【LITALICO(7366)決算】4-9月期は営業利益+37%、通期予想を上方修正〜障害福祉は「公費×成果連動」でどう稼ぐのか

企業決算
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LITALICOは2026年11月2日、2027年3月期 第2四半期(2026年4〜9月期)の決算を発表しました。

売上収益は221億円(前年同期比+19.6%)、営業利益は28.3億円(同+37.0%)でした[1]。あわせて、通期の営業利益予想を55億円から58〜63億円へ引き上げ、期末配当予想も15円から20円に増やしました[3]。

障害福祉は、サービスを使った人の費用を国と自治体が大半負担する「公費」の事業です。そのため、売上の仕組みが一般の事業と大きく違います。この記事では、稼ぐ仕組み、決算の中身、上方修正の裏で増えている先行投資と借入を整理します。ココルポート、AHCグループとの違いも見ていきます。

同社の決算記事は今回が初めてです。報酬改定の背景は、こちらの記事にまとめています。
→ B型事業所はどう変わる?就労系障害福祉サービス5種類と2027年報酬改定案の問題点(2026年9月29日)

⏳ 30秒で読む結論

LITALICOの4〜9月期は、売上収益221億円(前年同期比+19.6%)、営業利益28.3億円(同+37.0%)の大幅な増収増益でした。通期予想も上方修正しましたが、上振れ分の一部は下期の先行投資に回す計画です。市場予想との比較は、確認できた予想が税引前利益ベースの1件のみで条件が合わないため、行っていません。


① 就労支援が売上の38%で、セグメント利益の55%を稼ぐ。児童福祉の利益は1.7億円から7.0億円へ増えた
② 通期の営業利益予想は55億円から58〜63億円へ。中間で当初予想の51%に達したが、先行投資6〜9億円を織り込んでいる
③ 現金は81億円から49億円へ減り、借入は173億円から194億円へ増えた。成長投資の財源と、2027年度に向けた報酬改定が焦点

LITALICOとはどんな会社か

LITALICO(東証プライム:7366)は、障害のある人を支えるサービスを運営する会社です。2005年の設立から、障害福祉の分野で事業を広げてきました。社長は長谷川敦弥氏です。掲げるビジョンは「障害のない社会をつくる」で、障害は本人ではなく社会の側にあるという考え方に立っています。会社は2026年11月の資料で、中期方針を「障害者の支援で世界No.1」としています[2]。

事業は、大きく二つの層に分かれます。

  • 直接支援:自社の施設で、利用者に直接サービスを提供する事業です。全国約400の施設で、学び、就労、生活を支えています
  • プラットフォーム:障害のある人や福祉事業者に向けた、情報サイトや業務ソフトの事業です。直接支援で培ったノウハウを生かしています

決算資料は、事業を5つのセグメントに分けています[1]。

  • 就労支援:就労移行・就労定着の「LITALICOワークス」。就職に向けた訓練と、就職後の職場定着を支えます
  • 児童福祉:児童発達支援や放課後等デイサービスの「LITALICOジュニア」(スタンダードコース)と、訪問看護
  • プラットフォーム:保護者向けの「発達ナビ」、仕事を探す人向けの「仕事ナビ」、福祉業界の転職支援「キャリア」と、事業所向けの請求・介護ソフト
  • 海外:米国ネブラスカ州で、強度行動障害のある人を支援するDDCN社(2024年7月にグループ入り)
  • その他:短期集中型のLITALICOジュニア(パーソナルコース)、プログラミング教育のLITALICOワンダー、相談サービスのLITALICOライフ、グループホームのLITALICOレジデンスなど

子どもの学びから就職、大人の暮らしまで、障害のある人の一生を支えることを事業の軸にしています。

2026年4〜9月期の売上で見ると、就労支援が38%、児童福祉が28%、プラットフォームが15%、海外が9%、その他が9%です。2026年9月末の利用者は、児童福祉が12,354名、ワンダーが4,834名でした[2]。

決算の全体像:売上は2割増、営業利益は4割近い増加

【図表1】2026年4〜9月期の実績(前年同期比)

