【2026年9月 全国CPI】コア+2.1%で9か月ぶり2%台、コアコアは+2.4%に上振れ

経済指標
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9月の全国CPIは、コア(生鮮食品を除く総合)が前年比+2.1%で予想と一致し、2025年12月以来9か月ぶりに2%台へ戻った。2026年に入ってからの最高で、7月(+1.8%)、8月(+1.7%)からも加速している。コアコアは+2.4%(予想+2.3%)と上振れ、季節調整済み前月比はコア・コアコアとも+0.5%で、2025年9月以降の13か月で最大となった。一方、政策効果などが総合を押し下げており、実勢は表面の数字より強い。


①総合+2.1%(予想+2.1%)、コア+2.1%(予想+2.1%)、コアコア+2.4%(予想+2.3%)
②エネルギーは政策効果で総合を0.82ポイント押し下げ。私立高校の実質無償化も下押しを続ける
③物価高倒産は2026年度上半期に628件(帝国データバンク)と過去最多。9月の倒産は全体では前年比減少

1. 9月の全国CPI:コアは9か月ぶりの2%台

2026年10月23日に総務省が発表した9月の全国CPI(2025年基準)は、生鮮食品を除く総合(コア)が前年比+2.1%で予想と一致した。総合は+2.1%(8月+1.9%)。生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア)は+2.4%(8月+1.9%)で、予想を0.1ポイント上回った。総合がコアと同じ+2.1%にとどまったのは、生鮮食品が+2.1%(8月+6.0%)と伸びを縮め、総合への寄与度が0.23ポイントから0.08ポイントに低下したため。

指標予想結果前回(8月)判定
総合 前年比+2.1%+2.1%+1.9%一致
コア 前年比+2.1%+2.1%+1.7%一致
コアコア 前年比+2.3%+2.4%+1.9%上振れ

次回の全国CPI(10月分)は11月20日8:30に発表予定。その前の10月30日に、東京都区部の10月中旬速報値が出る。

2. 全国CPIを7月以前と比べて:8月の一服は一時的だった

全国CPIの前年比推移(2025年9月〜2026年9月):コア+2.1%、コアコア+2.4%

前年比(%)25/121月2月3月4月5月6月7月8月9月
総合2.11.51.31.51.41.51.61.91.92.1
コア2.41.91.51.71.41.41.61.81.72.1
コアコア2.92.52.42.41.91.81.71.91.92.4
前月比・季節調整値(%)1月2月3月4月5月6月7月8月9月
コア0.0▲0.4+0.4+0.1+0.4+0.2+0.3+0.1+0.5
コアコア+0.1+0.1+0.2▲0.2+0.2+0.2+0.3+0.3+0.5

コアは4〜5月の+1.4%を底に、6月+1.6%、7月+1.8%と加速してきた。8月の+1.7%は、その上昇基調の中の小休止だったことになる。9月の+2.1%は2026年で最高で、2025年12月(+2.4%)以来の水準。コアコアの+2.4%は、2月・3月(+2.4%)以来の水準で、4〜8月の1.7〜1.9%から一気に戻した。前月比は、コア・コアコアとも+0.5%と、2025年9月以降の13か月で最大。

東京都区部の9月コアは+2.7%(8月+1.8%)と先行して加速していた。みんかぶFXによると、水道基本料金無償化の対象期間のずれなど東京都独自の要因が大きかった。全国では、宿泊料(+4.6%)や家庭用耐久財(+6.2%)、教養娯楽用耐久財(+7.4%)などの値上がりが目立った。

3. 十大費目と財・サービス

十大費目の寄与度(9月と8月)十大費目の総合前年比への寄与度(ポイント)9月8月食料0.770.87住居0.250.22光熱・水道0.06▲0.02家具・家事用品0.240.18被服及び履物0.040.04保健医療0.130.14交通・通信0.360.34教育▲0.12▲0.12教養娯楽0.360.20諸雑費0.070.04出所:総務省統計局「消費者物価指数」2026年8月分・9月分
費目前年比 9月前年比 8月寄与度 9月寄与度 8月
食料+2.8%+3.1%0.770.87
住居+1.1%+1.0%0.250.22
光熱・水道+0.8%▲0.3%0.06▲0.02
家具・家事用品+6.5%+4.9%0.240.18
被服及び履物+1.2%+1.5%0.040.04
保健医療+2.8%+3.0%0.130.14
交通・通信+2.5%+2.3%0.360.34
教育▲3.8%▲3.8%▲0.12▲0.12
教養娯楽+3.9%+2.2%0.360.20
諸雑費+1.2%+0.7%0.070.04

寄与度が最も拡大したのは教養娯楽(+0.16ポイント)で、宿泊料(+4.6%)や教養娯楽用耐久財(+7.4%)が押し上げた。食料は、生鮮食品の伸びの縮小(寄与度▲0.15ポイント)で寄与度が縮小したが、生鮮食品を除く食料は+2.9%(8月+2.7%)と再加速した。穀類は▲5.0%で、米類は▲20.6%(8月▲15.7%)と下落が拡大した。

