple財務諸表[1]

今後の注目点

次回(2026年10〜12月期)の決算では、次の点を確認したいところです。

確認する対象見るポイント
粗利益率見通しの45〜46%に収まるか
Services伸びが+8〜9%の見通しを維持できるか
供給制約MacとiPadの制約が、いつ緩和に向かうか
在庫・購入義務部品在庫(104.47億ドル)と製造購入義務(897億ドル)が、次の四半期でどう動くか
営業費用204〜208億ドルに収まり、研究開発費の伸びが鈍化に向かうか
価格さらなる値上げの有無と、需要への影響
iPhone Duo立ち上がりと、供給の均衡時期

まとめ

この記事のまとめ
  • 確認できたこと:売上・EPSは市場予想を上回り、売上の伸びは会社見通しの上限を超えた。通期は売上・EPSとも過去最高
  • 課題:12月期の粗利益率は45〜46%へ下がる。7〜9月期も、関税還付を除くと粗利益率は前四半期から約1pt下がっていた。営業費用は+20.6%増え、営業利益率は下がっている
  • 会社の見方:メモリ価格の上昇は12月期以降も続く。繰越在庫の効果は小さくなっていく
  • まだ分からないこと:ライセンス型無形資産の増加の相手先と目的、部品在庫の具体的な中身、12月期より先の見通し、書き起こし原文との照合

売上が予想を上回る一方で、利益率が下がる局面に入ったのが、今回の決算の特徴です。

前回記事の補足(訂正)

前回の記事で、「アップルは近年、具体的な数値レンジによる正式ガイダンスの開示は行っていない」と書きました。これは誤りでした。実際には、前回の決算説明会でParekh氏が、7〜9月期の売上成長+9〜11%、粗利益率47〜48%などの見通しを示していました[10]。今回の実績は、その見通しと比べて、売上が上限を超え、粗利益率が上限に近い結果でした。お詫びして訂正します。

データについて:本記事の数値は、Appleが2026年11月2日に公表した連結財務諸表、11月3日提出のForm 10-K、過去のForm 8-K(FY26 Q1・Q2・Q3)、決算説明会(書き起こしの要約)、報道にもとづきます。売上総利益率・営業利益率・税率・差し引き額・還付除外の試算・成長率の一部は筆者の計算です。市場予想は、決算前に報じられたBloomberg集計(売上・EPS)、Yahoo Finance掲載のカテゴリ別予想、LSEG集計(12月期の売上成長予想、CNBC報道)を使っています。決算説明会の内容は第三者サイトの書き起こしの要約にもとづくため、原文との照合は済んでいません。図は公表資料の数値をもとに作成しました。

主な出典

  1. Apple『FY26 Q4 Consolidated Financial Statements』(2026年11月2日)
  2. Apple『Form 10-K(2026会計年度)』(2026年11月3日)
  3. Apple『Form 8-K(Exhibit 99.1、FY26 Q3:2026年6月27日終了)』
  4. Apple『Form 8-K(Exhibit 99.1、FY26 Q2:2026年3月28日終了)』
  5. Apple『Form 8-K(Exhibit 99.1、FY26 Q1:2025年12月27日終了)』
  6. MacRumors『Apple Reports 4Q 2026 Results』(2026年11月2日)
  7. Six Colors『Hello, everyone, it’s John: Apple’s Q4 2026 earnings call transcript』(2026年11月)
  8. The Singju Post『Apple (AAPL) Q4 2026 Earnings Call Transcript』(2026年11月)
  9. Investing.com『Earnings call transcript: Apple tops Q4 2026 estimates』(2026年11月2日)
  10. Investing.com『Earnings call transcript: Apple beats Q3 2026 estimates』(2026年7月30日)
  11. TechCrunch『Apple’s inventory surges 154% as memory chip costs climb』(2026年11月2日)
  12. MacRumors『Apple Dodges Question on More Price Hikes as Memory Costs Climb』(2026年11月2日)
  13. CNBC『Apple Q4 2026 earnings live updates: Ternus’ first call』(2026年11月2日)
  14. Yahoo Finance『Apple to report Q4 earnings Monday, with iPhone 18 sales in the spotlight』(2026年11月2日、Bloomberg集計の市場予想を引用)
  15. Yahoo Finance『Apple earnings live: Apple beats Q4 estimates on strong iPhone sales but misses on China revenue』(2026年11月2日)
  16. Benzinga『Apple Q4 Preview: All Eyes on iPhone 18』(2026年11月)
  17. AppleInsider『What analysts expect from Apple’s Q4 2026 results on November 2』(2026年11月1日)

✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年
ファンダメンタルを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。たまにチャート分析もします。ナンピンは得意です。
X(旧Twitter):@pablo29god

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