単位:百万円(営業利益率は%)。IFRS。前年同期は、2026年3月期に売却した子会社2社を除く継続事業ベース

項目前年同期今期増減
売上収益18,47322,102+19.6%
売上総利益7,0259,153+30.3%
販売費及び一般管理費4,9666,301+26.9%
営業利益2,0622,826+37.0%
税引前中間利益1,8872,756+46.1%
親会社の所有者に帰属する中間利益1,2361,821+47.3%
基本的1株当たり中間利益(円)34.7753.13―
営業利益率11.2%12.8%+1.6pt

売上総利益・販管費の増減率と営業利益率は筆者計算。前年同期の1株当たり中間利益34.77円は非継続事業を含む合計値で、継続事業は34.49円です。出所:決算短信[1]

売上は19.6%増えましたが、営業利益はそれを上回る37.0%増でした。売上総利益が30.3%増え、粗利率が38.0%から41.4%へ上がったためです。

一方で、販管費は26.9%増と売上の伸びより大きく、売上に占める比率は26.9%から28.5%へ上がっています。決算短信は、施設開設に向けた先行費用や人材投資を吸収しながらの増益と説明しています[1]。

税引前利益(+46.1%)が営業利益(+37.0%)より伸びたのは、金融収益が15百万円から190百万円へ増えたことも一因です。内訳は短信に記載がなく、ここでは原因を特定できません。

決算前の市場予想は、確認できたものが株予報の1件(9月17日時点)だけです[5]。予想は税引前利益で5,453百万円と、営業利益ではありません。そのため、「予想超え」「予想未達」の判定は行いません。代わりに、会社が当初示した通期予想に対する進捗で見ていきます。

障害福祉サービスはどうやって収益になるのか

公費の流れ

【図表2】公費事業の仕組み

数字は流れの順番です

①

利用者が、LITALICOのサービスを利用する

②

LITALICOが、利用者に代わって国保連(国民健康保険団体連合会)に請求する

③

国保連が給付費を支払う(費用から利用者負担を除いた分。原則9割)

④

利用者が負担する(原則1割。所得に応じた月額上限あり)

出所:決算説明資料p.32[2]、厚生労働省「障害者の利用者負担」[13]

会社の資料によると、サービスには1回の利用ごと(月額のものもある)に国が決めた単価があります[2]。制度上の利用者負担は原則1割ですが、世帯の所得に応じた月額の上限があり、生活保護世帯と市町村民税非課税世帯は0円です[13]。負担の上限を決める「世帯」は、18歳以上の障害のある人は本人と配偶者、障害児は保護者の世帯で見ます[13]。会社の資料は、仕組みを説明するため「実質1割」と概算で示しています。国保連が支払う給付費は、この利用者負担を除いた分です。事業者は、利用者に代わって国保連へ請求し、報酬を受け取ります。

単価は公定価格のため、値上げで収益を増やすことはできません。単価は、成果による区分や加算で変わります。収益を左右するのは、施設の数、利用者の数(稼働率)、そして成果で単価が変わる仕組みです。

成果で単価が変わる

【図表3】サービス別の報酬単価の目安

仕組みを説明するための概算値。実際の単価は施設や条件で異なります

サービス定員の目安単価の目安
就労移行支援1施設20名1年目 約8,800円/回、2年目 約8,800〜10,000円/回、3年目 約12,000円/回
就労定着支援定員の定めなし約20,000〜30,000円/月
児童発達支援1施設10名約15,000円/回
放課後等デイサービス1施設10名平日 約9,800円/回、休日 約11,000円/回
保育所等訪問支援定員の定めなし約20,000円/回

出所:決算説明資料p.32[2]

就労移行支援の単価は、直近2年間の就労定着率(6か月以上定着した就職者数÷定員の2年分)で決まります。会社資料の例では、定員20人以下の場合、定着率が5割以上なら1,210単位、4割以上5割未満なら1,020単位、3割以上4割未満なら879単位です(1単位は約10円)[2]。厚労省の資料でも、同じ区分が示されています[12]。算定は法人ではなく施設ごとで、報酬改定は3年に1度です。