光熱・水道がプラスに戻った主因は、水道料(▲3.5%→+4.9%)と都市ガス代(▲0.8%→+0.2%)。電気代は▲2.4%と8月から変わらない。5節で触れるとおり政策効果は拡大しているが、前年同月にも補助があったため、前年比では押し下げがその分、基準に織り込まれている。

項目前年比 9月前年比 8月
財+2.8%+2.6%
サービス+1.5%+1.2%
└ 一般サービス+2.0%+1.5%

4. 代表品目:値上がりと値下がりの現場

中分類品目前年比寄与度
調理食品からあげ+9.6%0.04
生鮮魚介さんま+27.8%0.04
外食すし(外食)+15.5%0.06
菓子類アイスクリーム+6.4%0.03
肉類牛肉(輸入品)+13.1%0.03
飲料緑茶+33.8%0.04
設備修繕・維持外壁塗装費+7.5%0.04
家事用消耗品トイレットペーパー+17.8%0.03
自動車等関係費自動車保険料(任意)+5.9%0.11
通信携帯電話機+10.9%0.06
教養娯楽サービス宿泊料+4.6%0.05
教養娯楽用品ゴルフクラブ+43.3%0.03
穀類うるち米(コシヒカリを除く)▲21.1%▲0.15
授業料等高等学校授業料(私立)▲73.2%▲0.15

出所:総務省統計局「消費者物価指数」2026年9月分(主な内訳)

5. エネルギー:政策効果が総合を0.82ポイント押し下げ

エネルギーは前年比▲0.6%(8月▲0.7%)。総務省の試算では、暫定税率の廃止や補助金などの政策効果が総合の前年比を0.82ポイント押し下げ、8月(0.62ポイント)から拡大した。9月分のCPIには補助が最も厚い8月使用分の電気・ガス料金が反映されたためで、CPIの電気・ガス代は使用月ではなく請求月で反映される(第一生命経済研究所)。

エネルギーの政策効果(8月と9月)エネルギーの政策効果:総合の前年比を押し下げた幅(ポイント)ガソリン電気代灯油都市ガス代8月CPI▲0.38▲0.17▲0.629月CPI▲0.48▲0.24▲0.829月の灯油は▲0.07、都市ガス代は▲0.03(8月は灯油▲0.04、都市ガス代▲0.03)出所:総務省統計局「消費者物価指数」2026年8月分・9月分(政策効果は総務省試算)
項目前年比 9月前年比 8月前月比 9月政策効果(pt)
エネルギー▲0.6%▲0.7%▲1.2%▲0.82
電気代▲2.4%▲2.4%▲1.9%▲0.24
都市ガス代+0.2%▲0.8%▲0.9%▲0.03
プロパンガス+6.3%+6.9%▲1.3%-
灯油+15.3%+15.5%0.0%▲0.07
ガソリン▲2.6%▲2.6%0.0%▲0.48

CPIに効いている主な政策は次のとおり。

政策内容
ガソリン暫定税率の廃止1リットル25.1円。2025年12月31日に廃止。補助金の段階的拡充で先行実施済み(資源エネルギー庁)
燃料油の緊急激変緩和措置2026年3月19日から。ガソリンの全国平均小売価格が170円程度を超える分を全額補助。灯油・軽油・重油も同額(資源エネルギー庁)
電気・ガス料金支援7月使用分:電気3.5円/kWh・都市ガス14円/㎥。8月:4.5円・18円。9月:3.5円・14円(低圧・家庭向け)。10月使用分以降は支援なし(経済産業省)
高校就学支援金の拡充2026年4月1日施行。所得制限を撤廃し、私立全日制の支給上限を年45万7,200円に引き上げ(政府広報オンライン)

電気・ガス支援は9月使用分(10月請求分)で終了した。10月使用分は補助なしで、11月請求分のCPIから押し上げ方向に転じる。政府は来年1〜3月使用分の補助再開を検討している(共同通信、ANN、10月21日)。木原官房長官は、予備費の活用も含めて必要なときにはタイミングを逸することなく対応する考えを示し、補正予算も視野に入れているが、正式決定ではない。

6. 教育:制度変更の押し下げは続く

教育は前年比▲3.8%(8月▲3.8%)、授業料等は▲6.4%で寄与度は▲0.14ポイント。主因は私立高校授業料の▲73.2%(寄与度▲0.15ポイント)。2026年4月1日に就学支援金の所得制限が撤廃され、私立全日制の支給上限が年45万7,200円に引き上げられた。2025年を100とする指数では、教育は3月の99.5から4月に95.5へ下がり、5〜9月も95.4〜95.5で推移している。

前年同月比の押し下げは4月から毎月続いており(4〜5月▲3.9%、6〜9月▲3.8%)、2025年の水準を基準にする限り、この影響は2026年を通じて残る。算術上は、制度開始から1年となる2027年3月分まで前年比の押し下げが続く見込みだが、今後の授業料改定や自治体の追加支援で指数が動く可能性もある。