新規の施設は実績がないため、最高単価に届くまで最低2年かかります。設立から2年未満の施設は、879単位が下限です。そのため、新しい施設は開設直後、収益が低く費用が先に出ます。会社は、新規施設を除くほぼ全ての既存施設が最高の基本報酬単価を得ていると説明しています。

この構造が、後で見る「上方修正でも先行投資を増やす」判断につながります。

事業別:就労支援がセグメント利益の半分以上を稼ぐ

【図表4】セグメント別業績(4〜9月期)

単位:百万円。セグメント利益は、主に本社の一般管理費など報告セグメントに帰属しない費用を引く前の数字

セグメント売上収益前年同期比セグメント利益前年同期比利益率(筆者計算)
就労支援8,440+23.0%2,848+33.8%33.7%
児童福祉6,245+22.4%703+534百万円(約4倍)11.3%
プラットフォーム3,413+25.6%1,095+9.6%32.1%
海外2,041+12.6%466+8.7%22.8%
その他1,963△0.7%54△69.3%2.8%
全社調整額(本社費用など)――△2,341(前年同期 △1,839)―
連結22,102+19.6%2,826+37.0%12.8%

出所:決算短信[1]、決算説明資料[2]

【図表5】売上とセグメント利益の構成比(4〜9月期)

就労支援 児童福祉 プラットフォーム 海外 その他

売上収益

就労支援38.2%/児童福祉28.3%/プラットフォーム15.4%/海外9.2%/その他8.9%

セグメント利益(調整前の合計5,166百万円に対する割合)

就労支援55.1%/児童福祉13.6%/プラットフォーム21.2%/海外9.0%/その他1.0%

構成比は筆者計算。出所:決算短信[1]

就労支援は売上の38%で、セグメント利益の55%を占めます。ただし、セグメント利益は本社費用の2,341百万円を引く前の数字です。他社の営業利益率とそのまま比べてはいけません。

就労支援(LITALICOワークス)

売上は84.4億円(+23.0%)、利益は28.5億円(+33.8%)でした。既存施設の稼働率が上がり、12施設を新規開設して累計は183施設です。M&Aで7施設を9月に加えたことも含みます。2026年度は27施設の開設を計画し、2027年度は40施設へ加速する計画です[2]。

児童福祉(LITALICOジュニア)

売上は62.5億円(+22.4%)、利益は7.0億円で、前年同期の1.7億円から5.3億円増えました。短時間中心の支援を基本に、長時間支援や訪問支援を広げて収益性が上がりました。11施設を新規開設し、累計195施設で、2026年度は21施設の開設計画です。収益性が上がったため、2027年度から開設を加速する方針です[2]。

利用者数は2026年9月末で12,354名です。

前年同期は、2026年3月期に売却した子会社2社を除く継続事業ベースです[4]。LITALICOジュニア訪問看護はその他から児童福祉へ移管されましたが、前年同期への反映の有無は資料から確認できません。

プラットフォーム(発達ナビ、仕事ナビ、キャリアなど)

売上は34.1億円(+25.6%)、利益は11.0億円(+9.6%)でした。売上の伸びに対して利益の伸びが小さいのは、営業体制とプロダクト開発への先行投資を続けているためです。定額課金の契約事業所は38,045施設で、前期末から3,043件増えました。月額顧客単価は15,700円で、月次解約率は1.08%です。福祉人材紹介・媒体事業は前年比+42%の急成長です[2]。

海外(米国ネブラスカ州のDDCN)

強度行動障害者向けの支援を行う会社で、売上は20.4億円(+12.6%)、利益は4.7億円(+8.7%)でした。7月に30床の新規中型施設が営業を始め、償却費用が増えました。居住系施設の利用者数は43名(前期末31名)です[2]。

その他

売上は19.6億円(△0.7%)、利益は0.5億円(△69.3%)でした。新規事業開発への投資を続けています。減益の詳細は資料に記載がありません。

通期予想を上方修正、でも下期は先行投資が増える

【図表6】2027年3月期の通期予想(IFRS)

単位:百万円(1株当たり当期利益と期末配当は円)

項目前期実績当初予想修正予想前期比
売上収益38,24744,00045,500〜46,000+19.0〜+20.3%
営業利益4,5765,5005,800〜6,300+26.7〜+37.7%
親会社の所有者に帰属する当期利益2,7383,3003,500〜3,900+27.8〜+42.4%
1株当たり当期利益(円)77.5495.82102.12〜113.79―
期末配当(円)111520+82%

出所:業績予想修正のお知らせ[3]、決算短信[1]

上方修正の幅は、売上が+1,500〜2,000百万円、営業利益が+300〜800百万円です。会社の説明では、上振れの中身は次のとおりです。

【図表7】営業利益の修正要因(億円)

緑は増加、赤は減少。薄い色は予想の幅(範囲の上限側)。中央の線が0です。目盛りは±10億円

当初予想:55億円

就労支援
+10
児童福祉
+2
プラットフォーム
+0.5
その他
△3
主力3事業の当初計画外投資
△6〜9
海外新規施設
+1〜3

修正予想:58〜63億円

出所:決算説明資料p.6[2]。各要素は資料の表記(約)のまま掲載しています。単純に合計すると約56.5〜61.5億円となり、修正予想(58〜63億円)と約1.5億円の差が出ます。差の理由は資料に記載がなく、確認できていません。

就労支援で約10億円、児童福祉とプラットフォームで約2.5億円の上振れを見込みます。一方で、就労・児童福祉の出店加速やプラットフォームの営業・開発体制の強化などの先行投資を、6〜9億円ほど実施する計画です。海外は、計画外だった米国の新規施設が1〜3億円押し上げます。

進捗を見ると、中間の営業利益2,826百万円は、当初の通期予想5,500百万円の51.4%にあたります。修正後の予想に対しては44.9〜48.7%です(筆者計算)。

修正後の予想から逆算した下期は、売上が23,398〜23,898百万円、営業利益が2,974〜3,474百万円です。前年下期(売上19,774百万円、営業利益2,514百万円)と比べると、売上は+18〜21%、営業利益は+18〜38%です(筆者試算)。レンジの下限どうしでは、下期の営業利益率は前年下期と同じ12.7%です。会社は、追加投資の時期や規模、米国新規施設の動向で利益が変わるとして、レンジで開示しています[3]。

期末配当は15円から20円に引き上げられました。会社は、積極的な成長投資と安定的な増配の両立を基本方針としています。2026年5月から9月の期間には、上限10億円の自己株式取得を実施しました。6月4日時点で、644,700株・10億円を取得済みと資料にあります[2]。

財務:現金は減り、借入は増えた

【図表8】現金・借入などの変化

単位:百万円。上のグラフの目盛りは0〜20,000百万円。差額は筆者計算

現金 3月末
8,095
現金 9月末
4,887
借入金 3月末
17,330
借入金 9月末
19,425
項目2026年3月末2026年9月末増減
現金及び現金同等物8,0954,887△3,208
借入金(流動+非流動)17,33019,425+2,095
リース負債(流動+非流動)3,5804,579+999
有形固定資産7,06810,225+3,157
のれん11,34312,114+771
資産合計43,79647,820+4,023
親会社所有者帰属持分比率32.8%30.6%△2.2pt

出所:決算短信[1]

現金は約32億円減り、借入は約21億円増えました。有形固定資産は約32億円増えています。短信は、借入の増加を事業および設備への投資のためと説明しています[1]。資本合計の主な増加は中間利益1,821百万円で、主な減少は配当382百万円、自己株式の取得及び処分989百万円、為替換算差額185百万円です。新株発行などの小さな項目を含め、全体では272百万円の増加にとどまりました。