7. 全国CPIから見る日銀の金融政策への含意

日銀は9月18日の会合で政策金利を1.25%程度へ引き上げた。31年ぶりの高水準で、利上げ間隔は3か月と植田総裁就任後で最短だった(共同通信)。次回会合は10月29〜30日で、30日に展望レポートが公表される。10月18日時点の報道では、OISが織り込む10月の追加利上げ確率は4%程度、12月会合までの利上げは8割程度。コアが予想通り、コアコアが上振れという今回の結果は、12月利上げの見方を補強する材料といえる。

8. 物価高倒産:2026年度上半期は過去最多

物価高倒産件数(2025年度上半期と2026年度上半期)「物価高倒産」件数(帝国データバンク、各年度上半期=4〜9月)488件2025年度上半期628件2026年度上半期前年同期比 +28.7%(過去最多)出所:帝国データバンク「倒産集計 2026年度上半期報」(2026年10月8日)
調査機関2026年度上半期(4〜9月)前年同期比
帝国データバンク(TDB)628件(集計開始の2018年度以降で最多)+28.7%(前年同期488件)
東京商工リサーチ(TSR)436件(2022年度からの円安局面で最多)+17.8%

TDBによると、業種別では建設業176件、小売業140件、製造業101件。このペースなら2026年度の累計は1,000件を超える見込み。TSRは、価格転嫁が難しい小・零細企業が中心で、物価高による倒産は今後も高水準で推移するとみている。集計基準が異なるため、両社の件数は一致しない。

なお、9月単月の倒産件数は全体で800件(前年909件、▲12.0%)と、4か月ぶりに前年を下回った(TDB)。1〜9月累計は7,999件で、前年同期比+5.0%。TDBは、件数は減ったものの企業間の格差は拡大していると指摘している。TDBの試算(調査対象16.8万社、9月18日発表)では、日銀の追加利上げで借入金利が0.25%上昇すると、経常損益が黒字から赤字に転じる企業が約2,700社(1.6%)出る。

9. 全国CPIの読み解き:政策に押し下げられた2%台

日本の物価統計は、米国のようなマクロ要因だけでなく、補助金や制度変更というミクロ要因で歪みやすい。9月も、エネルギーの政策効果(総務省試算▲0.82ポイント)と、授業料等の寄与度(▲0.14ポイント)が総合を押し下げている。

エネルギーの政策効果(総務省試算)と授業料等の寄与度を機械的に足すと約0.96ポイント(筆者の単純計算)で、前年比+2.1%に加えると約3%になる。授業料等の下落がすべて政策によるものとは限らないが、補助や制度変更がなければ、物価の基調は表面の2%台前半よりかなり強い。

エネルギー補助は9月使用分で終了し、11月請求分のCPIからは押し上げ方向に転じる。一方、政府は冬の補助再開を検討しており、制度が入ったり外れたりするたびに、統計の見え方が変わる。10月30日の展望レポートで日銀が物価見通しをどう修正するか、植田総裁が12月をにらんでどこまで踏み込むかが、まず焦点になる。

📚 主な出典

  • 総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年9月分」(2026年10月23日)、「同 8月分」(2026年9月18日)|総務省統計局(一次資料)
  • みんかぶFX「【今週の注目材料】日本全国消費者物価指数」(2026年10月18日)|記事リンク
  • 資源エネルギー庁「エネルギー価格の支援について」|公式ページ
  • 資源エネルギー庁「ガソリンの暫定税率廃止について」|公式ページ
  • 経済産業省「2026年7月、8月及び9月使用分の電気・ガス料金支援の実施に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可・承認を行いました」(2026年6月12日)|公式リリース
  • 政府広報オンライン「令和8年度から、高校生等の修学支援が新しくなりました」|公式ページ
  • 第一生命経済研究所 マクロ経済分析レポート(電気・ガス補助とCPIへの影響、2026年)|レポート
  • 共同通信「電気ガス1~3月補助検討、政府 予備費活用、補正も視野」(2026年10月21日)|Yahoo!ニュース
  • ANN「冬の電気・ガス料金補助検討 政府」(2026年10月21日)|Yahoo!ニュース
  • 共同通信「日銀利上げ、1・25%に」(2026年9月18日)|カナロコ
  • 帝国データバンク「倒産集計 2026年度上半期報(4月~9月)」(2026年10月8日)|TDB
  • 帝国データバンク「倒産集計 2026年9月報」(2026年10月8日)|TDB
  • 東京商工リサーチ「年度上半期の『物価高』倒産436件」(2026年10月8日)|TSRデータインサイト
  • LOGISTICS TODAY「TSR、物価高倒産436件 円安局面で最多」(2026年10月9日)|記事リンク

予想値はみんかぶFX 経済指標カレンダーを参照しました。

✍️ 執筆者/ぱぶちゃん|投資歴6年
ファンダメンタルを事実ベースで解説するブログを運営中。相場の「なぜ?」を一緒に考えましょう。たまにチャート分析もします。ナンピンは得意です。/X(旧Twitter):@pablo29god

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