中間期の営業キャッシュフローは、短信に記載がありません。半期報告書(11月12日提出予定)で確認が必要です。

他の障害福祉の上場企業と比べると

【図表9】障害福祉サービスの上場企業の比較

決算期、会計基準、連結・単体が異なるため、期間をそろえた比較ではありません。営業利益率は筆者計算

項目LITALICO(7366)ココルポート(9346)AHCグループ(7083)
市場・会計東証プライム・IFRS連結東証グロース・日本基準(単体)東証グロース・日本基準(連結)
決算期3月期6月期11月期
主力就労移行・定着、児童発達・放課後デイ、SaaS・人材紹介、米国就労移行、自立訓練(生活訓練)の単一セグメント福祉56%、介護23%、外食20%(売上構成)
就労移行あり(主力)あり(主力)あり
B型資料に記載なし併設型を2025年10月に初開設(千葉、定員10名)あり(新規開設の中心)
A型確認できず確認できず確認できず
児童発達・放課後デイあり記載なしあり(放課後デイが中心)
直近の売上221億円(2026年4〜9月、+19.6%)71.1億円(2026年6月期、+11.5%)66.6億円(2025年11月期、+6.1%)
直近の営業利益28.3億円8.1億円(+5.4%)1.1億円
営業利益率12.8%(前期12.0%)11.4%(前期12.1%)1.6%
今期予想売上455〜460億円、営業利益58〜63億円2027年6月期 売上80.2億円、営業利益8.95億円2026年11月期 売上72.4億円、営業利益1.75億円

出所:各社の決算短信など。LITALICO[1][3]、ココルポート[6][8]、AHCグループ[9][10][11]

3社は同じ公費の事業ですが、稼ぎ方の幅が違います。ココルポートは就労移行と自立訓練に絞り、拠点を2026年7月1日時点でプレオープンを含め134(就労移行88、自立訓練46)まで広げました[7]。2026年6月期の売上は+11.5%でしたが、営業利益は+5.4%にとどまっています[6]。AHCグループは福祉に介護と外食を合わせた構成で、福祉事業の営業利益率は約5.9%(売上37.5億円、セグメント利益2.2億円。全社費用を引く前のセグメント利益ベース)です[9]。LITALICOは就労移行・児童発達に加え、SaaSなどのプラットフォームと海外を持ち、営業利益率が最も高い水準にあります。

利益率の差には、本社費用の配賦や事業構成の違いもあります。優劣は、この表だけでは決められません。

報酬改定との関係

障害福祉の事業者にとって、報酬改定は収益の前提を変える最大のイベントです。2026年度には期中の臨時見直し(4月・6月施行)が行われ、2027年度(令和9年度)の定期改定に向けた論点が、2026年9月28日の厚労省の検討チーム(第64回)に示されました[12]。決定ではなく、検討の方向性です。

就労移行支援では、就職後6か月の支援を、回数や内容に応じて報酬で評価することが示されました[12]。また、定員に対する就労定着者の割合「5割以上」より上の基本報酬区分を設けることも検討されています。現行の最高区分は「5割以上」で、定員20人以下なら1,210単位です。成果で単価が決まる仕組みを持つLITALICOには、追い風となる可能性があります。就労定着支援では再就職した人を定着者に数えられる期間の緩和案があり、就労選択支援では同一法人への誘導を防ぐ減算の強化案があります[12]。

一方、B型は厳格化の方向[12][14]ですが、LITALICOの資料にB型の記載はなく、直接の影響は限られそうです。ただし、具体的な単価や影響額は、最終案が出るまで分かりません。

リスク

  • 報酬改定の内容:単価や基準が変われば、収益の前提が変わる
  • 稼働率と定着実績:新規施設は最高単価に届くまで2年かかり、先行費用が先に出る
  • 先行投資と借入:下期に投資が増え、借入が増える中で、現金が減っている
  • のれん:12,114百万円で、総資産の約25%を占める
  • 海外・為替:米国事業の円換算額は、為替の影響を受ける
  • 人材:販管費が売上より速く増えており、人件費や採用費の動向が利益率に響く

出所:決算短信[1]、決算説明資料[2]。のれんの比率は筆者計算

今後の注目点

【図表10】次回以降に確認したい指標

確認する対象見るポイント
就労支援のセグメント利益下期の施設開設の加速(27施設計画、2027年度は40施設)と、利益率への影響
児童福祉の利益7.0億円の水準が下期も続くか。2027年度の開設加速が実行されるか
先行投資の規模6〜9億円が、レンジのどこに収まるか
キャッシュフローと借入営業CFで投資をまかなえているか。借入の増加が続くか
報酬改定例年なら年末ごろに出る見込みの改定概要と、就労移行の新区分の中身
配当・自己株式期末配当20円の実施と、追加の株主還元

まとめ

この記事のまとめ
  • 確認できたこと:4〜9月期は売上+19.6%、営業利益+37.0%で、通期予想を上方修正した。就労支援がセグメント利益の過半を占め、児童福祉の利益は5.3億円増えた
  • 課題:販管費の伸びが売上を上回り、現金が減って借入が増えている。下期は先行投資がさらに増える
  • 不明なこと:中間期のキャッシュフロー、先行投資の最終的な規模、報酬改定の最終案
  • 次の確認:報酬改定の概要(例年なら年末ごろ)、2027年3月期の通期決算

障害福祉は、国が単価を決める「公費×成果連動」の事業です。LITALICOの焦点は、成果で単価が上がる施設をどれだけ増やせるか、そして増やすための先行投資と借入が利益に見合うかにあります。

データについて:本記事の数値は、LITALICOが2026年11月2日に公表した決算短信、決算説明資料、業績予想修正のお知らせにもとづきます。粗利率、販管費率、営業利益率、構成比、進捗率、下期の逆算、前年同期比の一部は筆者の計算です。市場予想は、株予報(9月17日時点)で確認できた1件のみで、営業利益ではなく税引前利益ベースのため比較していません。ココルポートは2026年8月13日の決算短信、AHCグループは2025年11月期の決算短信・決算説明資料にもとづき、決算期や会計基準が異なります。決算期は会社の表記(2027年3月期など)に加え、暦の月で記載しています。図は公表資料の数値をもとに作成しました。

主な出典

  1. LITALICO『2027年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)』(2026年11月2日)
  2. 同社『2027年3月期 第2四半期 決算説明資料』(2026年11月2日)
  3. 同社『連結業績予想および配当予想の修正(増配)に関するお知らせ』(2026年11月2日)
  4. 同社『2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)』(2025年10月27日、前年同期の組替の確認に使用)
  5. 株予報(IFIS)『LITALICO 業績予想・コンセンサス』(9月17日時点の表示)
  6. ココルポート『2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)』(2026年8月13日)
  7. 同社『事業所のプレオープンのお知らせ』(2026年7月1日)
  8. 同社『ココルポート初となる就労継続支援B型併設の多機能型事業所を開設』(2025年10月1日)
  9. AHCグループ『2025年11月期 決算短信〔日本基準〕(連結)』(2026年1月16日)
  10. 同社『2025年11月期 決算説明資料』(2026年1月16日)
  11. EDINET DB『AHCグループ 経営方針(有価証券報告書の記載)』
  12. 厚生労働省『就労系サービスに係る報酬・基準について≪論点等≫』(障害福祉報酬改定検討チーム 第64回資料、2026年9月28日)
  13. 厚生労働省『障害者の利用者負担』、同『障害児の利用者負担』
  14. ぱぶちゃんのファンダメンタルlab『B型事業所はどう変わる?就労系障害福祉サービス5種類と2027年報酬改定案の問題点』(2026年9月29日)

✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年
ファンダメンタルを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。たまにチャート分析もします。ナンピンは得意です。
X(旧Twitter):@pablo29god

免責事項:本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。また、特定の企業・政策・団体等への評価や意見を代表するものではありません。本記事は公開されている一次資料・報道をもとに事実関係を整理したものであり、独自の取材に基づくものではありません。市場価格は常に変動しており、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではありません。最新の情報については各出典元をご確認ください。執筆者は金融商品取引業者ではなく、投資助言業の登録を受けていません。投資判断はご自身の責任で行ってください。FX・先物・CFD取引はレバレッジにより、預けた元本を超える損失が生じる可能性があります。

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